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In Partnership

ショパール ONE Manufacture Story 25年に達したL.U.Cの軌跡

Sponsored by Chopard

L.U.Cとは、創業者Louis-Ulysse Chopardの頭文字。長く途絶えていた自社製ムーブメントの開発に際し、ショパールはかつてのマニュファクチュールに冠されていた名を復活させた。真の高級機にふさわしい高性能と美観とを併せ持つL.U.Cコレクション、25年の軌跡を追った。

Hero Image©Federal-Studio

1993年某日、ショパールの共同社長カール-フリードリッヒ・ショイフレ氏の姿は、ヌーシャテル州フルリエにあった。本社があるジュネーブからジュラ山脈の街に向かった目的は、高級機械式時計市場への道筋をつけるため。ハッピーダイヤモンドや現行のアルパイン イーグルの前身であるサンモリッツの大成功に飽き足らなかったショイフレ氏は、メゾンのルーツであるハイウォッチメイキングへの進出を決意した。そのために不可欠な自社製ムーブメントの開発を、神の手を持つ時計師に託したのである。プロジェクトは極秘裏に進められ、ショイフレ氏を含むわずか4名による少数精鋭チームだったという。その目的のひとつには、フルリエにおける製造拠点の確保も含まれ、1996年にスウォッチ グループが所有していた建物の半分を借り受け、パーツ製造に必要な様々な工作機械を整備。ショパールはマニュファクチュールへと返り咲き、同年、最初のL.U.CムーブメントとなるCal.L.U.C 1.96(現Cal.L.U.C 96.01-L)が、ここで生み出された。そして翌年の1997年には、同キャリバーを搭載したモデル「L.U.C 1860」を発表。かくしてL.U.Cコレクションは産声を上げ、今年25周年のアニバーサリーへと至る。

初代L.U.C 1860(1997年)

 1963年にショパール家からメゾンを譲り受けたショイフレ家による初の自社製ムーブメントは、妥協のない最上級が追求された。目指したのは、時を超えたエレガンス。そこにはアンティーク時計とワインの収集家であり、ヴィンテージカーの愛好家でもある粋人ショイフレ氏の美意識が多分に反映されている。Cal.L.U.C 1.96を特徴づけるマイクロローター式自動巻きと、ツインバレルによる65時間のロングパワーリザーブは、当時としては実に斬新な設計であった。巻き上げひげゼンマイを採用し、すべてのパーツに手仕上げを行き渡らせたことで、COSCとジュネーブ・シールの認定をダブルで取得。この最上級の手仕上げは、その後も多くのL.U.Cムーブメントに受け継がれ、四半世紀のあいだに数々の革新的な名機が生み出されてきた。

 2000年に発表された「L.U.C クアトロ」は、上下二層のツインバレルをふたつ並列させた計4つの香箱が備わる。8日間という超ロングパワーリザーブの先駆けであり、4つを同時に巻き戻らせることで長期間に渡るトルクの安定も実現している。2002年に誕生したトゥールビヨンでは、同機構初の毎秒8振動を実現。そのトゥールビヨンは、2011年にはCOSC、ジュネーブ・シール、そしてカリテフルリエを同時に取得してみせ、2019年にはメゾン初のフライングトゥールビヨンも誕生している。
 L.U.C初の永久カレンダーは、2005年に登場。ダイヤル6時位置に備わるムーンフェイズは、公転軌道を描き満ち欠けする。その翌年には、垂直クラッチ+コラムホイールによるフライバック・クロノグラフを発表。同じ年、毎正時にゴングを鳴らす「L.U.C ストライク ワン」も生まれ、2016年には満を持してミニッツリピーターが発表された。リピーターのゴングは、サファイアクリスタル風防とモノブロックで形成されるというかつてない構造で、豊かで澄んだ音色を響かせる。L.U.Cは、25年にわたって伝統的な機構を丁寧に検証し、進化させてきた。

L.U.C クアトロ(2000年)

L.U.C ルナ ワン(2005年)

L.U.C クロノワン(2006年)

L.U.C トリプル サーティフィケーション(2011年)

L.U.C フル ストライク(2016年)

L.U.C フライング T ツイン(2019年)

 かつて独立時計師の重鎮フィリップ・デュフォー氏にムーブメントの仕上げに関してインタビューした際、「L.U.Cのコート・ド・ジュネーブは、本物だ」と教えられた。そのことをショイフレ氏に伝えると笑顔を浮かべ、「実はL.U.Cの開発を始めた当時、仕上げのベンチマークとしたのが、デュフォー氏のムーブメントなのです」と、打ち明けてくれた。

 「彼の工房を訪ねた際、その仕上げの美しさに感銘を受けたのです。25年前、複雑な機構を作る技術はショパールにはなかった。だからこそ、仕上げのディテールを追求することでムーブメントの魅力を高めようと考えました。ですからジュネーブの工房では、仕上げ部門に大きなスペースが割かれています」


 後年、間借りだったフルリエの工房の建物を買い取った。そこで作られたパーツは、ジュネーブの本社に運ばれて入念な手仕上げを施したのち、丁寧に手組みされる。

ショパール共同社長でありL.U.C発案者。カール-フリードリッヒ・ショイフレ氏

「機構的なイノベーションは欠かせません。しかし仕上げに関してはクラシカルである方向性は、今後も変わりません。私は時計に限らず、クラフツマンシップが息づくものが大好きなんです」

 美しい手仕上げと革新的な機構という、機械式時計にとっての真の価値をL.U.Cは持つ。

「機構を革新するには、時間がかかります。例えばチャイミング機構では、2006年のL.U.C ストライク ワンから2016年のL.U.Cフル ストライクに至るまで、10年を要しました。そしてメカニズムだけでなく、ゴングをサファイアクリスタル製にすることで音色も革新しています。時間を音で知ることは、極めて情緒的であり、時計機構を別次元へと導きます。だからこそ革新する余地は、まだまだ残っているのです」

追求されたミニッツリピーターの音色は、クリスタルグラスをフォークで優しく叩いたような音を理想としたという。

私がチャイミング機構を愛する理由は、それがウォッチメイキングにおいて別次元だからです。時間を音で聞くというのはエモーショナルな体験ですから

– ショパール共同社長 カール-フリードリッヒ・ショイフレ氏

フルクリスタルケースを含むリピータートリロジー "The Sound of Eternity"

L.U.C フル ストライク サファイア

Ref.168604-9001 5656万2000円(予価)世界限定 5本

手巻き(Cal.L.U.C 08.01-L)。サファイアクリスタルケース。径42.5mm。厚さ11.55mm。
完璧に手仕上げされた533個のパーツから成る複雑なムーブメントが、透明なケースに浮き立つ。オープンワークのサファイアクリスタル製ダイヤルには、レイルウェイタイプのミニッツトラックがエングレービングされる。©Federal-Studio

©Federal-Studio

 そんなショイフレ氏の美意識と完璧主義とが込められたL.U.Cコレクションの25周年を寿ぐのは、氏が「エモーショナルな機構」だと語るチャイミングウォッチ3部作である。なかでも目を引くのは、ショパール初のサファイアクリスタルケースを用いた「L.U.C フル ストライク サファイア」であろう。リピーター用の香箱をリューズで巻き上げ、その同軸にあるボタンで起動する特徴的なムーブメントは、既存モデルと同じ。しかしサファイアクリスタル製のゴングは、ショイフレ氏と親交のあるバイオリン奏者ルノー・カピュソン氏と、彼の弟であるチェロ奏者ゴーティエ・カピュソン氏の耳を借り、音色が改めてチューニングされている。その音は、ジュネーブの工科大学応用音響学研究所によって響きや各音色の長さとインターバルなどが数値的に検証もされ、ショイフレ氏とカピュソン兄弟が求める理想の音が実現された。

カピュソン兄弟とショイフレ氏。L.U.Cでも初となるサファイアクリスタル製ケースを採用したリピーターが、心を揺さぶるベストな音響になるようプロの耳がその標となった。

 サファイアクリスタルでゴングと一体成形された風防を音響盤とする「L.U.C フル ストライク」は、ケース素材に音量や音質があまり影響されない。しかし今回、音の拡散経路となるケースとダイヤルまでが同じサファイアクリスタル製となったことで、新たなゴングの実力は最大限に引き出された。そのケースは、190時間もかけて切削加工と仕上げが施され、美しいフォルムと透明感がかなえられる。そして2012年より外装仕上げまで検査対象となった新基準のジュネーブ・シールを取得。革新性と美の両立は、硬く透明な素材でも実現された。

L.U.C フル ストライク トゥールビヨン

Ref.161987-5001 4776万2000円(予価)世界限定20本
手巻き(Cal.L.U.C 08.02-L)。18Kエシカルローズゴールドケース。径42.5mm。厚さ12.58mm。
トゥールビヨンのブリッジを透明なサファイアクリスタル製としてキャリッジの動きを露わにし、オープンワークからは時を打つハンマーの動きを覗かせて、ふたつの複雑機構がダイヤルに居並び、際立つ。メゾン渾身の1本。©Federal-Studio

 さらに25周年モデルでは、機構的にも新たな偉業が達成された。ショパールとして初めて、ミニッツリピーターとトゥールビヨンとを統合したのだ。「L.U.C フル ストライク トゥールビヨン」が搭載するCal.L.U.C 08.02-Lは、元来高さ(厚み)が出るトゥールビヨン機構を組み込みながら、既存のミニッツリピーターCal.L.U.C 08.01-Lの厚さから、わずか0.93mmの増加に抑えられている。それをかなえるため、キャリッジ内に収められるコンパクトな新形状のアンクルを考案し、特許を取得。また秒針を兼ねるキャリッジには、2019年にフライングトゥールビヨンで実現されたストップセコンド機構も備わり、L.U.Cらしい革新性が随所に潜む。

 また「L.U.C ストライク ワン」にもミニッツリピーターの技術が注がれ、進化を果たした。リューズ同軸の操作ボタン、そして風防とモノブロック成形のサファイアクリスタル製ゴングである。これまで10時位置にあったチャイムのON/OFF切り替えボタンが、リューズ同軸となったことでエレガントなケースのフォルムは純化された。そしてゴングは、リピーターと同じくカピュソン兄弟と音響学研究所によって美しい音色が検証されている。

 これら極めて革新的な3本のチャイミングウォッチは、ショイフレ氏曰く「到達点ではなく、通過点。ショパールによるチャイミング機構の進化の旅は、まだまだ続きます」。

L.U.C ストライク ワン

Ref.161949-5001 792万円(予価) 世界限定25本
自動巻き(Cal.L.U.C 96.32-L)。18Kエシカルローズゴールドケース。径40mm。厚さ9.86mm。
1時位置にハンマーを見せるダイヤルは、ルテニウムグレーにカラーリングされたソリッドゴールド製。中央のハニカム模様は、伝統的なハンドクラフトによるギヨシェ彫りで、ラインの1本1本のエッジが鋭く浮き立つ。©Federal-Studio

 ことさらに喧伝されることは少ないが、ジュエラーとしても超一流のショパールは、18金を自社で精錬する稀有なメゾンである。ジュネーブの本社には、宝飾と時計のアトリエが隣接。

「エングレービングをはじめ、宝飾と時計それぞれの技術の相乗効果で美を生み出せるのが、ショパールの強みです」

 こうして時計の審美性を追求するショイフレ氏はまた、精度に対する要求も強い。極めて複雑なチャイミング機構が備わる25周年記念トリロジーモデルが、どれもCOSCを取得しているのがその証し。そのために歩度調整用のマスロットを上面の窪みに入れ込んで平滑面を保ち、空気抵抗を軽減するテンワなど、独自の高精度技術にも取り組んできた。

「この25年間で、数々の革新を機械式時計にもたらし、いくつもの複雑機構を自社でかなえることができました。時計の歴史に存在するすべての機構を、L.U.Cコレクションに網羅することが私の夢。まだまだ志半ばです」

Words: Norio Takagi Illustration: Mao Nishida Hero Image: ©Federal-Studio