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My Grand Seiko: マーク・チョー

2020年、グランドセイコーは誕生60周年を迎えた。このブランドのコレクターであるマーク・チョー氏はこの節目のタイミングに何を思い、今後に何を期待するのだろう。自身のコレクションと共に、グランドセイコーの魅力とブランドへの思いを語ってもらった。

マーク・チョー(Mark Cho)とは?
1983年、イギリス・ロンドン生まれ。アメリカのブラウン大学卒業後、投資会社を経て、2010年に香港にアーモリー(The Armoury: 英語で"武器庫"を意味する)を設立。同年にイギリスのタイメーカー、ドレイクス(Drake's)の共同オーナーに。アーモリーは、香港、ニューヨークに合計4店舗。ドレイクスは、ロンドン、東京、ソウル、ニューヨーク、パリに合計6店舗を構える。

 「そもそも腕時計は、洋服を所有するのと同じように、自分を表現するツールのひとつであると考えています。私が腕時計をコレクションするにあたり、最初は“素敵な腕時計を手にしたい”というシンプルな欲求からスタートしたのですが、やがて、自分の手首が細いこともあって、スモールサイズのヴィンテージウォッチを求めるようになりました。当時はまだ昔の腕時計をリーズナブルに入手できたので、いい腕時計を次々と集めていきましたが、その中でも惹かれたのがアイコニックピースと呼ばれるもの。だから私がコレクションしたヴィンテージのグランドセイコーも、全てブランドの象徴的なモデルです」


SBGW033: 創業130周年記念限定モデル

  マーク・チョー氏にとっての“ファースト”グランドセイコーは「SBGW033」。セイコーが創業130周年を迎えた2011年に限定1300本でリリースされ、直径35.8mmのケースに手巻き式のムーブメントを載せた、まさに初代グランドセイコーを忠実に再現した“象徴的”モデルだ。そして、これを機にスタートしたコレクションでも特に気に入っているのが「SBGW039」だという。 

 「『SBGW033』を手にしたときは、それが初代グランドセイコーの復刻モデルという、特別な腕時計であるとは理解していませんでした。ただ、初めてのグランドセイコーがこのモデルでよかったと思っています。というのも、クオリティが高く、使っていくうちにじわじわと好きになっていくのを感じられましたから。結果的にこの腕時計は、自分が想像していたよりも頻繁に着用する腕時計になりました。これは私の腕時計哲学にもつながるのですが、自分で購入して使ってみてこそ、その腕時計のことが理解できると考えています。ですから、その後はグランドセイコーがますます好きになり、できる限りいろいろなモデルを揃えようとしました。初代のグランドセイコーはもちろん、その復刻モデルもです。中でも気に入っているのが、プラチナケースの『SBGW039』。重量感もいいし、何よりシルバーとアイボリーという派手さのないトーンが気に入っています」 

コレクションにつながる1本: SBGW258

現行モデルであるSBGW258。

  マーク・チョー氏のハートを射止めた初代グランドセイコー。その意匠を継承し、現在、レギュラーモデルとして展開されているのが『SBGW258』だ。初代モデルの威風堂々たる佇まいはそのままに、ケースをオリジナルの35mmから38mmにサイズアップ。ステッチのないクロコダイルストラップを付属したことでエレガンスも高められ、マーク氏も絶賛する1本に仕上がっている。 

表裏にカーブを設けたデュアルカーブサファイアガラスを採用し、どの角度から見ても高い視認性を確保する。

12時位置には凸型に加工された立体的なGrand Seikoロゴを、インデックスには18Kゴールドを用いてより上質な仕上がりに。


62GS: グランドセイコー初の自動巻き機械式モデル

  マーク・チョー氏の発言からはヴィンテージや復刻モデルへの愛着が感じられる。それを示すのが、彼が所有する「SBGR095」。1967年にグランドセイコーとして初めて自動巻きのムーブメントを搭載した「62GS」を、最新の技術と現代的な解釈によって復刻したモデルだ。 

 「グランドセイコーの歴史において、機能面でのアップデートがなされた点で『62GS』は気に入っています。『62GS』はグランドセイコー初の自動巻きモデルですが、手で巻き上げる必要がないという意味合いから4時位置にリューズをレイアウトし、しかもリューズの突起を抑えている発想がユニークですよね。もっとも、リューズの存在感があったほうがウケはよかったと思いますけど(笑)。そのデザインを継承した『SBGR095』は、サファイアガラスを採用し、ムーブメントも最新のものを搭載して利便性を高めた、個人的にも好きなモデル。オリジナルは仕上げが綺麗でしたが、『SBGR095』も仕上げのレベルが高くなっていることを実感できます」

コレクションにつながる1本: SBGH277

現行モデルであるSBGH277。

 その「62GS」は、グランドセイコーのデザイン理念であるセイコースタイルを採用した最初の自動巻きモデル。このセイコースタイルは現在も多くのモデルに取り入れられており、現行モデルの「SBGH277」もそのひとつ。“燦然と輝く腕時計”を現代的に解釈して作られたケースは歪みなく磨き上げられ、放射状のダイアルとの組み合わせによって上品な輝きを生み出している。

 「秒針以外、全て同じトーンでまとめられているのがとても素敵です。インデックスも細く仕上げてエレガントな表情を生み出しているので、紺色のブレザーにホワイトシャツといったシンプルな装いに組み合わせるのがいいでしょうね。グランドセイコーの腕時計はスモールサイズであればスーツ、サイズが大きいものやブレスレットのモデルはカジュアルに合わせるのがいいでしょう。また、アクセントカラーのあるモデルは服の色と合わせたほうがいいですね。例えばベゼルや針がゴールドであれば、デニムのステッチとマッチさせるといった具合に。ストラップの色や素材によってもコーディネートが変わるので、そこは重視したいポイントです」 


SBGE257: セラミックスベゼル搭載のスプリングドライブGMT

ブレスレットは純正のものではありません。

 さらにマーク・チョー氏は、昨今のスポーティーモデルも注目しているという。それが「SBGE257」。GMT機能を備えたスプリングドライブ・キャリバー9R66を搭載した2020年7月リリースの新作で、ダイヤルとベゼルを彩るグリーンが印象的なモデルだ。しかもベゼルには高い強度を備えるジルコニア・セラミックスを採用。アクティブなシチュエーションで着用しても傷付きにくいため、その美しさを長年にわたって堪能できるようになっている。 

 「この腕時計に魅了された理由は数多くあります。セラミックベゼルの質感もそうですし、GMT機能も実に素晴らしい。もちろん、スプリングドライブもグランドセイコーを語るうえで重要な機構です。ですが最大の理由は、ようやくスポーツウォッチでスモールサイズが登場したことでしょう。『SBGE257』は、これまでの私のコレクションを俯瞰すると少々毛色の違うデザインですが、その新鮮さが気に入りました。それに、私の店はオープン当初からスーツにこだわってきましたが、最近では少しずつカジュアルにシフトしてきていて、そういった流れにもマッチする腕時計だと思ったのです」 

 さらにチョー氏は「ブレスレットを採用したことで、スポーティであるだけではなくクラシカルなスタイルとのつながりも感じさせる仕上がりになっている」とも。

コレクションにつながる1本: SBGE255

SBGE257のカラーバリエーションであるSBGE255。

 現在、GMT機能搭載のスプリングドライブモデルは「SBGE257」をはじめ、いくつものバリエーションを展開している。「SBGE255」もそのひとつだ。こちらはベゼルとダイヤルに深みのあるブルーを採用したモデルで、着用シーンやコーディネートの幅を広げてくれる、グリーンとはまた違う魅力を携えた1本だ。 


グランドセイコーへの思い

 「私のコレクションの中で一番数が多いことが示しているように、グランドセイコーはすごく好きなブランドです」と語るマーク・チョー氏。ヴィンテージから現行モデルまで多岐にわたるコレクションを所有しているため「個人的なリクエストはある」としながらも、これまでのブランドとしての活動に対して間違っていると感じることはないという。 

 「唯一、必要なことを挙げるとすれば、ヴィンテージに対するサポートでしょう。正規品の証明にもなりますし、何より一生付き合えるブランドだと思えるはずです。大切なのは価格に対してどういうスペックが得られるかではなく、“感情にどう訴えるか”ですから」

Photos: Ken Wu, Yoshinori Eto Words: Yuzo Takeishi