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The G-SHOCK

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RANGEMAN GPR-H1000

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Tools to Survive

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 マッドマン GW-9500とマッドマスター GWG-B1000に続き、2024年1月にいよいよレンジマンの新作GPR-H1000がリリースされる。レンジマンに新作が投入されるのはGPR-B1000以来6年ぶりとなり、これでMASTER OF GのLAND(陸)カテゴリは、主要なシリーズが外装と機能のアップデートを経て新世代へと移行したことになる。レンジマンは2013年に発表された、災害時の救援や山岳救助などを行うレンジャーが現場作業中に着用することを想定したモデル。木々が生い茂る険しい山のなかや歩行もままならないような沼地など、過酷な状況下での活動が求められる彼らにとって実用的であるよう設計されている。防泥性や防水性を確保するのみならず、方位や気圧/高度、温度を計測できるトリプルセンサーをG-SHOCKで初めて搭載したのが、“究極のサバイバルタフネス”を体現したツールウォッチ, 初代レンジマンなのである。

 このレンジマン初号機 に続き、2018年には2代目となるGPR-B1000が発売された。これは世界初となるソーラーアシストGPSナビゲーション機能を備え、時計単体でのナビゲーションを可能にした画期的なモデルであった。しかし、レンジャーや救助隊員からは「腕時計の小さな画面では、地図を見ても瞬時の判別が難しい」というシビアな声も上がったという。それを受けて最新作のGPR-H1000では、太陽光の下でも液晶の影が落ちず、判読性に優れるMIP(メモリインピクセル)液晶を装備。また、ディスプレイの表示部も極力大きく取ったことで、慌ただしい状況下でも周囲の状況や自身のバイタルを確認しやすくなっている。即座の判断が求められるレンジャーにとって、この視認性は高い価値を持つ。

左がレンジマンの新作であるGPR-H1000、右が6年前に発売されたGPR-B1000。

 外装は、特にプロフェッショナルの趣向を強く押し出したものとなっている。今作では、ミッションに使用する車載機器や救護者をギアで傷つけないようにとの意見を踏まえ、マッドマンやマッドマスター以上に樹脂の使用が際立つデザインがとられた。強化樹脂製のセンターケースをウレタンのアウターベゼルで覆いつつ、9時側のマッドレジストボタンガードは鍛造成型、3時側のセンサー 部分はMIM(金属射出成形)技術を用いて製作されたメタルパーツで強固にガードする構造としている。3時側のセンサーカバーは正面にスリットを設けることで万が一泥水が浸入しても排出できる設計とし、さらにはモジュールの内側にセンサーを配置することでケースサイドの凸量を抑え、手首を返す動きのなかでも時計が手の甲を圧迫しにくいフォルムを作り上げた。

 そんなレンジマンのコアエレメントと呼べるのが、悪条件下のフィールドを想定して設計されたマッドレジストボタンだ。シリンダー型のステンレスパーツでボタンを保護し、ボタンシャフトにガスケットを装備することで泥や塵の侵入を防ぐもので、その構造自体は前作のGPR-B1000を踏襲している。また、ケースバックにはカーボン繊維強化樹脂を用いることで時計本体の軽量化と20気圧の防水性能を両立させた。これらはタフネスを信条とするG-SHOCKとしてのスペックを満たすのみならず、ときに泥にまみれての匍匐前進を求められたり、荒波にさらされたりするシチュエーションも珍しくないレンジャーにとって必要不可欠な性能でもある。

ちなみに前作GPR-B1000は、非接触充電にセラミックバック、単体でのナビゲーション機能と当時の技術をひとつの時計に盛り込んだ非常にハイスペックなモデルだった。だが今作では、機能のそぎ落としによるスリム化もひとつのテーマとなっている。その答えのひとつが、スマートフォンとのBluetooth連携だ。とっさにスマートフォンを取り出せない環境では液晶上の表示に頼りながらも、高度やルート、ライフログなどのデータはアプリに送信され、ミッション完了後に確認できるようになっている。なお、ケースバックには血中酸素 レベルなど心拍データの取得のために新たに光学式センサーが設けられたが、それに伴い、2013年の誕生以来レンジマンのアイコンとして親しまれてきたヤマネコのキャラクターはバンドピースへと移動することになった。そのシルエットは小ぶりながらはっきりと刻まれており、旧来のレンジマンファンの目を楽しませてくれる。

 G-SHOCKらしさが存分に感じられる立体的でラギッドな構造は、GPR-H1000の大きな魅力といえる。もっともこうした造形は、前述のとおり極限の状態で活動するレンジャーや救助隊員たちの要望から導かれたものだ。つまり、ほかのMASTER OF Gと同様に意味を持ったデザインであり、それら確固たるバックグラウンドがあるからこそ人々はMASTER OF Gの世界に魅了される。特にこの最新作は、人命を扱う現場が要求するスペックを可能な限り反映させた妥協なきプロフェッショナルツールだ。日常生活においては、砂埃にまみれ、自身のバイタルを常にチェックする必要がある状況には陥らないかもしれない。だが、ワークアウトに、レジャーにと連れ出して時をともにすればするほどに、着用者の存在を第一に考えたギアとしての完成度を実感できるはずだ。