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グランドセイコー 誕生60周年を祝うキャリバー9SA5と9RA5がもたらす革新、その矜持

ブランド誕生60周年を迎え、グランドセイコーは新たな成長の周期に入った。

  1960年、「世界に通用する高精度で高品質な国産最高級の腕時計」を目指し生まれたグランドセイコーは、今年60周年を迎えた。「60」は、時計における秒針の1周期である。2020年をブランドにとっての重要な節目と捉えたグランドセイコーから登場した2つの限定モデルには、それぞれブランドの次世代を担う革新的な新型ムーブメントが潜んでいる。1つは「メカニカルハイビート 36000 80 Hours」(Cal.9SA5)、もう1つが「スプリングドライブ 5 Days」(Cal.9RA5)。いずれも精度を向上させ、かつロングパワーリザーブをかなえて実用性も高める、新しいメカニズムが採用されている。さらに基本構造も見直し、薄型化を実現。結果、時計全体の重心が下げられ、装着感もより良好になった。初代機の誕生以来、グランドセイコーは「正確さ」「美しさ」「見やすさ」を追求してきた。これに60周年の今年、長時間駆動による「使いやすさ」と低重心による「着け心地」をも進化させ、高級時計としての新たなステージに至ったのだ。


グランドセイコー ヘリテージコレクション グランドセイコー60周年記念限定モデル メカニカルハイビート36000 80 Hours SLGH002

 ヘリテージコレクションの最新作「SLGH002」が搭載するCal.9SA5は、既存のメカニカルハイビートムーブメントを大きく進化させた意欲作である。まず調速を司るテンプには、フリースプラングを初採用。さらにヒゲゼンマイは、約8万通りものシミュレーションから最適解を導き出した、これまた初の巻き上げヒゲとなっている。これらにより優れた等時性を長期にわたって保持することが可能となった。
 

 さらに革新的なのは、新開発の「デュアルインパルス脱進機」。ゼンマイからの駆動力をアンクルを介してテンプへと伝えるのは、従来のスイスレバー式と同じだが、Cal.9SA5はテンプの振り座に爪石を持ち、ガンギ車の長い歯先がこれを直接打って駆動することで、さらなる高効率化を実現したのだ。脱進機は超精密加工技術MEMSによって軽量化もされ、また2つの香箱を積むことで3万6000振動/時と約80時間のロングパワーリザーブを両立。

 Cal.9SA5は、新時代の時を刻むにふさわしい。

 画期的な新型ムーブメントが潜む「SLGH002」は、デザインでもグランドセイコーの新時代を感じさせる。例えばベゼル。サファイアクリスタルとの境に、既存にはなかった筋目仕上げの平面が追加され、凛とした佇まいを手に入れている。さらにダイヤルに目を移せば、12時のインデックスは一層大きく形作られ、視認性を高めると同時により力強い印象となった。時分針も長さだけでなく太さにもメリハリが付けられ、より見やすくなっている。また太くなった時針の中央には縦溝が施され、植字インデックスの造作と共鳴しているようだ。

 搭載するCal.9SA5は、独自の水平輪列構造による薄型設計が特徴。それを包むケースも薄くでき、装着感は高まり、またエレガントでもある。グランドセイコーが追求する「見やすさ」と「美しさ」に、より磨きが掛かったといえる。

SLGH002
450万円(税抜)
搭載するCal.9SA5は、岩手県雫石の岩手山や清流から着想を得た温かみのある曲線を随所に配し、美観も整えられている。日付表示も、瞬転式へと進化。限定100本。自動巻き。18KYGケース。径40mm。厚さ11.7mm。日常生活強化防水(10気圧防水)。8月上旬発売予定。グランドセイコーブティックのみのお取り扱い。


1960-1998-2020 受け継がれるセイコースタイル

左より初代グランドセイコー(1960年)、初代9S系メカニカルキャリバーを搭載した SBGR002(1998年)、SLGH002(2020年)。

 美しさと見やすさとが両立するグランドセイコーは、9つのデザイン要素によって構築されている。「セイコースタイル」と呼ばれる、独自のデザイン言語だ。これを遵守することで、どのモデルもひと目でグランドセイコーと分かる、アイコニックな外観が生まれる。確立されたのは、1967年誕生の「44GS」。「多面カットのインデックス」、「多面カットの太い時分針」など、いくつものディテールは初代から受け継がれている。
 1998年に復活したメカニカルムーブメント搭載モデル「SBGR002」でも、セイコースタイルは貫かれ、「多面カットの太い時分針」や「他の2倍の幅を持つ12時インデックス」といった要素が盛り込まれている。「鏡面研磨されたケース平面」は、美を織り成す重要な要素だ。回転する金属盤に押し当て磨く、ザラツ研磨の職人技により、歪みのない鏡面がかなえられている。 「SLGH002」は、これらの要素を受け継ぎながら、前述のように再解釈がなされており、グランドセイコーの新たなスタイルを提示したのだ。


グランドセイコー スポーツコレクション グランドセイコー60周年記念限定モデル スプリングドライブ 5 Days SLGA001

 ダイバーズウォッチである「SLGA001」には、新開発の自動巻きスプリングドライブCal.9RA5が潜む。ゼンマイのほどける力を動力源としながら、水晶振動子とICとで精度を制御する独自のメカニズムは、温度変化や衝撃に強く、600m飽和潜水仕様のプロフェッショナルダイバーズに搭載するにふさわしいといえる。

 新型Cal.9RA5の一番の特徴は、「デュアルサイズバレル」というサイズが異なる2つの香箱を搭載することで実現された約120時間(約5日間)ものロングパワーリザーブだ。これに連なるりゅうず用の手巻き輪列を、大きな1枚プレートで受ける「ワンピースセンターブリッジ」という構造により、頑強な設計となっている。2つの香箱は、セイコーが得意とするマジックレバー式の自動巻き機構が高効率に巻き上げる。元来厚みが必要な同機構も、その有り様を革新。巻き上げ効率の兼ね合いから、ローターの中心にしか置けなかったマジックレバー車を、その軸をクランク構造にすることで、効率を下げることなくムーブメント中心からのオフセット化を可能とし、薄型化をかなえたのだ。長時間駆動でも薄い新型スプリングドライブで、グランドセイコーはさらなる極地へとたどり着いた。


スプリングドライブの鼓動を司るセイコーエプソン(株)塩尻事業所

新たに開発されたCal.9RA5。実質的な開発期間は3年ほどだが、構想自体は15年以上にもわたって練られたという。

※本ムーブメントについているりゅうずはダミーになります。

 今回の2つの新キャリバーはいずれも革新的で、グランドセイコーのマニュファクチュールたる所以を見せつけられたものであるが、独自性という意味では世界で同社しか持ち得ないスプリングドライブの進歩は非常に興味深い。その技術革新は上で述べたとおりだが、これの開発で苦心した点をセイコーエプソン(株)塩尻事業所の技術者に尋ねた。

 「グランドセイコー初のスプリングドライブは、2004年に発表した約72時間のパワーリザーブをもつ自動巻きキャリバー9R65でした。今回は、9R65で到達ができなかったサイズに挑戦したいという想いがあり、薄型化に取り組んだのです」
 薄型化に最も貢献したのはマジックレバーのオフセット化で、Cal.9R65比で0.8mmも薄くなったというが、これは逆に厚みを増してしまう可能性もあったという。
「本来ムーブメントの中心に置かれることの多い巻き上げ用のマジックレバーですが、それをオフセットしたことで、一番伝え車の軸を太くする必要が生じました。しかし、この軸をクランクさせたことでその問題は回避することができ、薄型化を達成しつつオフセット化にも成功。ムーブメント自体の薄型化にも光明が見えたのです」

セイコーエプソン株式会社 ウエアラブル機器事業部 WP開発設計部・平谷栄一さん。

独自のオフセットマジックレバー。右のマジックレバー車の軸がクランクしていることが分かる。

 Cal.9RA5には薄型化にとどまらない、ユーザーフレンドリーなチャレンジがまだある。それは、約120時間のロングパワーリザーブで、Cal.9R65の約72時間から大幅な向上となっている。
「ロングパワーリザーブを達成するためには、ツインバレルの採用が長い間アイデアとしてありました。しかし、これには第一香箱と第二香箱が両方とも100%まで巻き上がる必要があり、9R65誕生からこれまでの間、実現できなかった技術なのです。当初は他社がやっているような、香箱同士を直列でつなぐツインバレルを想定していましたが、同じサイズの香箱を搭載すると必ずデッドスペースが生まれ、効率的なレイアウトの実現は困難。そこから、大きさの異なる"デュアルサイズバレル"構想が生まれ、厚みも材質も異なる2つの香箱・ゼンマイが誕生したのです」
 

デュアルサイズバレル。第一香箱(右)の方が直径は小さいが厚く、第二香箱(左)は大きく薄型なのが秘訣。ゼンマイの材質もそれぞれ異なったものを用い、巻き上げのバランスが保たれている。

高い堅牢性をもたらすワンピースセンターブリッジ。非常に立体的構造をもつため工作自体が難しく、高度な組み上げ技術も要求されるという。


着用時の見栄えにこそ職人が技を費やす価値がある

 SLGA001の外観は、プロフェッショナルダイバーズらしく、いかにも頑強で力強い。しかしこれにも、セイコースタイルは継承されている。ケースとベゼルとの「接線サイドライン」を大きな曲線としているのは、グランドセイコーのデザイン哲学からきている。「鏡面研磨されたケース平面」も同様だが、それら平面をより強い傾斜でファセットカットすることで、屈強なシルエットが創出された。多面体のフォルムは、ザラツ研磨によって歪みのないシャープな稜線が整えられ、グランドセイコーらしい品格のある輝きを手に入れている。

 ケース厚は、600m防水としては異例の薄さである16mmを誇る。これは薄型ムーブメントの恩恵であり、重心も低く装着感にも優れる。4時位置リューズや針とインデックスのデザインは、ダイバーズウォッチとして伝統的なスタイルを採用。そしてダイヤルカラーには、限定モデルならではのブランドを象徴する「グランドセイコーブルー」を用い、60周年の節目を寿いでいる。

短くスポーティなラグも軽快な装着感を助ける。ケースサイドは、裏蓋にかけてカットアウトされた形状のため、スペックほどの厚みは感じない。

裏蓋には獅子の刻印が。「時計は一度生まれると20〜30年も第一線に居続けるということを考えなければならない。時間が経っても見劣りしないものを作る」という開発者の想いを語りかけるようだ。

SLGA001
115万円(税抜)
ケースは、何度も分解メンテナンスできる構造。付け替え用の強化シリコンストラップが付属する。限定700本。自動巻きスプリングドライブ。ブライトチタンケース。径46.9mm。厚さ16mm。600m飽和潜水用防水。8月上旬発売予定。グランドセイコーブティック、グランドセイコーサロン、グランドセイコーマスターショップのみのお取り扱い。


技術革新によって高められた質感が、装いの格をもう一段上げてくれる

 SLGH002は、海外戦略を明確に意識したグランドセイコーだといえる。セイコースタイルを引き継ぎながらも、よりはっきりとデザインされたインデックスや針など、ややスポーティな意匠が加えられた本機は、従来機より間違いなく手首で強く主張する。これが現代のGSの姿なのだと、新たに手に取る層に訴えかけるようである。
 着用感はその主張に比例せず、短くカーブしたラグ形状の恩恵で意外なほどに良好だ。デザイン面ではクラシカルなGSと一線を画しているが、着け心地においては明らかにブランドが培ってきたノウハウが息づいている。それは世界で100人しか享受できない、ブランドが歩む未知の地平への新たな一歩である。未来から見たその足跡は、確実に貴重なものになるに違いない。

 SLGA001は、現行のグランドセイコー スポーツコレクションでも屈指の600m防水を誇る堅牢性の高いモデル。当初、新キャリバーである9RA5を、ケースバックから眺めることのできないダイバーズウォッチに搭載したことに正直疑問を抱いたが、グランドセイコーはこれによって、ブランドの中で最も屈強な時計ですらこの厚みで作れるという線引きをしたのだ、とその真意を想像した。
 開発チームの平谷さんのお話を聞いて、その謎が解けた。それは、新キャリバーがダイバーズウォッチにおいて必要な、時計の精度と耐衝撃性等を同時に担保していることを証明するためであったのだ。さらに、ムーブメントの薄型化により時計の重心が下がったことで、腕への装着感も向上させたのだ。屈強なダイバーズが日常的に違和感なく使える、そんな未来を見せてくれる1本である。

 より詳細についてご覧になるには、グランドセイコー公式サイトへ。

Photos:Fumito Shibasaki(2S)、Keita Takahashi(Shiojiri Manufacture) Words:Norio Takagi、Yu Sekiguchi(Shiojiri Manufacture) Styling:Eiji Ishikawa(TRS)