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Hands-On ブレゲ タイプ20 オンリーウォッチ、ヴィンテージ バルジュームーブメント搭載

オリジナルの手巻きムーブメントと、素晴らしいミリタリールックが"タイプ20"を唯一無二の時計に仕上げている。

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多くのヴィンテージ時計愛好家にとって、ブレゲのコレクションで最も興味深いモデルが"タイプXX"だ。これは、1950年代にフランス軍パイロット用に供給された時計として幕を開けたシリーズである。タイプ20は、今日もブレゲのコレクションで最も人気の高いモデルの1つであり、航海用時計から着想を得たブレゲで最もスポーティな"マリーン"と共に人気を博している。
 今日、我々はジュネーブで開催される「Only Watch」オークションのために作られたユニークピースのタイプ20をつぶさに見るつもりだ。オンリーウォッチの顔ぶれが初めて夏に発表されて以降、タイプ20 オンリーウォッチは大いに話題を集めているが、それも至極当然といえる。何せ、ルックスが非常に素晴らしいのだ。しかし、それは外観だけに留まらない。

 写真のタイプ20 オンリーウォッチは、ブレゲの台帳上では、民間用モデルのタイプXXではなく軍用モデルのタイプ20と呼ばれている。この点は、フランス軍に供給された時計と、民間への販売用に作られた時計とを区別する重要な特徴である。タイプ20 オンリーウォッチは確かに一般向けに チャリティの目的で世に出るのだが、そのデザイン、サイズ、さらにはムーブメント(オリジナルと同じバルジュー235)までもが、オリジナルの50年代の軍用タイプ20を参考にした素晴らしいものとなっている。ブレゲは本機が軍用ウォッチのため、慣習的なローマ数字の使用を避けるのが適していると判断したがこれは理に適っている。

 ブレゲのタイプ20 オンリーウォッチは、50年代のヴィンテージパイロットウォッチの理想を極めた形かもしれない。バランスのとれたバイコンパックス・レイアウトは視認性が高く、ラグ穴の貫通したラグはとても心地良い着用感で、リューズとプッシャーのケースとのバランスも完璧である。文字盤の情熱的なトーン、針、数字は、ヴィンテージの再現を目指した時計職人によるものだ。こういう復刻に対して厳しい批評家たちも、この時計に関してはブレゲに合格点を与えるだろうと思われる。トロピカル文字盤の醸し出すニュートラルなトーンを見ていると、セーター(そしてその上におそらくツイードジャケット)を重ねて、リストショットを撮りたい気分になる。

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 蛍光色のインデックスは、まるで蓄光塗料が積み上げられているように見え、この種の塗布方法は、時計ライターとして「pillowy(枕のような)」と命名したい思う。そして、オベリスク型の針が緻密に配置されている。
 オニオン型のリューズは、優れた外観を伴いながら、歴史的に理に適ったチョイスだ。そして、当然のことながら、この形状が手巻きクロノグラフの巻き上げと操作を簡単にしている。このタイプのリューズを使う今時のパイロットウォッチはサイズが巨大なものが多いが、ブレゲ タイプ20にこの傾向は当てはまらず、38.3mm x 13.9mmというサイズに収まっている。

 現代のタイプXXウォッチは、自動巻きのブレゲクロノグラフキャリバーを使用するようになっており、シースルーバックからキャリバーが見える。その一方でブレゲは、初のタイプ20シリーズを称え正確な時を刻むべく、今回は別の角度からアプローチした。
 つまり手巻きムーブメントを使用することに決めたのである。そのムーブメントとは、他でもなくスイスで最も重要なクロノグラフのスペシャリスト、バルジューによって作られた、1万8000 振動/毎時で鼓動する13リーニュのコラムホイール搭載クロノグラフである。このオリジナルのキャリバーの美しさを、シースルーケースバック越しに見たいと思う人もいるだろう。しかし、それは不可能だ。というのも、価値あるヴィンテージウォッチのオリジナルデザインを守る、という非常に納得のいく理由によってブレゲはクローズドのケースバックを用いたからだ。私はバルジュー235の中身をぜひとも見られればと思い、他の多くの人々も同じ考えだと確信しているのだが、考えを改めた。サテン仕上げのケースバックに「BREGUET Type 20 Only Watch 2019 Pièce Unique」の刻印が刻まれているからだ。

 ブレゲタイプ20 オンリーウォッチの落札予想額はおよそ380万~550万円だが、これは控えめな予想だろう。タイプ20を知る私の知人たちは皆、これに惚れ込んでいるが、当然ながらこの時計は世界に1つしか存在していないのだ。タイプ20 オンリーウォッチがいくらで売れるかという疑問よりもさらに興味深いのは、ブレゲがタイプ20のようなモデルを継続的に生産することを今後検討していくかどうか、という点だ。というのも、そうなればタイプ XXに原点回帰を望む人々の間で、多く関心を集めると予想されるからだ。 

 「Only Watch」オークションはクリスティーズが執り行い、2019年11月9日にジュネーブで開催された。詳細はこちらをご覧いただきたい。