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The G-SHOCK

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MRG-BF1000R-1A

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Seeking Never Before Seen Landscapes

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 G-SHOCKで初めてISO規格に準拠した200mの防水性能を備え、1993年にデビューしたフロッグマン。潜水工作員を指すユニークなネーミングがついた非対称デザインのダイバーズウォッチは、その後、陸・海・空の過酷な自然環境にも耐えるMASTER OF Gシリーズにラインナップされ、主に海のプロフェッショナルたちから高い支持を獲得してきた。そんなフロッグマンにフルメタルの外装を採用したのが、今作MRG-BF1000Rだ。誕生から30周年の節目を迎えた2023年、フロッグマンはG-SHOCKの最高峰ラインであるMR-Gの1本として、新たな姿を現したのである。

 G-SHOCKの初号機であるDW-5000C。その特徴的な八角系フォルムを継承するORIGINをMR-Gに発展させた最初のモデルが、2022年にリリースされたMRG-B5000だ。同モデルでは、ORIGINのデザインを再現したうえでMR-Gらしい徹底した研磨を施すべく、外装パーツを25個に分割しながら耐衝撃性能も確保する新たな構造が取り入れられた。そして、今作MRG-BF1000Rの製作工程はMRG-B5000をはるかに上回るものとなり、結果として、着想から製品化までには実に4年以上の歳月を要したという。だが、数々の困難を乗り越えて完成した最高峰のフロッグマンは、前人未到の環境に挑むダイバーの手首にふさわしい、プロフェッショナルツールに仕上がった。

チタン装甲を纏った海のMR-G。そのコンセプトが明示するとおり、MRG-BF1000Rでは、ケースやベゼルといった主要パーツから、プッシュボタンにリューズ、ビス、スプリングといった細かいパーツに至るまで、外装素材のほぼ全てに軽量かつ錆に強いチタンを使用している。さらに、チタンには深層硬化とDLCの二重硬化処理を施すことで、高い耐傷性も確保した。

また、このケースに組み合わせられるバンドには、一般的なウレタンと比べて軟らかく、肌触りも良好なデュラソフトを採用。このバンドは、箇所によって素材の硬さを変更することで、腕に吸いつくようなしなやかな装着感を実現している。命を預けるに足るタフネスと、手首に巻いたときの安心感。どちらも、厳しい環境で活動するダイバーにとってうれしい要素だ。

もちろん、G-SHOCKが誇る本格ダイバーズモデルであるだけに、ダイビングにおける性能や機能も高いレベルをマーク。しかし、求められるスペックを満たすにあたっては、気密性の確保が大きな障壁として立ち塞がった。MRG-B2000のようなシンメトリーなケースデザインでは、トップベゼルとセンターケースをビスで固定することで気密性を保っていた。だが、フロッグマンのような非対称デザインではセンターケースにビス留めするためのスペースがない。フロッグマンのデザインを実現するには、新しい構造開発が必要だった。そこで 取り入れられたのが、センターケースとベゼル(ガラス嵌合部)をレーザー溶接で固定する手法だ。これには、非常に精密な加工技術が必要不可欠だった。結果として、惑星探査機はやぶさの製造に携わった日本のメーカーの技術支援を受けることで、開発チームは最重要課題を突破したのだ。

レーザー溶接によるセンターケースとベゼルとの固定をはじめ、ねじロック式リューズやスクリューバックの採用により、ISO規格に準拠した200mの潜水用防水を実現したMRG-BF1000R。その防水性能に加え、機能面で特筆すべきがフルアナログ表示のダイブモードだ。向かって左下のボタンを2秒以上押し続けることで作動。時分針が重なった状態で潜水経過時間を計測し、ただでさえ目に留まる太い針が重なって動くので、経過時間を見誤ることもない。水面に上がった際には時分針が逆転してインターバルタイム(休息時間)の計測も行ってくれる。また、高輝度LEDライトを駆使したスーパーイルミネーターの搭載により、暗い海中で視認性が損なわれないのもダイバーにとっては欠かせないポイントだろう。

Bluetooth接続でスマートフォンと連携しての時刻修正機能も、正確な時刻を知るうえでは不可欠な要素だ。MRG-BF1000Rでは、外装のフルメタル化に伴って内蔵アンテナが電波を受信できなくなる問題にも直面したが、スクリューバックの一部をサファイアガラスに変更することで受信感度の向上に成功した。

そして、このモデルにおける最大の特徴が、MRG-B5000を超える外装パーツの細分化だ。MR-Gにふさわしい美観を得るために分けられたケースパーツは、緩衝体なども含めるとなんと76に及ぶ。ベゼルなどの比較的大振りなパーツから、ビス、ボタンのひとつひとつに至るまで、それぞれの形状やサイズに合わせた適切な加工を模索。外装の二重硬化処理もパーツを分解した状態で行うなど、製造には気が遠くなるような手間を要した。特に苦労したというのが、3時と9時位置のプロテクターだ。ガラス、本体を保護するために強度が求められるが、このパーツが分厚くなるとフロッグマンらしいシェイプは崩れ、美観は大きく損なわれる。ベゼルとのあいだに緩衝体を挟み込みつつ、薄く、立体的に削り出すために、カシオは大変な労力を費やした。しかし妥協を許さない開発の結果として、突出した性能はもちろん、高級感あふれるルックスも備えたMR-Gの名に恥じないダイバーズウォッチが誕生したのだ

今やG-SHOCKを代表するコレクションとなったフロッグマンだが、30年前にこれを企画したのは初代G-SHOCK開発チームのメンバーであり、現在はカシオ計算機の社長CEOを務める増田裕一氏である。そして、初代フロッグマンのデザインを担当した石坂真吾氏によって、最新作のMRG-BF1000Rは企画された。サファイアガラス製スクリューバック、そこにデジタル調にあしらわれた波模様に浮かぶのは、初代フロッグマンに刻印されたものと同じカエルのキャラクターだ。その理由について石坂氏は「アイコニックなモデルをMR-Gで改めて製作するにあたり、初代モデルに対するリスペクトを込めました。自分で初代モデルをデザインしておきながら、自分でリスペクトするのもおかしな話ですが」と苦笑するが、30年前に考案された革新的なデザインが、今日においても高い支持を得ているのは紛れもない事実だ。MR-Gの並びに入り、フロッグマンは誰も想像しえなかったひとつの到達点にたどり着いた。そして、その挑戦は今後も続くだろう。そうした姿勢が時計にも表れているからこそ、フロッグマンは過酷な環境に挑むプロフェッショナルに愛され続けるのだ