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In Partnership

ジャケ・ドロー 創設者から継ぐ300年を宿した結晶 3つのピラー・エレメント

ブランド創設者であるピエール-ジャケ・ドローは、今年生誕300周年にあたる。顧客の細かな要望に応え続けることで、伝統的技法を今に継承するこの稀有なブランドは3つの大きな柱によって形成されている。

1721年生まれの時計師ピエール-ジャケ・ドローはまずは時計製造で名を成し、その後は時計のムーブメントに音楽機構やオートマタを組み込むことで多くの王侯貴族や富裕層から支持された。こういった彼の偉業を現代に伝えるのが、ジャケ・ドローだ。彼の代表的な作品である“大きな秒表示”の「グラン・セコンド」を軸に、懐中時計に用いられていた工芸技法を用いた「アトリエ・オブ・アート」、そしてからくり仕掛けの「オートマタ」がコレクションの中心だが、そのすべてに他にはない独自性がある。今年はピエール-ジャケ・ドローの生誕300周年。そんな節目を迎えるこのブランドの、コア・バリューを形成する3つの柱を解き明かそう。

グラン・セコンド ムーン マットブラック Ref.J007523340

大きな秒表示に重ねるように、カレンダーとムーンフェイズを組み合わせた文字盤が特徴。18KRGケース、カーフストラップ。ケース径41mm。3気圧防水。自動巻き  Cal.JD2660QL4。

Pillar1 グラン・セコンド
自社でエナメル文字盤を手掛ける稀有な時計ブランド

18世紀にピエール-ジャケ・ドローが製作した懐中時計の復刻版(右)と初代グラン・セコンド(左)。この懐中時計はコレクション全体のオリジナルとなったもので、8の字を描く特徴的なダイヤルデザインが、今なお斬新である。ラ・ショー・ド・フォンとロンドンについで3番めの工房であるジュネーブで製造されたとされる。

現在のジャケ・ドローのアイコンモデルとなるのが、オフセンターの時刻表示をオフセンターで配置し、8の字になるように大きな秒表示を配置するグラン・セコンドである。このデザインはピエール-ジャケ・ドローが1784年ごろに開発した懐中時計がベースとなっており、優雅さと独創性、そして歴史の重みを兼ね備えたモデルとなっている。このデザインは他に比べてダイヤルに余白が大きいのだが、ここを美しく演出するのもジャケ・ドローの流儀だ。主に用いるのは、初代の懐中時計でも使用されているグラン・フー エナメルで、独特な質感でグラン・セコンドの大きな余白を美しく演出する。このエナメルダイヤルは熟練職人の手仕事から生まれるが、製造がとても難しいため専門メーカーに外注するのがセオリー。しかしジャケ・ドローはグループ内でエナメルを作っており、満足ゆくまで時間をかけて高品質なダイヤルを製作できる。だから余白さえも美しいのだ。

グラン・セコンド ムーン マットブラック Ref.J007523340 333万3000円(税込)

ベルベットな風合いのベルトと合わせて、ダイヤルにもマットブラック加工が施された。このモデルでは初めて41㎜サイズを採用。

グラン・セコンド ムーン アイボリーエナメル Ref.J007523200 345万4000円(税込)

アイボリーのグラン・フー エナメル文字盤が用いられた正統派な1本。よりクラシカルな手縫いのアリゲーターストラップが付属する。

Pillar2 アトリエ・オブ・アート

プティ・ウール ミニット“ドラゴン” Ref.J005123207 441万1000円(税込)

秒表示が無くなったことで生じたスペースに、美しいドラゴンを描いた。このデザインは「ロード・オブ・ザ・リング」などのイラストを手掛けたファンタジーアートの巨匠ジョン・ハウが担当。世界限定18本。18KRGケース、アリゲーターストラップ。ケース径41mm。3気圧防水。自動巻き  Cal.JD2653。

ジャケ・ドローの細密画技術

グラン・フー エナメルとミニアチュールペインティングを融合した、ジャケ・ドローのお家芸とも言えるのがアトリエ・オブ・アートだ。自社製造の強みにより、今作ではドラゴンのイラストをよりダイナミックに配置、裏面のローターには竜の鱗をエングレーブしている。

ジャケ・ドローの時計は、時刻を知るためだけに存在しているのではない。むしろアートとして楽しむのが正解だ。同社ではマニュファクチュール内に「アトリエ・オブ・アート」を構えており、現在は4名のエングレーバーと3名のエナメル職人が、ピエール-ジャケ・ドローの時代に確立された古典的な技法を継承しながら、アートピースのような作品を作っている。プティ・ウール ミニット“ドラゴン” は、マニュファクチュールがあるラ・ショー・ド・フォンに近い都市ヌーシャテルに暮らす、ファンタジーアートの巨匠ジョン・ハウとのコラボレーション。彼が描いた幻想的なドラゴンの姿を、熟練のエナメル職人がミニアチュールペインティングの技法で、美しいダイヤルへと仕上げている。そして描かれたダイヤルは焼き上げられることで強固となり、数百年も劣化せずにその姿を保ち続ける。それはまさに希少な時を刻むアートであり、時計を眺めることに、この上ない喜びを与えてくれるのだ。

Pillar3 オートマタ

バード・リピーター 生誕300周年記念モデル Ref.J031033211 6276万6000円(税込)

ケースサイドのスライダーを操作するとミニッツリピーター機構が作動して音で時刻を知らせると同時に、二羽のコマドリが動き、足元のヒナにえさを与えるという心温まる世界を表現したオートマタ。世界限定8本。18KRGケース、アリゲーターストラップ。ケース径47mm。非防水。手巻き  Cal.JD RMA88。

美しい置時計で名声を得たピエール-ジャケ・ドローは、18世紀の中頃からオートマタ(からくり機構)の開発を始める。時計と同様にゼンマイを主動力とし、歯車やカム、レバーなどの組み合わせによって動く人形は、ヨーロッパ中の王侯貴族を夢中にさせた。現在のオートマタは、こういったからくり機構を腕時計サイズに縮小し、複雑機構と組み合わせている。その精密さは驚くばかりであり、ジャケ・ドローでは2名の専任時計師がその製造を行っている。からくり機構だけでも驚きだが、しかもバード・リピーターでは、エナメルやエングレービング技法を用いて、立体的にロマンティックな世界を表現。ダイヤル上に描き出したのはブランド発祥の地であるラ・ショー・ド・フォンの自然風景であり、古の時計産業への敬意も込められている。

「文筆家(The Writer)」。現在ではスイスのヌーシャテル美術歴史博物館に展示中。

1774年に発表された3体のオートマタで最も複雑な機構を持つThe Writer。

ピエール-ジャケ・ドローの最高傑作とされるオートマタである「文筆家(The Writer)」は、1774年に発表された。ゼンマイ仕掛けのこの人形は、40文字のアルファベットを書くことができ、改行の際に筆をインク壺に入れたり、書いている手元を目が追うようになっていたりと、細部のディテールや動きの演出にもこだわった。ピエール-ジャケ・ドローは、同時に発表した「画家(The Draughtsman)」と「音楽家(The Musician)」という3体のオートマタをもってヨーロッパを巡回し、フランス王ルイ16世とその妻マリー・アントワネットなど多くの王侯貴族に接見し、大いに驚かせたという。そしてこういった驚異的な技術で人々を喜ばせる精神も、現在のジャケ・ドローへと受け継がれているのだ。

「ピエール-ジャケ・ドロー生誕300周年記念フェア」が開催中

リニューアルされたばかりのニコラス・G・ハイエックセンターに位置するジャケ・ドロー ブティック銀座では、今回ご紹介したグラン・セコンド ムーンやプティ・ウール ミニット“ドラゴン”をはじめ特別な時計たちの展示を実施中。

日時:2021年7月1日(木)〜8月1日(日)
会場:ジャケ・ドロー ブティック銀座
   東京都中央区銀座7-9-18 ニコラス・G・ハイエックセンター4F
営業時間:11時〜20時(月〜土)、11時〜19時(日・祝)、不定休
Tel:03-6254-7288

Photographs by Fumito Shibasaki(2S) Styled by Eiji Ishikawa(TRS) Words by Tetsuo Shinoda