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ブランパン フィフティファゾムス 伝説的なダイバーズウォッチのヒストリーを紐解く

最古の時計ブランドが手掛けるモダンダイバーズウォッチと2人のキーマン。

ダイバーズウォッチの歴史においてフィフティ ファゾムスの果たした功績は大きい。モダンダイバーズの機能とスタイルの礎といっていいだろう。だが誕生から70年近く経つ今も熟成し、進化を続ける。それは、ブランパンならではのハイエンドタイムピースであると同時に、時計を超えた、限界に挑み続ける情熱と大いなる海へのロマンチシズムゆえだ。

 偉大なレガシーにオマージュを捧げる3針仕様は、300m防水の45mm径ケースに、フィフティファゾムス用に開発された自社Cal.1315を搭載する。3バレルにより5日間のパワーリザーブを備え、スポーツウォッチにとって理想的なフリースプラングテンプを採用。グルシデュール製のテンワの周りには調整スクリューを装備している。ラインナップには、チタンケースもあり、耐衝撃性と耐腐食性に優れ、軽量性はダイビング中はもちろん、日常生活でも手首に負担を感じさせない。こうした素材にもモダニティを強く印象づける。

2007年にニュースタンダードとして発表された「フィフティ ファゾムス オートマティック」。

全面に鏡面仕上げが施され、風防だけでなく逆回転防止ベゼルも丸みを帯びたサファイア製。

 ダイバーズにデイリーユースという新たな魅力を開いたエポックメイキングがバチスカーフだ。フィフティ ファゾムス誕生から3年後、普段づかいの多いアマチュアダイバーや女性ダイバーに向けて開発された。ケースを小径化しつつ開口部は広く取り、フィット感と高い視認性を両立。デイリーユースの実用性からカレンダー機能が充実されたのも特徴だ。この伝統はコンプリートカレンダーやアニュアルカレンダーといったフィフティ ファゾムスの現行ラインナップにも受け継がれている。 

2013年に復活した「フィフティ ファゾムス バチスカーフ」。

先述のフィフティ ファゾムスと比較してやや小ぶりで、全面にサテン仕上げが施されている。逆回転防止ベゼルは細身でセラミックインサート採用。

 世界の海軍へのサプライヤーとしての歴史を物語る最新作も注目だ。1960年代中ごろに発表され、ドイツ海軍の潜水戦闘部隊にも採用された時計はNO RADIATIONSのロゴを文字盤に記し、ラジウム入りの放射性発光塗料を使用していないことを示す。この時計へのトリビュートモデルとして発表された2021年新作モデルは限定仕様ならではの40.3mm径ケースで、サファイアケースバックで300m防水を備える。また、内部に搭載する自社Cal.1151はシリコン製ヒゲゼンマイを備え、パワーリザーブも100時間を誇る。

ドイツ海軍の潜水戦闘部隊に使用されたモデルを再解釈した「フィフティ ファゾムス ノー ラディエーション」。

文字盤6時位置の"NO RADIATIONS"ロゴが最大の特徴。

本特集はHODINKEE Magazine Japan Edition Vol.2に掲載されています。

 1953年に誕生したフィフティ ファゾムスはモダンダイバーズの金字塔として名高い。だがブランパン復興期となった1980年代は、ムーンフェイズの復活などコンプリケーションの製作に注力したためダイバーズウォッチは製造されず、1997年にSSベゼルを備えた300m防水のダイバーズウォッチとして再登場したものの、フィフティ ファゾムスの本格的な復活は誕生50周年の2003年まで待つことになる。

 立役者となったのがマーク A. ハイエックだ。2002年にブランパンの社長兼CEOに就任したハイエックは幼少時からダイビングに親しみ、伝説のダイバーズ復活を第一に掲げた。その姿はかつてブランドを率い、フィフティ ファゾムスの生みの親となった当時のブランパンCEOジャン-ジャック・フィスターとも重なる。

初代フィフティファゾムス(©Blancpain, The Original Fifty Fathoms)

 50周年記念モデルは歴史的な名機を現代の最先端技術でよみがえらせ、Cal.1150を搭載してツインバレルで4日巻きの実力を備えた。内容は単なる復刻にとどまらず、改めて名作ダイバーズの存在を世に知らしめた。

 もちろんハイエックはこれを限定で終わらせるつもりはなかった。開発は野心的に継続され、満を持して2007年にニュースタンダードとなるモデルが登場。当時最新のCal.1315を搭載し、3バレルによる5日巻きを誇った。さらにこのときクロノグラフとトゥールビヨンを併せて発表し、ハイエンドのダイバーズであると同時に、最高級時計としてブランドが培ってきた機械式への情熱や複雑機構の伝統を注ぐフルコレクションを構築したのだ。そして2013年には50年代に深海探査艇から名付けられたバチスカーフを復活させ、新作はよりマニアックなヘリテージモデルも復刻している。

ジャン-ジャック・フィスター: ©Blancpain, Jean-Jacques Fiechter, Scenes from his early dives in the south of France

 そして今コレクションは、タイムピースの枠を超え、オーシャンコミットメントの名のもと海の環境保全や啓発活動といったブランドの取り組みをも象徴する。それは海との絆を深める新たなダイバーズを示唆しているのだ。

 名作ダイバーズの誕生にはふたりのキーマンがいた。ひとりは当時ブランパンCEOだったジャン-ジャック・フィスター。ダイビング愛好者だったが、あるときエア切れから緊急浮上することに。原因は水中での経過時間を誤ったことだった。そしてこれを機にダイバーズウォッチの開発の必要性を痛感する。

 しかし伝統的なスイス時計ではダイバーズの前例は少なく、フィスターがまず取り組んだのは防水性の向上だった。そこで独自のケースバック構造と二重密閉構造のリューズを発明し、いずれも特許を取得。さらに自らの経験から回転式ベゼルの重要性を痛感し、押し込まなければ回転しないロック機構付き回転べセルという誤操作防止の安全機構を開発したのだ。

ロベール・“ボブ”・マルビエ大尉: ©Blancpain, Bob Maloubier wearing the Fifty Fathoms

 完成への道筋をつけたもうひとりの男がフランス軍のロベール・“ボブ”・マルビエ大尉だ。新設した特殊潜水部隊の装備品としてダイバーズを探し求め、フランス最大の時計メーカーに打診したものの望む結果は得られなかった。そんななかフィスターの存在を聞きつけたマルビエは試作の機能と信頼性に満足し、追加したのは耐磁性だけだった。軟鉄製インナーケースを新設し、1953年にフランス海軍に制式採用されたのである。

 この実績からフィフティ ファゾムスはドイツ、アメリカといったエリート海軍に制式採用された。なかには文字盤に放射性物質不使用を意味するNO RADIATIONSのロゴがスタンプされたドイツ軍仕様や、水密性表示を記し、MIL-SPECと名付けられたアメリカ軍仕様といったユニークなモデルも数多い。

©Blancpain,フィフティ ファゾムス MIL-SPEC1

©Blancpain,フィフティ ファゾムス ノー ラディエーション

 フィフティ ファゾムスというコレクション名はイギリスの水深測定単位であるファゾム(1.8288m)に由来し、50ファゾムス(約91m)は当時スキューバダイバーの限界水深とされていた。だが技術革新とともに最深度は伸びた。そしてフィフティ ファゾムスもまた限界に挑戦するシンボルであり続けるのだ。

Photographs:Jun Udagawa Words:Mitsuru Shibata Styled:Eiji Ishikawa(TRS)

フィフティ ファゾムス フェア

  銀座のNICOLAS G. HAYEK CENTERリニューアルオープンに伴い、ブランパン ブティック銀座では、「フィフティ ファゾムス」のフェアが開催される。

【フェア詳細】
・期間: 7/1(木)~7/31(土)
・住所: 〒104ー8188 東京都中央区銀座7ー9ー18
・会場:  ニコラス・G・ハイエック センター4階 
・TEL: (03)6254ー7233

 今回のために特別にスイスから取り寄せたフィフティ ファゾムスの希少なヴィンテージピースの展示、スイスにあるブランパンのアトリエの中をデジタルで見学することができるバーチャルツアーや、通常入ることのできない、アトリエ内のヴィンテージ部門をはじめとする各制作部門のショートムービーなどもiPadで見ることができる。バーチャルツアーの参加者は、ブランパンのオリジナルギフトを手に入れることができる(※数量限定)。