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In Partnership

DESIGNED FOR DEEP, CREATED FOR ALL: ブランパン フィフティ ファゾムス バチスカーフ

日常生活でもダイビングでも使えるオールラウンダーとして誕生し、
今もなお進化し続けるフィフティ ファゾムス バチスカーフ

 創業地の名を冠したヴィルレと並び、ブランパンのアイコニックなコレクションとして知られるフィフティ ファゾムス。ヴィルレがブランドの長い歴史を体現するかのようなクラシカルな表情であるのに対し、フィフティ ファゾムスのルックスは実にスポーティでモダン。それは創業以来、ブランパンが追求し続けてきた革新性を象徴する姿と言い換えてもいいだろう。

本特集はHODINKEE Magazine Japan Edition Vol.3に掲載されています。

 1953 年に誕生したフィフティ ファゾムスは、当時ブランパンの CEO であったジャン - ジャック・フィスターがダイビング中に潜水時間を忘れ、溺没しかけた経験をもとに設計された、モダンダイバーズウォッチのパイオニア。ロック機構付きの回転式ベゼルや深海でも時間を判読できる優れた視認性、そして 50 ファゾムス(約91.45m)の防水性能は、その後のプロフェッショナルダイバーズウォッチの基準となるほどに完成された内容だったが、早くも 3 年後にはダイバーズファンに向けた新たなモデルを発表する。それが、日常づかいもできるようソフィスティケートされたデザインをまとったフィフティ ファゾムス バチスカーフだ。

 誕生から 65 年がたった 2021 年、フィフティ ファゾムス バチスカーフは、腕時計では初となるグレード23チタンをケースに採用したモデルを加え、コレクションの歴史に新たな 1 ページを刻もうとしている。

 チタン製ケースを採用した腕時計が次々と市販されるようになった1970年から80年代。軽量で高強度、耐食性にも優れる素材特性に加え、航空や宇宙産業にも用いられているというバックグラウンドを持ったチタンは人々の関心を呼んだ。しかしそれよりも以前、60年代初頭には、すでにチタンを採用した腕時計が製作されている。ブランパンがアメリカ海軍掃海艇チームのために製造したMIL-SPEC IIの特別モデルがそれで、ケースバックには耐水圧を高めるためのチタンが使われている。つまりブランパンは、モダンダイバーズウォッチのパイオニアであるだけでなく、早い段階からチタンと向き合ってきたブランドでもあるのだ。

1956年当時のフィフティ ファゾムス バチスカーフ。©Blancpain

チタンケースであっても熱間鍛造で加工される(写真はスティールケース)。©Blancpain

 新しいフィフティ ファゾムス バチスカーフがケース素材に採用したのはグレード23のチタン。この素材は現在、多くの腕時計に使われているグレード5チタンと同様、軽く、優れた耐衝撃性や耐圧性、耐食性を備えているものの、腕時計に採用された前例がない。それは、グレード23チタンは加工難易度が高い素材であるからだ。にもかかわらず、ブランパンがグレード23チタンを選んだ理由──それは、この素材が主に生物医学や医療分野で利用されている事実が示すように、グレード5に比べて抗アレルギーのレベルが高いからだという。つまりブランパンはこの特性に着目し、あえて加工が難しい素材の採用に踏み切ったのだ。それは、ブランドフィロソフィである“革新こそ伝統”を体現したものであり、ユーザーの満足度をより高めようとする真摯な姿勢の表れである。

 ブランパンは他社に先駆けてモダンダイバーズの姿を具現化するものの、1980年代はコンプリケーションの製作がメインとなり、ダイバーズウォッチは影を潜めてしまう。そんなブランパンが再びダイバーズモデルの製造に着手するのは、2000年代に入ってからのこと。フィフティ ファゾムス バチスカーフに至っては、誕生60周年の節目となった2013年にようやく復活を遂げたが、現代的なコンセプトを取り入れたこのモデルにはチタンが採用され、ダイバーズウォッチとしての性能はもちろん、日常での使いやすさをよりいっそう向上させての帰還となった。

 続く2014年にはフライバッククロノグラフ機能を搭載したモデルを発表。バチスカーフにとっての新規軸となる機能に加え、硬質なブラックセラミックをまとうことによって、クールで都会的なタイムピースへとビジュアル面でも進化を遂げている。

 バチスカーフにプレシャスメタルを用い、デイリーユースが可能なダイバーズウォッチとしての側面をより発展させたのが2015年 。ケースには変色しにくく、長年にわたって品のある色合いが楽しめるセドナゴールドを採用してスポーティ&エレガントなルックスを生み出し、バチスカーフに新たな魅力をもたらした。さらに翌2016年には、限定モデルで使われていたグレーのプラズマセラミックをレギュラーモデルにも採用。ダイヤルやベゼルを彩るブルーとのコンビネーションが軽快な一本に仕上げている。

 グレード23チタンを用いた新作もこれらの流れを踏襲していることは明白。先進素材のプラットフォームとも言い表せるバチスカーフは、ブランパンの革新性を象徴するコレクションであり、次なる進化を期待させる。

Photographs:Yoshinori Eto Words:Yuzo Takeishi Styled:Eiji Ishikawa(TRS)