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The G-SHOCK

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FROGMAN MRG-BF1000E-1A9JR

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Following The Yellow Line To ORIGIN

Following The Yellow Line To ORIGIN

 ORIGINのデザインを踏襲した2022年リリースのMRG-B5000に続き、カシオは2023年の春、MR-Gのラインナップにフロッグマンを発展させたMRG-BF1000Rを発表した。MRG-B5000と同様、外装パーツを細かく分割しながら最高峰ラインであるMR-Gにふさわしい仕上げを実現したフロッグマンは発表直後からG-SHOCKフリークの注目を集めたが、早くもこのシリーズに新バージョンのMRG-BF1000Eが追加されることとなった。これは、G-SHOCKの40周年とフロッグマンの30周年というWアニバーサリーを記念したモデルだ。オールドファンはもちろん、新世代ファンの琴線にも触れるビビッドなイエローをまといつつ、交換用のチタン製ブレスレットを初めて付属した特別仕様フロッグマンとなっている。

なぜ、前作のMRG-BF1000Rは初代フロッグマンのユニークなカラーリングを踏襲しなかったのか。コアなG-SHOCKファンであれば少なからず抱いたはずの疑問だ。だが、その答えはMRG-BF1000Eで明らかになったといえる。今回ベースとなったのは、1994年に発売されたフロッグマン初のイエローバージョンDW-6300-9だ。同機は初期フロッグマンを代表する人気モデルであり、今なおコレクターからの支持も厚い。しかし今作においては、初代モデルDW-6300-1のベゼルに刻印されていたブランド名や“PROTECTION”、“WATER RESIST”などの表記の色も意識したという。このイエローをインデックスやストラップなどに用いつつ、秒針やサブダイヤルの針、ベゼルの3時側に記された機能表記にレッドを用いることで、アニバーサリーモデルにふさわしい往時のモデルを想起させるルックスに仕上げられている。

左はフロッグマンの初代モデルであり、MRG-BF1000EのベースとなったDW-6300-9。

 キーカラーであるイエローのなかでもとりわけ印象的なのが、蓄光塗料が施されたインデックスだ。ベゼルの“FROGMAN”表記やバンドと同様のビビッドな色調で彩られているのみならず、暗所でも鮮やかなグリーンがかった光を放つようになっている。蓄光塗料そのものの種類は前作MRG-BF1000Rと同じだが、前作が高輝度なタイプであったのに対し、新モデルのインデックスで採用されたものはより発色に重きを置いている(そのため輝度はわずかに低くなるが、海中での視認性にはまったく影響はない)。しかも、MR-Gフロッグマンのインデックスと時分針は一般的なカジュアルウォッチのようにプリントではなく、専門の技術者によってひとつひとつ手作業で蓄光塗料を塗布されているという。

 もちろん、手作業で蓄光塗料を塗布する高級時計は数多く存在する。だがMRG-BF1000Eの場合、12ヵ所すべてのインデックスが文字盤中心に向かって傾斜した箱型となっているため、技術者は塗料を正確に素早く塗らなければならず作業難易度は格段に高くなるという。技術者はインデックスを水平にしながらイエローの発色を高めるための下地を塗布し、それが乾燥したのちに蓄光塗料の重ね塗りを行う。しかし、ここで厄介となるのがインデックスの形状だ。特に、三角形にかたどられた12時や、先端がカーブしている2時や4時、さらに面積がグッと小さく、周囲に縁もない7時と8時のインデックスは、適切な量の蓄光塗料をはみ出さずに塗るのが非常に困難であるという。そのため、MR-Gフロッグマンのインデックスを手掛けるのは技術レベルの高い熟練者が中心となる。先端を細く改良した筒状のニードルを使用し、塗料の抽出量をフットペダルでコントロールしながら、丁寧に、しかも手際よく蓄光塗料を塗布していく。その塗料も、専用の工場で配合されたものを、現場の湿度や温度によってその場で担当者が調整を行う。なお、1日で仕上げられる量はひとりあたり時計数十本分が限界であるという。

 また、今回のモデルは、イエローのフッ素ラバー製デュラソフトバンドに加えてチタン製ブレスレットも付属する、アニバーサリーにふさわしいパッケージとなっている。ブレスレットは従来のMR-Gで使われていたデザインから変更され、新たにHゴマを採用。これに伴ってよりしなやかな駆動が可能となり、腕への馴染みも格段に向上している。さらに、バックルには従来のMR-Gにも見られたロックシステムを備えるのみならず、新開発のエクステンション機構を取り入れることで、ダイビングスーツの上からでも装着しやすく手首にしっかりと固定できる仕様とした。もちろんブレスレットの作り込みもMR-Gらしく手が込んでおり、ひとコマずつ深層硬化処理とDLC加工を施したうえで組み上げることで、美観と耐久性を高めているのも特筆すべきポイントだろう。

 電波の受信感度を高めるべく、サファイアクリスタル製のスクリューバックを採用している点は前作と変わらない。しかしMRG-BF1000Eではゴールドの蒸着を施すとともに、すっかりおなじみとなったカエルのキャラクターを“FROGMAN 30th”、“G-SHOCK 40th”の表記が囲むスペシャルなデザインに仕上げている。また、同梱されているバンド交換用の工具にも凝っており、円盤状の先端にはG-SHOCKロゴとローレット加工を施すことで、時計のリューズを想起させるようなデザインに仕上げているのもユニークかつ所有欲を高めるポイントだ。

 ISO規格に準拠した200mの潜水用防水や、細部まで丁寧に研磨が施された外装仕上げはもちろん素晴らしい。だが、MRG-BF1000Eは何よりその色使いに魅了されるモデルだ。ブラックケースの採用により鮮やかさが強調されたイエローは、腕を露出する機会が増えるサマーシーズンにおいて特に手首の存在感を際立たせてくれる。一方で、チタン製ブレスレットに付け替えた際にはMR-Gらしい精悍さが強調され、コーディネートする服装の幅をグッと広げてくれる。この着用シーンの多様さも、ユーザーにとってうれしいポイントだ。今回のメタルブレスの同梱には、もっとさまざまな場所でフロッグマンを身につけて欲しいというCASIO側の意図もあったという。

 G-SHOCKの40周年とフロッグマン30周年のWアニバーサリーを記念したMRG-BF1000Eは、フロッグマンにとって(海中での視認性を確保するという点からも)重要なカラーであるイエローを用いることで、より特別感のあるモデルとなった。ORIGINをベースとしたMRG-B5000、フロッグマンをベースとしたMRG-BF1000R、そして新作MRG-BF1000Eと続いたが、次はどのモデルがMR-G化を果たすのだろうか。