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Hold the Stars オリエントスター 光輝く星に魅了された人々

2025年に“オリエント”誕生75周年を迎え、来たる2026年にはブランド誕生75周年を迎えるオリエントスター。そんなメモリアルイヤーを前に、同ブランドは新作の文字盤で星空や自然の驚異そのものを表現し、新境地を開いた。

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オリエントスターがこの4月に発表し、このほど発売となった新作のM34 F8 デイト リミテッドエディションは、ペルセウス座流星群の夜空をモチーフに宇宙の深淵そのものを表現したという新たなフラッグシップモデルだ。文字盤が持つその独特の視覚表現を可能にしたのは、装飾技術としては世界で初めて用いられた(編注;金属ナノ粒子/金属ナノインクを積層させるプリント技術を腕時計の文字盤への加飾に用いるという点において)独自のナノテクノロジーである。

 オリエントスターの母体であるセイコーエプソンは、極小のシリコン基板にインクジェットで電子回路パターンを印刷する、純粋な産業需要によるナノテクノロジーを有する。“金属ナノ粒子積層技術”と呼ばれるそのテクノロジーは、100ナノ(1ナノ=10億分の1m)以下、インフルエンザウイルスよりも小さいきわめて微小な金属粒子を精密に吹きつける技術だが、オリエントスターではこの技術を装飾に応用し、文字盤上に星空、宇宙を見事に描き出した。半導体のような機能部品で用いられてきた加工・生産技術を、時計の文字盤加飾という“匠の技”として見せることに成功したのである。

宇宙から降り注ぐ流星群。

新作M34 F8 デイト リミテッドエディションの文字盤表現。

 新作のM34 F8 デイト リミテッドエディションでは、宇宙から流星群が降り注ぐ様子が文字盤のセンターから同心円状に描かれている。これはシルバーの金属ナノ粒子による4層の異なるナノインクの版を文字盤の上に重ねてプリントし、クリアコーティングで覆うことで実現した。これによって、漆黒の闇から星や流星の軌跡が浮かび上がってくるような、精妙な光の強弱や奥行き、そして見る角度によって光が移ろうエフェクトを堪能できる。余談ではあるが、企画担当者曰く、文字盤上にある星の数をひとつひとつていねいに数え上げたところ、なんと2210個もあったという。慣用句として“無数の星”と言われるが、40mm径のケースのなかで、まさに無数の星が揺らぎを伴って浮かび上がってくる様子には、見る者を思わず魅了する圧倒的な力がある。

 そんな無数の星を収めるのは、耐食性に優れたSUS316Lを素材とする強靭なステンレススティールケースだ。そして風防の両球面サファイヤクリスタルを通じて見えるのは、無数の星と、鏡面の筋目を入れた針やインデックス。独創的な文字盤においても優れた視認性を確保し、実用品である時計としての機能性、上質さを担保する。そこに細かなピッチのH型コマで強度と肌なじみのよさを実現したSSブレスレットを合わせる。サファイアクリスタルのシースルーバック越しに見えるムーブメントは、シリコン製ガンギ車を持ち、60時間以上のパワーリザーブを実現した自社製のCal.F8N64。メカニズム面でも、フラッグシップにふさわしい内実を備える。


“目に見えないもの”を大事にする感覚

ナノテクノロジーを用い、小さな文字盤の上で星や宇宙の魅力を新たに表現したオリエントスター。星景写真家・関岡大晃氏は、この時計を前に何を思うのか? 形は違えど、星や宇宙の魅力を表現する彼に話を聞くことができた。

 学生時代にニュージーランドで見上げた星空の美しさに心を打たれて以来、関岡氏は星空の煌きや表情、時間が凝縮されたような作品を撮り続けている。星景に魅せられる理由を、彼はこう語る。

 「地球以外に世界がこんなにも広がっていて、星雲の微細なガスや自分の見えないところにも美しいものがあるということに魅力を感じます。風景写真は基本的に自分の目で見た世界を表現するものですが、星の光というのは目に見えないところにも無数にあって、望遠鏡や望遠レンズ越しに、写真というフィルターを通して見えてくるものです。星景写真はセンサーが捉えた微弱な光を画像処理によって引き出し、肉眼で見える世界を超えた宇宙の姿を浮かび上がらせることができます。僕が引かれる唯一無二の魅力はそこにあって、肉眼では見えない星空の姿を露わにすることを目指しています」

 肉眼では見えない世界を表現するという点では、文字盤を通してそれを表現するオリエントスターの新作にも共通するところがあるだろう。金属ナノ粒子積層技術が日の目を見るまでには、じつに10年以上の歳月がかかったと、開発を長年見守ってきたセイコーエプソンの細川 登氏は話す。

 「インクジェット印刷による加工で時計の文字盤にふさわしい質感やクオリティを満たすこと。その開発から製品の実現に至るまでには何度か崖から落ちかけたというか、諦めかけたことがありました。シルクスクリーンのような多孔性印刷のレベルにまで近づくことができたのですが、やはり時計の文字盤としては感性的評価が重要です。具体的にはアラビア数字の“2”のような、R曲線の表現がギザギザせず、滑らかであることが求められます。解像度に加えて、そうした細密感を向上させ、量産化の目途が立ったのはつい3年ぐらい前の話ですね。75周年の節目に何とか間に合ったという感覚です」


頭上で光輝く星空を、その手に収める

M34 F8 デイト リミテッドエディション

Ref.RK-BX0007B&RK-BX0008B 各40万7000円(税込)
金属ナノ粒子積層技術を世界で初めて(編注;金属ナノ粒子/金属ナノインクを積層させるプリント技術を腕時計の文字盤への加飾に用いるという点において)時計づくりに応用し、極めて繊細で精巧、かつ奥行き感のある星空を文字盤で表現した注目作。ステンレススティールブレスレットが付くのは共通だが、Ref.RK-BX0007Bは交換用本ワニレザーストラップ付きで、国内限定80本。RK-BX0008Bは交換用コードバンストラップ付きで、オリエントスター公式オンラインストア(with ORIENT STAR)限定20本となる。

時には熊に遭遇するなど、暗闇や自然のなかで危険も伴うこともあるという星景写真の撮影。それでも美しい星空に出合えるかもしれないという一念が勝ってしまうと、関岡氏は笑う。

 「SNSや本で星の写真を発信するのは、星が好きな人はもちろんですが、これまで天の川を見たことがない人や、昔は田舎で星空が当たり前にあったのに、都会に出て忘れている人たちに届けたいから。写真を通じて、星のある風景の美しさや、宇宙の広大さを思うきっかけになればうれしいですね。誰かひとりでも心に響く一枚を届けることができて、夜空を見上げるきっかけになってくれたら。それが僕にとっての一番の喜びです」

 M34 F8 デイト リミテッドエディションでは、文字盤の上に金属ナノ粒子のパターンを4層重ねるが、星空や流星群を表現するにあたって苦労した点を前出の細川氏は次のように語る。

 「2210個ある星を4層に分けて本物の宇宙の奥深さを表現するところ。それが一番難しかったポイントだと思います。どのようにレイアウトすれば、美しく奥行きのある文字盤になるか、そういった試行錯誤を何度も重ねましたから。金粉と漆を重ねて下の層が透けているという点では蒔絵に似たところがありますが、蒔絵は手作業なのでひとつひとつ違う味わいとなるところが異なります。それに対して、我々の金属ナノ粒子積層技術は、正確に同じ柄・パターンの文字盤を生産していけるようにしたところが、工業技術としての“匠の技”であると考えています」

 

M34 F8 デイト グリーンダイヤル

Ref.RK-BX0005E 36万3000円(税込)

前作のブルー文字盤と同様、ペルセウス座流星群をイメージした新作のバリエーションモデル。繊細な型打模様に光学多層膜技術を活用することで、見る角度によって色や模様が美しく移ろうデザインが特徴。濃い色味であっても文字盤に施された繊細なパターンがしっかりと見える。

 たとえばダイヤモンドジュエリーのような、純粋な宝飾品であれば、ダイヤモンドの形に合わせてデザイン・加工をしていくが、あくまで時を刻む時計が備えるべき審美性はアプローチが異なるという。M34 F8 デイト リミテッドエディションと共に発表された、M34 F8 デイトの新作レギュラーモデルもペルセウス座流星群の星空に着想を得たものだが、新色となるグリーンの文字盤には、金属板上にさまざまな色調効果をもたらす自社開発の光学多層膜技術が用いられている。これはナノレベルのほぼ無色透明な薄膜を重ねて光の反射と透過をコントロールする技術で、通常の塗装文字盤ではできなかった宇宙の奥深い世界の表現を可能にした。今回の場合は、緑色の波長だけを反射させる膜厚コントロールによって、塗料の色ではない光学的な構造色としてグリーンの発色を実現している。いわば白み始めた朝と宵闇との微細なコントラスト、太陽の光で海がエメラルドグリーンに見える現象とまったく同じ原理による効果が、時計で再現されていることに驚異の念を覚える。

 「レギュラーモデルである新作のM34 F8 デイトで用いた光学多層膜技術についても、薄膜の重ね方、膜厚をコントロールすることでとり出せる波長や色をコントロールすること、そういうカラーパレットとして再現するノウハウは手の内化しています」。細川氏は、そう力強く述べる。

 「我々の時計としては、日常生活のどのようなシーンでも使ってもらえるようなデザインを心がけています。ただ、やはり今回のモデルはハレとケでいえば、ハレの日にどこにつけて行っても見映えのするような、そういったものを形にしたいという思いは大きいですね」

 

 オリエントスターの新作を手のひらの上で確かめ、そして手首につけて眺める関岡氏。文字盤を見る角度によって現れたり消えたりする流星の軌跡を追いながら、彼は次のように話す。

 「オリエントスターが製品開発のインスピレーションの源としているペルセウス座流星群というのは、3大流星群のひとつです。星を撮っている者としては、どこでどう撮ろうか? と、常に年間カレンダーのなかで考えている大きなイベントなんです。そんな流星群をイメージしたデザインには、やはり心を引かれるものがあります。宇宙のロマンを感じさせる流星の表現も興味深いですし、まさに星空の一瞬の輝きが手首で感じられますね」

 「SNSや本で星の写真を発信するのは、都会に出て星の美しさを忘れかけている人たちに届けたいからということをお伝えしましたが、僕の母がまさしくそういう人なんです。近頃、撮影に一緒に連れて行くと“子どもの時に見たまんまの天の川や”って言うんですよ。“こんな空が本当にあるんだ!”とか、“久しぶりに星に会いに行こうかな”とか。やっぱり星空を見ることで、そんな風に少しでも心が動いてくれたらうれしいじゃないですか」

 空を仰げば、そこには無限の星空が広がり、無限の時間が流れている。それは肉眼では見えない世界かもしれない。だが、目に見えない大事なものだからこそ、それを大切に思う人たちのあいだには響き合うものがあるのだ。


オリエントスター コンテンポラリーコレクション 新作ギャラリー
 

Photos:Tetsuya Niikura / Watches, Hiroaki Sekioka / Starscape Styled:Eiji Ishikawa(TRS) Words:Nanyo Kazuhiro Special Thanks:Hiroaki Sekioka meteor shower Image: Pat Gaines / Getty Images