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Introducing ヴァシュロン・コンスタンタン ラ・ミュージック・デュ・タン レ・キャビノティエ・グランド・コンプリケーション・スプリットセコンド・クロノグラフ−テンポ 2020年新作

ヴァシュロン・コンスタンタン新作のスーパーコンプリケーションは、ダブルフェイスという離れ業をやってのけた。

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ヴァシュロン・コンスタンタンにとってのレ・キャビノティエ部門は、航空機メーカーであるロッキード社にとってのスカンク・ワークス(先進開発部門)の存在に似ている―どちらも世に察知されないうちに、最高の技術と、何年も休まずに続く開発期間が必要なアイデアを開花させる部門として設けられた。もちろんこれは、完全な相似とはいえまい。なぜなら航空機メーカーと異なり、レ・キャビノティエは技術的先進性と同時に、卓越した審美性をも追求しなければならないからだ。

 とはいえ、彼らの時計は―ほとんどが一点物だが―主に技術か美のどちらか一方にのみスポットライトが当たりがちだ。その意味で、グランド・コンプリケーション・スプリットセコンド・クロノグラフ“テンポ”は驚くべき複雑技巧を持つ傑作といえる。

 “ラ・ミュージック・デュ・タン ”と呼ばれるシリーズの一部であるザ・テンポは、ダブルフェイス・ウォッチでありベルトの特殊な取付システムによって、どちらの面を上にしても違和感なく装着できるのが特徴だ。文字盤は時刻とカレンダー機能(永久カレンダーとスプリット・セコンド・クロノグラフを含む)を表示する面と、トゥールビヨン調速機構と天文機能の表示を担う面とに分かれている。“ミュージック”の名のとおり、この時計にはミニッツリピーターも搭載する。

 レ・キャビノティエ の作るコンプリケーションウォッチに首尾一貫しているのは、この工房が快適な装着感を確保するための努力を惜しまないということだ。もちろんザ・テンポは50mm×21mmのサイズから、決して小さな時計ではないし、ましてスリムとは言い難いが、非常に装着性に優れる時計である。

 技術的な観点からは、大方のグランド・コンプリケーションと呼ばれる時計がそうであるように、何種類かの層を重ねて組み立てられており、ムーブメントプレートのそれぞれの層が特定の機能や連動する機能群を司っているのである。

 上の画像は、上述したように、時刻とカレンダー機能を担っている。左上のダイヤルに時刻が表示される。永久カレンダー表示は下半分の左右のサブダイヤルが担い、日付と曜日を左側、月と閏年は右側に配されている。クロノグラフ秒針とスプリットセコンド針はダイヤル中央から伸びている。

 右上のサブダイヤルは外周を現在時刻のスモールセコンド、内周をクロノグラフの30分積算計として使用する。ミニッツリピーターのスライドはケースの左側に配されているが、これは伝統的な位置である(右利きで左腕にミニッツリピーターを着用しているシーンで、右手親指でスライドを操作するほうが、右側にあるスライドを右手人差し指で操作するよりはずっと容易であろう)。

平均時間と永久カレンダー機構。

 ダイヤルの逆面には、複雑な情報表示を遥かに超える複雑な機械が控えている。上の画像で永久カレンダー用のプレートがご覧いただけるだろう。様々なギアが、4つのサブダイヤルに対応した4つの独立したグループに分かれているのにお気づきだろうか? 例を挙げると、下段右側のギアは月と閏年表示の切替機構である。

ダブルコラムホイールとラトラパンテ・クロノグラフ機構。

 ラトラパンテ・クロノグラフが古典的な時計製作の言い回しで、グランドコンプリケーションと呼ばれる3大コンプリケーション(永久カレンダーとミニッツリピーターが加われば揃う)の一角とみなされる理由は、ザ・テンポのメカニズムの複雑さに膨大な説明が必要となることからも分かるだろう。秒針とスプリット秒針はムーブメント中央の同軸上にセットされる(もちろん文字盤の中央にもなる)。

 上の画像の左上に2つあるコラムホイールの大きい方が確認できるだろうが、これはスタートとストップ、そしてリセットを右上のプッシュボタンを操作した際、稼働する。下段右にはスプリット機構を担うコラムホイールが見えるが、これはスプリット秒針を停止させたり、開放して秒針に同期するよう制御する部位である。スプリット機構のためのプッシャーは左下に配置される。技術的に分類すると、ザ・テンポは独立したスプリット作動ボタンを持つモノプッシャー・クロノグラフなのである。

 もう一方のダイヤルを見るために時計を裏返すと、ミニッツリピーター用のスライドとクロノグラフ用のボタンが同じ位置になるように(つまり、ケースの左と右のこと)、文字盤は両面が上下逆向きとなっている。天文表示の文字盤を見てみよう。短針と長針は平均太陽時/常用時を表すのではない。

 代わりに、これらの針は真太陽時(言い換えると、日時計で読む時刻と同じ)を表すのである。反対側の文字盤の常用時と真太陽時の違いは、どの日においても均時差が生じることだ(そして、常用時と真太陽時が同時に判読できる仕組みを、連続作動均時差表示と呼ぶ )。

 日の出、日の入は3時位置に表示され、日中と夜間の長さ(1時間単位)を9時位置に表示する。パワーリザーブの目盛りはトゥールビヨンのケージに掲げられ、そして6時位置には月の月齢と月相の逆回転表示が配置された。

ミニッツリピーターのカタツムリ型カム装置と歯ざお。

 一般に、ミニッツリピーター機構の2つの機能は、ムーブメントプレートの両面に配置される。ひとつ目は上の画像で示したとおりだ。ミニッツリピーターはカタツムリのような形状のカム装置を短針と長針の動力部に取り付けることで、時間を機械的に読み取ることで機能する。同じ画像で、4本のアームの付いたカム装置は分針に、ムーブメント中央部には15分単位用、そのすぐ上に1時間単位のカム装置が配置される。

 リピーターのスライドを操作すると、小さな主ゼンマイに動力が蓄えられ、スライドをリリースすると、後ろに引き戻された歯ざおが、リピーターの調速機構によってコントロールされたスピードで所定の位置に戻る。歯ざおは右上に確認することができるが、その歯が所定の位置に戻ると、ハンマー用のカンマ形の装置を通過し、ゴングに向かってハンマーの振り上げ、振り下げを制御するのだ。

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 リピーターは、いわば歯車の輪列と触れ合うことで時計とコミュニケーションを取ることに、私は興味をそそられるのだ―それは純粋な機械装置にのみ備わる感覚だ(電気なしで曲がりなりにも聴くことができる、年代物のワックスシリンダー蓄音機のようなモノは考慮にいれないことにしよう)。

トゥールビヨン;リピーター・レギュレーター、ハンマー、そしてゴング。

 2番目のリピーターのコンポーネントは、チャイムの間隔を調整するだけでなく、実際に音を奏でる装置だ。上の画像で、硬化されたスティール製のゴングがムーブメントの外周を囲むように配置されているのが分かるだろう(伝統的に、鋼鉄は熱した後、他の冷却手段よりも馬の尿の化学成分が、表層の硬化と音質の向上に期待できると考えられた)。

 ハンマーは右上に配置され、リピーターの輪列の回転速度を制御することでゴングのテンポも同期する、遠心力を利用したサイレントレギュレーターは10時位置付近に配置される。9時位置にはジュネーブ・シールが刻印されている(トゥールビヨンで加点されたわけではない)。

 ザ・テンポは時計という存在を超え、様々なレベルで人を楽しませることができる。確かに、機械として驚くほど素晴らしいだけでなく、ごく限られた人(非常に裕福なことは明らかだ)にしか所有の喜びは得られない。しかしながら、このような時計は会社のアイデンティティと矜持を時計業界に映し出すことに意義を見出すのだ。そのうえ、これらの時計は、その技巧と歴史を現代に伝える生きた美術館のようなものだ―現代の恵まれた頭脳と才能だけでなく、過去との絆をも深める存在なのである。

ヴァシュロン・コンスタンタン ラ・ミュージック・デュ・タン レ・キャビノティエ・グランド・コンプリケーション・スプリットセコンド・クロノグラフ―テンポ
ケース、18KPG、50mm×21mm;ダイヤル、サンレイ・スレート・オパーリンとギヨシェ彫りインナーリング。ムーブメント、ヴァシュロン・コンスタンタン Cal.2756,直径33.3mm(14 3⁄4リーニュ)、厚さ16.35mm。パワーリザーブ:約65時間、2.5Hz(毎時1万8800振動)40石。部品数1,163点、ジュネーブ・シール刻印。ミニッツリピーター、永久カレンダー、ラトラパンテ(スプリットセコンド)・クロノグラフ、 常用時と真太陽時の連続作動均時差表示。日の出、日の入、昼夜の長さ表示;月齢、月相の表示(レトログラード)。ヴァシュロン・コンスタンタン レ・キャビノティエによる1点物。詳細は
Vacheron-Constantin.com/jpまで。