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In Partnership

Style of the Kings: 谷尻 誠・直子夫妻

The Newest Classicを標榜するキングセイコーとそれぞれのジャンルで時代を革新するキーパーソンとの共鳴を発見する本連載。第三回に登場するのは、建築家・谷尻誠さんと料理家・直子さんのご夫妻。変わりゆく社会と生活、時間との対峙についてお話を伺った。

建築家として建物や空間を設計するだけでなく、それを起点にした新たなビジネスの起業までも発想する。そんな谷尻 誠さんと歩む直子さんは、ファッションスタイリストを経て、料理人として予約制レストランの運営や食や器に関わる活動を続ける。一見すると異なる分野のようでありながら、生活にもっとも重要な衣食住について見つめるご夫妻だ。

 今回手にしたキングセイコーも半世紀以上前の高度経済成長期、変わりゆく都会の風景やライフスタイルのなかで生まれ、そこに暮らす人々の日常に寄り添った。そしていま世界的な変革期を迎え、その復活が求められたのかもしれない。現代と向き合い、さらに時を一歩進めるために両者は呼応する。

ふたりの時計観

谷尻誠さん

 誠さんは時計への関心も高く、念願の高級時計を手に入れた経験もしてきた。しかし仕事柄施工現場での作業も多く、売却してしまったという。

 「現場では手荒に扱ってしまうこともありますからね。もう泣く泣く売却したんですが、だいぶ前に子供が生まれ、同じモデルを探し出しました。今度はちゃんと子供にも受け継げるようにしたいと思っています。時計ってそれだけ思い出深いものなのでしょうね。いまの時代ならスマホで時間を確認することはできますが、あえて時計をするってかなり意識的なことだし、ファッション的な要素もありますから」

 一方、直子さんはスタイリストという経験を通して時計の審美眼を磨き、これまでもヴィンテージウォッチなどを好んでつけてきた。

谷尻直子さん

 「時計はバングルなどと同様のイメージですね。ピアスとか。いまはいくつもの仕事に関わるようになり、時間を本当に大切にしているんですよ。無駄な時間をひとつも作りたくない。そのなかで時計はアクセサリーの役割でありながら、その管理もしてくれる頼もしい味方です。そういった意味で私にはもう不可欠ですね」と微笑む。それでもただ機能だけで選ぶことはないという。

 「洋服もそうですし、調理器具もそう。たとえば手入れが楽なものを選ぼうとすればいくらでもあるけれども、機能性だけを優先して買うっていうことはしないので、時計もそれと同じかな」

 建築に宿る長大な時間軸に通じる価値と、日常を豊かに彩り充足させるツール。時計への思いはそれぞれ違っても、相手から刺激を受けたり、新たな楽しみ方を発見することも多いとか。時計においても互いに補完し合う関係なのだろう。

ディテールが時間を感じさせる

 誠さんは新メカニカルキャリバー6R55を搭載した最新作のSDKS015、直子さんはSDKS001の2本のキングセイコーを手にとった。前者はカレンダーを備えるとともにパワーリザーブが3日間に延長され、後者はシンプルな3針がモダンヴィンテージの印象を与える。エッジを際立たせたケースやラグのデザインは統一しながらも、39㎜と37㎜というサイズと、ブレスレットとレザーストラップの仕様の違いで異なる個性を演出する。

左から直子さんが選んだSDKS001と誠さんが選んだSDKS015。

 「サイズ感もいいし、ベルトも馴染んでいますね。洗練された奥ゆかしさに国産らしさも感じます」という直子さんに「本当に自然な感じ」と誠さんも口を揃える。そして建築家としてキングセイコーに普遍性を感じると語る。

 「普段から普遍的なものが新しさとして捉えられることにとても興味があります。新しいものを作ろうと僕らも建築をしているんですが、かといって誰も知らないような新しさを求めるわけじゃなくて、誰もが知っているけれど気づかなかったことや、新しいけれど普遍的なものを目指し、その要素がどこにあるんだろうっていつも考えています。まさに時計は普遍的じゃないですか。デジタルとか新しい機能が内包されていったとしても基本機能はもう変わらないですから」

 特に注目したのは、オリジナルをモチーフにしたボックス型風防やシャープな面で構成したラグといったデザインだ。

 「不思議とディテールが時間を感じさせるって僕はいつも思うんですよ。たとえば窓の枠にしても角にエッジをつけるか、それをちょっとカーブさせるだけでも和のテイストや懐かしさを感じさせますね。キングセイコーのスタイルにもそういうディテールがあって、モダンなのにヴィンテージの感覚が共存している点が気に入りました」

 それは、かつてのデザインを時代の感性やライフスタイルに合うようにアレンジして蘇らせる妙味であり、時によって磨かれる価値なのだろう。

 「変わらないのに支持されるってすごいことですよね」と感心する誠さんに、「それをみんな目指しているのだと思います。でも変わらないようだけど変わっているんでしょうね」と直子さんが言葉を添える。

 
それぞれの時間、ふたりの時間

 直子さん着用のキングセイコーには、ご本人のチョイスでグレーのレザーストラップをコーディネートした。キングセイコーからオフィシャルの交換用ストラップも展開されているため、その日のファッションや用途に合わせて違うスタイルが楽しめる。たとえば誠さんのサイズに合ったストラップを装着すれば、1本をシェアすることもできるだろう。それも現代的な時計の楽しみ方だ。

 「ペアのスタイリングも最近ではリンクコーデとかお洒落な言い方になっていますね」と直子さん。「私たちもまったく同じ服を着るようなことはありませんが、アクセサリーが一緒とか自分たちだけがわかる、さり気ないペアルックなんかは好きですけどね」。誠さんもまんざらではなさそうだ。あらためてふたりの腕を見ると、キングセイコーはよく似合っていた。こんなペアウォッチなら気恥ずかしさも感じないだろう。

 それぞれの仕事に取り組み、よき家庭人であり、プライベートの趣味も一緒に楽しむふたりが大切にしていることとは何か。直子さんがまず答える。「私自身は、自分にとって大切なものや好きなものとずっと身近でいられることを大事にしています。仕事だけが視界に入ってくる生活じゃいけないし、家族と過ごすだけでは社会と接する機会もなくなってしまう。それを円滑に、自然に進められないかなって考えています。最近始めたサーフィンはまさにそのメタファーかもしれませんね。うまくバランスを取れればスッと波に乗れ、前を向くことで進む。ヨガも同じで、視点がふらつくとポーズがキープできず、それもすごく人生にも似ています。だからいまはいろんなことにすぐに対応でき、あらゆる方向に進める体勢でいることを大事にしています」

 そんなアクティブな直子さんと一緒にサーフィンも楽しむ誠さんだが、キャンプなどで山に入ることも多いそうだ。

 「最近どうしてこんなに自然のなかで過ごすんだろうって考えたんですけど、都市にいると頭ばっかり使うんですよ。そこで知性は育まれるんですが、野生の部分がまったく置き去りになってしまって。ところが自然のなかではそういった野生的な感覚をやっぱり使わざるを得ない。その両者のバランスが取れている方が仕事がうまくいく感じがするんです」

 そうして培われた独自の発想から、自宅をレストランや一部テナントとして活用したり、キャンプのような開放感とともに過ごせるラグジュアリーな会員制貸別荘といった既成概念に縛られないシームレスな建築が次々と誕生している。

 
ふたりの行く先

 誠さんは、出身地の広島と東京にオフィスを構え、二拠点で活動を続けている。いまコワーキングやワーケーションの認知とともに多拠点のライフスタイルが広まるなか、その先駆けとして多様化する時間の過ごし方について何を目指すのか。

 「どんどん昔に戻していこうとしているんです。たとえば暑ければ窓を開けたり、水風呂で体を冷やし、寒ければ薪を割って温まるとか。昔の人がやっていたことをいま実際に自分がやってみると、すごく豊かに感じるんですよね。僕の幼い頃なんか、薪割りをして五右衛門風呂を焚いてたんですよ、当時あんなに嫌だったものがなんて豊かなんだと思う。それがすごく不思議で、いまではわざわざ薪を割ってます(笑)」

 そうした手間や時間をかけることでむしろ豊かさを実感し、精神的にもモノに対する見方も変わってくるのかもしれない。求められるのは効率と充足の新たなバランスシートだ。

 「不便益って僕は言ってますけど、便利だと思考しなくても物事はスムーズに進みます。でも不便だと頭を使って考えないといけない。でもそういう方がクリエイティブだなと思っています」

 料理もそうですね、と直子さんは言う。

 「時間をかけて残してきた食には力があります。お味噌やお醤油といった伝統的な調味料始め、玄米やワカメ、切り干し大根や乾物など手間をかけたものを摂取すると体のなかでエネルギーに変わるのを実感します。そんな料理を味わっていただくとともに、お店では料理を出すという感覚以上に時間を作り出したいといつも思っています。お客様に楽しく過ごしていただける時間をご提供したいという思いですね」

 それは、空間を原点にさまざまなライフスタイルや発想へとベクトルを広げる誠さんの時間への思いとも通じあう。

 「建築も体験が伴わなければ、ただの箱でしかありません。そこでどんな時間を過ごすかによって、いい空間になるかがかなり左右されます。以前はソフトとハードは別に捉えられていましたが、むしろそこで何をするのか、どういう空間であるべきかというように、ソフトからハードが導かれるアプローチに今後より向かっていくと思います」

谷尻 誠: 1974年広島県生まれの建築家。2000年に共同主宰する建築設計事務所SUPPOSE DESIGN OFFICE(サポーズデザインオフィス)を設立。住宅から商業空間、会場構成、複合施設、ランドスケープ、プロダクト、アートのインスタレーションなど手掛ける設計は多岐にわたる。近年、建築やインテリアといった分野を超えて起業家としても活躍。社食堂、絶景不動産、21世紀工務店、未来創作所、Bird bath & KIOSK、tectureなどを経営。

谷尻 直子: 料理家・フードプランナー。ファッションのスタイリスト、ブランドのプロデュースを経て、料理家に転身。東京都渋谷区で完全予約制のレストラン「HITOTEMA」を主宰(本稿の撮影も同レストラン)。食や器に関わるプロジェクトなど幅広い分野で活躍。

谷尻 誠・直子が選んだキングセイコー

SDKS015
23万1000円(税込)

3月10日発売予定

SDKS001
19万8000円 (税込)

オプションストラップ XSL00919: 1万6500円(税込)

 
新メカニカルキャリバー6R55を搭載したキングセイコー・ラインナップ

SDKS017

23万1000円(税込)
3月10日発売予定

SDKS019

23万1000円(税込)

3月10日発売予定

直径39mm、厚さ11.9mm、ステンレススティール製。
Cal.6R55。自動巻き、パワーリザーブ 最大巻上時約72時間。
日常生活用強化防水(10気圧)。

そのほかのキングセイコー・ラインナップ

SDKS003
19万8000円 (税込)

SDKS005

19万8000円 (税込)

SDKS007

19万8000円 (税込)

SDKS009

19万8000円 (税込)

直径37mm、厚さ12.1mm、ステンレススティール製。
Cal.6R31。自動巻き、パワーリザーブ 最大巻上時約70時間。
日常生活用強化防水(10気圧)。

 

Words:Mitsuru Shibata Photos:Tetsuya Niikura(SIGNO) Hair&Make: Keiko Minamino