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Hands-On ヴァシュロン・コンスタンタン ヒストリーク 222を実機レビュー

ケースに引かれてブレスレットに着地した。

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20世紀のデザインについて語るとき、1970年代は悪趣味な表現が多く、魂を揺さぶるような狭間であったというのが定説になっている。しかし、その反例はいくつもあり、なかでも時計デザインの世界では最も劇的な例といえるだろう。

 しかし、そのなかには、現在でも十分に通用するだけでなく、場合によっては、現在の多くの時計を凌駕するものがあることも事実だ。パテック フィリップのノーチラス、オーデマ ピゲのロイヤル オーク、そして若き日のヨルグ・イゼックがデザインし、今年のWatches & Wonders 2022でヴァシュロン・コンスタンタンがイエローゴールドで復活させた222など、先駆的なブレスレットタイプのラグジュアリースポーツウォッチがその代表格である。

vacheron 222 watches wonders 2022

 さて、今週ジュネーブで新しい222を触ったり試着したりするまで、オリジナルの222を試す機会がなかった。ヴァシュロン・コンスタンタンのクリスチャン・セルモニ氏が新モデルを案内してくれたのだが、彼はヴァシュロンのアーカイブからオリジナルも持ってきていた。一見したところ、両者の間に大きな違いはないが、名目上は最小限の変更であっても、新しい体験が可能になっている。

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 時計の真髄は細部に宿るものだから、これは驚くことではない。新型の222は、ひと目見ただけで、ラグジュアリーな印象を受ける。ゴールドのケースと一体型のブレスレットは、手に取ると心地よい重量感があり、各要素の完成度の高さにあっという間に引き込まれた。222は、ノーチラスやロイヤル オークに比べると、やや1970年代に根ざした印象を受けるが、これはノーチラスやロイヤルオークのように、発売以来継続して世間の注目を浴びていないことも影響していると思う。注意深く観察しないと、この新しい222を非常に良い状態で保存されていたオリジナルモデルと間違えてしまうかもしれない。最も顕著な変更点は、日付窓の位置とフォールディング・クラスプの構造の2点だ。新モデルでは日付窓がわずかに文字盤の中央寄りに配置され、オリジナルとは異なり、分目盛りを遮らないようになっている。

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vacheron 222 watches wonders 2022 bracelet
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 ブレスレット一体型の時計は、ブレスレットがケースといかにうまくパ・ド・ドゥできるかで成功するか失敗するか決まるが、この点で、222は非常に成功している。ブレスレットは美しい機械加工とサテン仕上げが施され、多くのブレスレットが憧れながらも滅多に実現できないしなやかな柔軟性を持ちあわせている。私が経験したなかで、222と同じクオリティを持つ数少ないブレスレットのひとつが、現代の36mmのイエローゴールド製ロレックス デイデイトのブレスレットだ。ロレックスには、どんな価格帯でも最高のブレスレットがあるため、褒め言葉としてこの時計を紹介させてもらった。

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 ヴィンテージウォッチの魅力は、その時計が生まれた時にはまだ生まれていなかったとしても、過去とのつながりを表現し、ノスタルジーの鐘を鳴らすような経年変化から生まれるものです。しかし、こうした変化は機能性の低下を伴うことが多く、それはトリチウムやラジウムの文字盤の劣化によく見られる。その美しい褪色は、ヴィンテージウォッチに豊かな温もりを与えるが、当然ながら暗闇で時刻を知ることはできなくなっている。現代のスーパールミノバは、我々が知る限り、トリチウムと違って放射性崩壊に頼らずに光を生み出すため、劣化することなくほぼ無限に夜を照らす。新しい222は光源の少ない環境下でも気持ちよく時刻を読み取ることができるのだ。

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 ムーブメントのアップデートは、古くからの222マニアを失望させるかもしれない。オリジナルは伝説的なCal.1120が採用されており、オーデマ ピゲでは2120/21(ジャガー・ルクルト Cal.920)として知られている。私はこのCal.1120が史上最高のムーブメントのひとつであると断言してきたし、その立場を今も堅持している。新222は、レガシームーブメントを捨て、新ムーブメント、ヴァシュロン・コンスタンタンの自社製Cal.2455/2を搭載。ローターは18Kイエローゴールド、サイズは26.2mm x 3.6mmだ。

vacheron 222 for 2022, movement

 私は1120が大好きで、抽象的な表現になるが、ヴァシュロンがこの222の最初の復刻版(最初のというが、今後のモデルの可能性について事前情報を持っているわけではないが、もっと多くのモデルが準備されている可能性があると考えるのが妥当だろう)にこれを採用していたらと思うし、これを認めるのはとても辛くてタイピングする手が震えるほどだ。しかし、ひとたび新作の222を装着してみるとその欠落とも思える点にまったく気づかなくなるのだ。当時の技術的な解決策は時に素晴らしく、Cal.1120は時代の最先端を走っていた。今でも、フルローターのムーブメントの中で最もフラットなムーブメントだ。しかし、技術的な観点からは、現代のムーブメントの方がメンテナンスがしやすく、精度も高く、堅牢性も高いだろう。ゴールドの222をつけてマウンテンバイクに乗る人がいるわけではないと思うが(絶対にないとは言い切れない、スイスの高級時計製造の作品を身につけて、興味深いほど無謀なことをする人を私は見たことがある)、堅牢性に関しては、できる限りのマージンを取ってはどうだろうか?

vacheron 222 for 2022 case detail
vacheron 222 for 2022 maltese cross

 私たちの最初の取材に対する反応から、これはボレックス(Bolex)とフラテック フィルフリープ(Flatek Pilfleep)という韻を踏んだ名前のブランドを除けば、今回の展示会で最も関心の高い作品のひとつだと言ってよいと思う。確かにそう、他の競合製品に比べると、特定の時代や歴史に、あからさまに根ざしているものだ。しかし、それはバグではなく、特徴だと感じている(そう感じるのは、オリジナルが発売された当時、すでに大学受験を考えていた者として、私もその時代に少しばかりあからさまに根ざしているからかもしれない)。新しい222は、ヴィンテージの魅力が満載だが、それは、控えめに展開されながらも、決定的に優れた現代の手法と素材に裏打ちされている。両者のいいとこ取りをしたような、そんな感じだ。

価格:743万6000円(税込) スペックなどの詳細は、記事「ヴァシュロン・コンスタンタン ヒストリーク 222 70年代のヒット作が復活」参照。

All photos, Atom Moore

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