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The G-SHOCK

MUDMASTER GWG-B1000

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MUDMASTER GWG-B1000

What to bring going to a strange area.

防塵‧防泥性能を高めたマッドレジスト構造採用のG-SHOCKとして1985年に発売されたDW-5500Cは、耐衝撃プラスαの性能を備えたMASTER OF Gが誕生する契機となった。このDW-5500Cの性能を継承したのが1995年のマッドマンであり、2023年7月には12年ぶりの新作GW-9500がリリースされたことも記憶に新しい。その一方で2010年以降、G-SHOCKが推し進めるアナログとデジタルのコンビネーションの強化に伴って誕生したのがマッドマスターだ。2015年に登場したGWG-1000を嚆矢(こうし)として以降、マッドマスターはコンスタントにラインナップを拡充していった。そしてこの秋、その新モデルとしてGWG-B1000が発表された

 一見してインパクトを放つGWG-B1000がデザインモチーフとしているのは、オーバーランディング(旅自体を目的とする、車両による旅行)で使用される車両や各種ツールだ。外装にメタルパーツを新たに採用したことによって、GWG-1000以上にラギッドなルックスに仕上げられている。ブラックをはじめ、バリエーションとして用意されているくすんだ色調のグリーンやレッドなどのカラーリングもオーバーランディングで使用されるギアをイメージしたものだ。また、ハードな環境での使用に耐えるタフな外装設計はもちろん、内部のモジュールも進化を遂げており、トリプルセンサーを搭載した電波ソーラーモデルとしては初めてBluetoothに対応した。これまでも時計単体でデータを取得することはできたが、それをスマートフォン上でデータとして残したいというユーザーからの要望があったのだという。新たに搭載されたロケーションインジケーター機能により、スマートフォンとの連携で目的地を3時位置のコンパスで指し示したり、行程のログを残したりすることも可能となった。車はもちろん、自転車の運転中にも手元でさっと方角を確認できるのは大きなメリットだろう。さらに、タフソーラー機能によって駆動時間の懸念も解消しているなど、行き先に縛られない気ままな旅をサポートする頼れるパートナーに仕上げられている。

 GWG-B1000においてとりわけ目を引くのが、前述のメタルパーツだ。既存のマッドマスターはアナログ表示による視認性の高さからフィールドでの愛用者も多いモデルとなっているが、樹脂製の外装は使い込むなかで摩耗してしまうという声も挙がっていたとカシオの担当者は語る。そこでカシオではMASTER OF Gにふさわしい堅牢性を確保するべく、外装パーツにステンレススティールを採用したモデルを発案。樹脂パーツの摩耗を防ぐことはもちろん、ガラス面もしっかりとガードする構造とし、さらにカーボンファイバー強化樹脂を組み合わせることで製品が過度に重くならないような配慮も加えられた。また、硬質なステンレススティールの採用は外装パーツの薄型化にもつながり、12時~6時方向のサイズはGWG-1000やGWG-2000と比較して1cmほど縮小。すなわち、MASTER OF Gという大型ウォッチの装着感を高める結果にもなった。細腕のユーザーの手首にもしっかりと沿うフォルムは、サイズ感からマッドマスターを敬遠していたあなたのような人へのアプローチとしても効果的だろう。

左は新作GWG-B1000、右は2022年発表のGMG-2000。

 着用感の向上が見られた一方、パーツの複雑な形状から、外装の製造工程は一般的なメタルモデルよりも少々手間がかかるものとなっている。上下のベゼルガードの製造にあたっては、鍛造ケースと同様の工程が取り入れられた。圧延したステンレススティールを何度も叩きながらケースの形に仕上げ、最終的にはベゼルガードにあたる部分のみを切り出して成型、研磨を施して使用している。また、正面下部のボタンガードは立体的な構造であることを考慮し、金属粉を射出して成型するMIM(メタル·インジェクション·モールディング)を採用した。それぞれのパーツ形状に合わせて、最適な工程を使い分けた形だ。また、ケース両サイドのボタンガードはカーボン強化繊維を混入したバイオマスプラスチックで成型しており、特にブラックとレッドのモデルについては岩肌を想起させる有機的な質感になっているのも、マッドマスターらしい仕上がりといえるだろう。ちなみに、この質感はカーボン繊維を混ぜ込むことで自然と浮き上がってくるものだという。

 もちろん、MASTER OF Gにラインナップされるマッドマスターだけに、このGWG-B1000も防塵‧防泥性能の点で突出していることは言うまでもない。遡ること1995年に誕生したマッドマンはプッシュボタンを覆うマッドレジスト構造によって防塵‧防泥性能を追求したモデルであり、ギアとしての確かな性能から、過酷なレースを走破するラリードライバーたちにも愛用されるようになった逸話もある。マッドマスターはその性能を継承しながらアナログ表示にこだわった上級機であり、この新作も過去モデルと比べるとパーツ構成は複雑にはなっているものの、水中や泥のなかで操作しても問題ないほどの高いスペックを維持している。時計をつけたままで川辺のアクティビティを楽しんだり、汚れがついた時計を湖畔で直接洗ったり……、というタフな使い方も可能というわけだ。

 また、今作ではこれまでのMASTER OF Gのユーザー層を意識しつつ、仕上げや作りの面で一歩進化させるイメージを持っていたという。GWG-B1000ではソリッドなステンレススティールを用いた上下のベゼルガードにフロントのボタンガード、そしてベゼルリングの表面にDLCコーティングを施すことで、高級感とともに耐摩耗性を高めている。そして、通常であれば樹脂で成型されるプッシュボタンについても、このモデルではブラックIPを施したステンレススティールを採用した。細かなパーツに至るまで、MASTER OF Gのアップデートモデルにふさわしい質感にまとめているのも特筆すべき点だ。

 MASTER OF GはG-SHOCKのコアイメージを形成するシリーズだ。そのため、GWG-B1000においても堅牢性や耐摩耗性を高めたプロユースのモデルに仕上げられている一方で、G-SHOCKの熱心なファンに愛されることを重要視している。事実、ステンレススティールとカーボンファイバー強化樹脂を組み合わせたラギッドなルックスはもちろん、新開発モジュールによる充実した機能も、ブランドにハードなギア感とスペックを求めるファンを唸らせるものだ。カシオによれば、GWG-B1000は先に発売された2層液晶搭載のマッドマンGW-9500と同様に、現代の解釈を加えて再構築したモデルだという。G-SHOCK 40周年を機に、MASTER OF Gはこの2作をもっていよいよ新たなフェーズへと突入したのだ。