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March 06, 2021
オシアナス カシオによる外装表現の粋を凝らしたエレガントウォッチの現在地
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オシアナス カシオによる外装表現の粋を凝らしたエレガントウォッチの現在地

オシアナスの表現力が目覚ましい進化を遂げている。その原動力となっているのは、カシオが掲げるCMFデザインコンセプト。COLOR(色)、MATERIAL(素材)、FINISH(仕上げ)の3要素を追求することで、果てしなく価値を広げてきた現在のオシアナスを読み解く。

オシアナスというコンセプト

G-SHOCKをはじめとするデジタルウォッチで蓄積した技術力を、高級感あふれる薄型フルメタルケースに搭載したアナログ電波ソーラー時計である、オシアナス。その上質なデザインのルーツは、2000年代初頭のヨーロッパにある。カシオの若き企画担当者が、欧州出張中に様々なモノ、コト、ヒト、さらには街の空気感に刺激を受けながら着想を得たアイデアが、2004年の初代オシアナスに結実した。

 モデル名はギリシア神話の海の神「オケアノス」に由来し、ブランドロゴのモチーフは波。“オシアナスブルー”は、もともと地中海の青なのだ。考えてみれば、電波ソーラーの機能性とエレガンスを高度に両立した時計など、当時は思いもよらなかったではないか。オーバースペックではなく、実用性から生まれた機能美と洗練のデザインが程よくミックスされ、スポーティすぎず、固すぎない新スタイルが生まれた。絶対精度を備えた美しきこのメタルアナログ・ウォッチは、世のビジネスパーソンから大きな支持を受けたのである。

高密度実装技術とチタンの採用

クォーツに関して世界最高レベルの高精度なエレクトロニクス技術を集積する山形カシオのPPL(Premium Production Line)。静電気や埃は大敵のため、スイスブランドの機械式時計工房と異なり、技術者は全身防護服を着衣。カシオが自社開発した製造マシンや専用ロボットで人間の限界を超えた精密な作業を行い、技術者の匠の技と感性による緻密な手作業で仕上げていく。

 フラッグシップモデルである「オシアナス マンタ」が誕生した2007年の時点で、クロノグラフ電波ソーラーとして“世界最薄”だった初代マンタのケースは10.2mm厚。だが、現行OCW-S5000に至ってはさらに薄い9.5mm厚。しかも機能的にも劇的に進化しており、クロノグラフやワールドタイムはもちろん、マルチバンド6対応電波ソーラー、スマートフォンリンクなどの多機能を実装したうえでの“薄さ”を実現している。カシオ技術陣はひとつひとつのパーツを0.01mm単位で小型・薄型化し、それらを基盤の両面ではなく片面に集積してスペースを切り詰めた。さらには外装素材に軽量なチタンを採用して、エレガントに、腕になじむ装着感を実現した。

 こうした高度なモノづくりを支えるマザーファクトリーが「山形カシオ」。ハイエンドG-SHOCKのMR-Gやオシアナスは、その中でも限られた技能認定作業メダリストのみが立ち入りを許される「プレミアム プロダクション ライン」(PPL)で製造・組み立てが行われている。つまり、オシアナスは誇り高き100% Made in Japanなのである。

C=カラー表現 ジャパンブルーの多彩さ

   “耐衝撃構造”という強烈なアイデンティをもつG-SHOCKと同じく、オシアナスのエレガントな薄型メタルケースも、かつては機能美をベースに語られることが多かった。しかし、技術が熟成されてきた現在、製品の“形”だけではなく、「色、素材、仕上げ」といった“面”におけるデザインが注目されている。それがCMFデザイン。形がシンプルになると、個性をアピールしにくくなる。だが、CMFを追求することでたとえばiPhoneのように、カラー展開やグラフィック、素材の質感や手触りなどで自分らしさを主張できるのだ。カシオは10年ほど前からこのCMFデザインに取り組んでおり、最近ではカーボンやレインボーIP、カモフラージュ柄、メタル外装などをG-SHOCKに採用。伝統工芸の江戸切子とコラボした2019年の限定オシアナス マンタも話題を呼んだ。

 振り返れば、オシアナスを象徴する「ブルー」も、CMFデザインの成果だったに違いない。スパッタリングや蒸着など、時には量産に向かない手法を用いて「青い金属色」ともいえる独創のブルーを表現してきた。JAPAN BLUEとして国内外で広く知られる“藍染め”を取り入れた新シリーズ「Japan Indigo~藍~」においては、さらに多彩なブルーで色表現を行っている。

OCW-T2600ALB(左)とOCW-S5000APL(右)。

 まずは上の「Japan Indigo~藍~」ダイヤルだ。マンタの高品位な2モデルには、江戸時代に発展した天然阿波藍で白蝶貝を着色してメインダイヤルに配し、インダイヤルソーラーと組み合わせた。ブレス仕様のOCW-S5000APはシルバーから紺色へグラデーションする24面カットサファイアガラスをダイヤル見切りに、またブルーからパープルへのグラデーションIPをベゼルに施し、天然阿波藍の“ぼかし染め”をモチーフとしたダイヤルを含めれば、なんとトリプル・グラデーションである。

 一方、レザーストラップ仕様のOCW-S5000APLは、染液がグリーンを経て藍色に変わる“遷り変わり”をモチーフとしたダイヤルに、グリーンからブルーへのグラデーションをダイヤル見切りに施し、挿し色のグリーンをきかせている。そしてクラシックラインの2モデルは、染めの回数によって変化する藍染めの風合いをイメージして、濃いブルーダイヤルのOCW-T2600ALAと淡いブルーダイヤルのOCW-T2600ALBが用意された。

 「Japan Indigo~藍~」は、ダイヤルと同じく天然藍で染めたオシアナスブルーのストラップも素晴らしい。マンタOCW-S5000SPLの高級感漂うクロコダイルストラップは、もちろん素材、色ともに本物の藍染めだし、クラシックライン2モデルは、絞り染めによって白っぽい模様を入れたカーフをソフトウレタンに貼り合わせたストラップのほか、染めの作業を繰り返して濃く染め上げ、“止紺”といわれる色味を表現した交換用カーフストラップも付属する。これら3タイプとも職人が1本1本を染め上げているため、厳密にはふたつとして同じものがない。この微妙な製造上のブレを個性として積極的に取り入れるのも、CMFデザインらしい視点といえる。

 そもそも天然藍は合成藍に比べて、染料作りに大変な手間と時間がかかる。だが、化学染料では決して出すことができない、日本の伝統工芸によるみずみずしいブルーの色彩が、時を経るにつれて味わいを深めていく。そんな気品あふれる藍色のほのかな変化に、自身の人生の移ろいを重ねてみるのも一興だ。

F=フィニッシュ 研磨やエッジを強調する

 オシアナスの薄型メタルケースが、スーツスタイルの腕元に美しい輝きと品格を与える理由のひとつは、高度な“磨き”にある。特に有名なのが、外装仕上げの下地処理として施されるザラツ研磨だろう。これは回転金属板にケースを押し当て、歪みのない美しい平面を生み出すための加工方法で、熟練職人の長年の経験が必要とされる。ザラツ研磨を施すと、平面と曲面のつなぎ目となるエッジが際立ち、メリハリのある高級感が生まれる。オシアナスのようにサテン仕上げとうまく組み合わせれば、立体感のあるエモーショナルな表現も可能となる。こうした感性に訴えるモノづくりこそ、CMFデザインの真骨頂といえる。

M=マテリアル チタンとサファイアを自在に操る

 オシアナスのスポーツライン「CACHALOT(カシャロ)」の語源は、世界一の潜水能力と巨体から“最強の海洋生物”ともいわれるマッコウクジラ。2020年、その名にふさわしいISO規格200m潜水用防水を誇るOCW-P2000が誕生した。多くのユーザーが実物を手にして最初に心惹かれるのは、やはりカラーベゼルだろう。本格ダイバーズウォッチとして逆回転防止機構と、暗所でも視認できる12時位置の蓄光は当然として、潜水中に重要となる酸素ボンベの残り20分を示すカラーリングを、CMFデザインを活かしてサファイアクリスタルで巧みに仕上げている。
 OCW-P2000-1AJFはオシアナスブルーを、ラバーストラップ仕様のOCW-P2000C-2AJFは海に沈む太陽をイメージしたレッドとブルーを、そして限定のOCW-P2000D-2AJFはブルーとゴールドを蒸着し、タフなダイバーズにしてオシアナスらしい優美さをキープした。

 カシャロOCW-P2000は気密性を高めるために、通常4本のビス留めである裏蓋が、8本のビスでロックされる。また、凄まじい水圧に耐えるためケースはビッグサイズになり、5連ブレスはウェットスーツの上からでも着用できるようエクステンション機構を装備。こうした外装部においても、軽量でアレルギーフリーの純チタンを採用しているのもオシアナスの特徴だ。チタンカーバイト処理で表面を硬化させて耐摩耗性を高めており、発色も美しい。マッシブなカシャロでも、チタン製であればこそ軽快に日常使用できる。

 マテリアル(M)としてポテンシャルの高いチタンだが、限定カシャロOCW-P2000D-2AJFはブルーとゴールドのサファイアレジスターリングに合わせて、ベゼルのチタンパーツにレインボーIP、リューズとプッシュボタンにゴールドIPを施すなど、カラー(C)とフィニッシュ(F)にもこだわった。このときデザイナーがイメージしたのはナイトダイビング。暗い海で輝く光を、時計全体でエレガントに表現したという。

 カシオがこだわりを見せるCMFデザインとは、時計表面の付加価値を高められることにある。そこに作り手の“メッセージ”を載せることができるのだ。これは、時計製造を開始してから、耐衝撃や高密度実装技術など、“ものづくり"に邁進してきたカシオにとって大きな変化といえる。技術や性能を時計に載せ続けてきた同社だからこそ、メッセージ性を強めたオシアナスは新たな挑戦の産物なのかもしれない。

 これからカシオがやるべきこと、オシアナスができることは、それこそ無限に広がっている。 

Photos: Fumito Shibasaki(2S) Styled:Eiji Ishikawa(TRS) Words:Takahiro Ono