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タグ・ホイヤー アクアレーサー ダイバーズウォッチとしての正統性とその現在

Sponsored by TAG Heuer


サーキットで培ったレーシングスピリットを、水の世界でも発揮する。ゆえにそのダイバーズウォッチは、アクアレーサーとつけられた。そして今年、タグ・ホイヤーを代表するダイバーズコレクションがリニューアルを遂げた。1978年からのヘリテージを受け継ぎながら外観を洗練し、ムーブメントもより高性能に進化したのだ。 #PR

1982年、タグ・ホイヤーは自社のダイバーズウォッチを正統化すべく独自に6大機能を制定した。「内側に反射防止加工を施したサファイヤクリスタル風防」、「二重安全ガスケット付きねじ込み式リューズ」、「20気圧以上の防水機能」、「畜光塗料付きのインデックス・指針とベゼルスケール」、「逆回転防止型ベゼル」、「ダブルセーフティバックルブレスレット」である。これら6つは、潜水士をサポートするツールウォッチとしてひとつとして欠くことができない安全基準だとタグ・ホイヤーは考える。今年登場したタグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300も、むろんすべてに準拠する。これこそが、新生アクアレーサーが正統的ダイバーズウォッチの流れを汲んでいる証だ。さらに装着感と審美性をより高め、ムーブメントのパフォーマンスも大幅に向上したアクアレーサーの進化は、ブランドとして長きにわたる防水時計技術の研鑽なくしては成しえなかった。

1895年まで遡る、タグ・ホイヤーの防⽔時計製造

スイングピニオンの発明に象徴されるように、創業者エドワード・ホイヤーはクロノグラフ機構の発展に尽力した人物として知られる。それと同時に彼は、懐中時計に防水機構をもたらしてもいた。その一例が、1893年に特許を取得したヘルメティック(密閉)ケースである。裏蓋を固定式とし、ダイヤル側からムーブメントを出し入れできる機構を与えることで、防水化を実現した。

1895年にエドワード・ホイヤー社が特許を取得したヘルメティック(密閉)ケース。

1949年登場のソルナール。

 クロノグラフと防水時計のパイオニアはそれらの技術をさまざまなシーンで生かし、進化させていった。1920年代には、スイス・レマン湖でのレガッタレースの公式タイムキーパーを担当し、30年代には5分積算計が備わる防水ストップウォッチ、ヨットタイマーが完成。以降、メゾンの防水技術はヨットレースで磨かれ、海との関係性を深めてゆく。1939年には、クロノグラフ腕時計の防水化を他社に先駆けて実現。メゾン創成期から研鑽してきたふたつの技術が、ここに結び付いた。1949年に登場した6時位置のサブダイヤルで潮の満干時間を示すソルナールは、船員や漁師、ハンターに向けて開発されたという。翌年には、この機構とレガッタ機能とが備わる世界初のクロノグラフであるマレオグラフが誕生。そして1968年からはレガッタ機能を持つ腕時計、スキッパーがシリーズ化され、同じ年にヨット用の高防水ダッシュボードクロック、ナヴィアも開発。こうして船上で磨かれた防水性能は、モータースポーツシーンにも生かされ、1969年、世界初の角型防水時計であるモナコ誕生へと至った。

 ホイヤー(当時)はこのように防水技術で時計界をリードしてきたが、意外にもダイバーズウォッチ市場への進出は1978年と他社よりも遅かった。その理由についてタグ・ホイヤーは、「ホイヤーは1950年代以降、時間表示のみの時計の製造を中止し、クロノグラフだけに注力してきたからです」と我々の取材に答えてくれた。ジャック=イヴ・クストーによる映画『沈黙の世界(原題:Le Monde du Silence)』などの影響を受け、レジャーダイビングが普及しはじめた北米市場からの要望でダイバーズウォッチの開発に着手し始めたのだという。

 かくして1978年、フランスのサプライヤー・モナン社の協力を得て、ホイヤー初のダイバーズウォッチRef.844が誕生した。その外観はスペック、デザインの両面でダイバーズウォッチの先鋭化が進んでいた当時において極めてレトロ。しかしそれが、多くのファンに受け入れられた。防水ケースはモナコで試みたコンプレッサー式ではなく、量産に向くねじ込み式としたことで戦略的な価格がかなえられこともあり、クォーツショックのさなかにあっても大ヒットを果たした。以降、ダイバーズウォッチがメゾンの屋台骨を支える存在となっていく。

1978年にホイヤー社初のダイバーズウォッチとして登場したRef.844。

 この成功を受け、4代目ジャック・ホイヤーは製造をモナン社からスイスへと移管。80年代に入ると、クロノグラフ以上にダイバーズウォッチの開発に注力していった。

 ブラックのアルミニウム製ベゼルインサートを備えたものと、SS製ベゼルに指がかり用の6つのタブが備わったものの2スタイルからなる2000シリーズが1982年に誕生。初めてサファイアクリスタル風防が採用され、これに伴い前述したダイバーズウォッチ6大機能が制定された。1984年には、初代Ref.844とその派生モデルを1000シリーズの名で統合。その上位モデルとなる3000シリーズも生まれ、ここで初めて12角形ベゼルが登場する。また同じ年に生まれたスーパープロフェッショナルは、1000mの防水性能とグローブをつけたまま操作しやすい大型ベゼルが備わる、文字通りのプロフェッショナル仕様であった。

 1985年にタグ・ホイヤーへと改組されてからも、2000シリーズは3世代に渡って進化を続けた。なかでも第3世代はクラシック、エクスクルーシブ、スポーツの3つのシリーズを展開。それぞれに異なる印象のデザインで、幅広い層へのアピールに成功した。そのなかの2000スポーツモデルが、現在のアクアレーサーの直系のルーツとなっている。同シリーズは、プロの潜水士からのアドバイスによってプッシュボタンをラバーで覆い、海中でもクロノグラフを操作可能とした2003年登場の2000アクアグラフをもって生産終了となった。

1982年登場の2000シリーズ。

1984年登場のスーパープロフェッショナル。

2003年登場の2000アクアグラフ。

 そして2004年、2000シリーズの第4世代として2000アクアレーサーが誕生する。新たなネーミングは製品ラインの統一に加え、「タグ・ホイヤーのすべてのコレクションに共通するレースの世界観と、水上性能に焦点を当てることで明確なアイデンティティを生み出す」という戦略から導かれたものだという。さらに、1999年にブランドを買収したLVMHの狙いとして「伝統と革新の融合」という方針も打ち出され、3000シリーズからは12角形ベゼルを、初代Ref.844からはインデックスデザインを継承しつつ、防水性能を200mから今日に続く300mに向上させた。さらに翌年には、メゾンのすべてのダイバーズウォッチをアクアレーサーの名で統合。以降、同コレクションは短いスパンで、世代交代を重ねていく。

2004年登場のアクアレーサー2000。

 2010年に登場した第2世代は、500m防水をレギュラー化するなどハイスペックさを特徴としていた。2013年に誕生した第3世代は、クラシックに回帰。2016年にはセラミックベゼルを初採用した第4世代、そして2021年に2000アクアレーサーの外観、およびRef.844のエッセンスを再解釈した第5世代がリリースされた。今回登場した新作に、直接連なるモデルである。ベゼルにはセラミックインレイを用い、ブレスレットのバックルはエクステンション機能を初装備。ラグやリューズの形状はRef.844を参照しながら、ドットインデックスはベゼルと同じ12角形とするなど単なる懐古趣味に陥らせていないのが見事であった。

 それから3年を経た今年、タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300は、第6世代へと進化を果たした。

時計としての進化を示すように、洗練を続けるアクアレーサー プロフェッショナル300

(上)新作のアクアレーサー プロフェッショナル 300。(下)2021年発表の第5世代。

新生アクアレーサーは、2021年に登場した第5世代の外観を色濃く受け継いでいる。その第5世代は前述したように2000アクアレーサーの再解釈であり、初代Ref.844からの引用のうえに形作られている。それら歴代ダイバーズのヘリテージを、タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300は現代に受け継ぎ、第6世代としてアップデートを図った。

 前作との明確な変更点は、ダイヤル装飾にある。2013年の第3世代から受け継がれてきた並行に走る横ストライプが、有機的な曲線で織り成す波模様へと改められている。その模様は深く立体感が豊かだが、丁寧にラップ塗装を施しているのであろう。プリント処理であしらったロゴや文字は一切滲みがない。

 またフランジのインデックスを0.5秒(0.5分)単位から1秒(1分)単位に簡略化したことで、艶感を高めている。秒針も針全体をオレンジやスカイブルー、イエローに染め上げ、稼働していることがより確実に海中でも視認できるようになった。時針もブランドロゴの盾を象った形状へと変更。この形は、2016年の第3世代に見られたそれを思わせる。それをダイヤモンドカットによる峰型としているのが、なんとも芸が細かい。

 ダイヤルのディテールを変更した一方、ポリッシュ仕上げセラミック製ベゼルインレイは、そのまま継承。ドーム型のサファイアクリスタル風防は、2000シリーズから変わらぬ伝統である。

 ケースは一見前作と同じようだが、実はサイズは直径が1mm小さくなっており、厚みも12mmにまで抑え込んでいる。ケースが薄くなった結果として時計全体の重心が下がり、装着時の安定感は増している。また小径化により、装着性はより高まった。さらにブレスレットのバックルも、伝統の二重安全ロックと前作からのエクステンション機能を保ったままバックルを大幅に小型化。結果として可動域であるリンク部分が増えたため、よりしなやかに腕に添うようになった。ベゼルとリューズの各側面の刻みも見直され、指がかりしやすく操作性も高まっている。

 再びダイヤルに目を移そう。針とインデックス、ベゼルのインジケーターに載せたスーパールミノバ®️は、明所では白で、ダイヤルとコントラストを成す。そして暗所では、分針とベゼルのゼロ位置マーカーはブルーの、ほかはグリーンの光りを放ち、分単位の潜水時間の視認を色の違いで視覚的に明確に切り分けている。盾形となった時針も分針と明らかにデザインを変えたことが、見間違い防止に寄与した。また全3色のバリエーション、その秒針のカラーリングは、どれも深度が高い海中で判別が可能な色が選ばれている。新作において海中での視認性を追求し続けている点からも、アクアレーサーをブランドにおけるダイバーズの軸として認識していることがわかる。

2023年に発表されたマニュファクチュールムーブメントであるCal.TH31-00。

 新生アクアレーサーは外観こそ前作をベースとしているが、中身はまったく別物だ。2023年にリリースされたコレクション初のフルゴールドモデル、タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル200で初採用した、マニュファクチュールCal.TH31-00を搭載している。その設計を手掛けたのは、2020年にタグ・ホイヤーに移籍した時計界きっての才媛キャロル・カザピだ。彼女はメゾン初の自社製3針自動巻きに高性能なリバーサーを与え、堅牢かつ高効率な巻き上げを実現した。さらに約80時間のロングパワーリザーブと、COSC認定クロノメーターによる高精度を併せ持つ。

 パーツ製造と組み立てを担うのは、新進の高級ムーブメント製造会社AMT。カザピが高い信頼を寄せる高い技術力と整備とを有し、高いクオリティと量産性の両立を高次元でかなえている。

 2023年に登場したフルゴールドのアクアレーサーでは、ケースバックをスケルトン化することでCal.TH31-00の雄姿を見せていた。しかし今回の新作では、アクアレーサー伝統のダイビングヘルメットをあしらったソリッドバックになっている。ヘルメットが必ず、6〜12時方向に正対するようになっているのが見事だ。時計のデザインに合わせて多角形を組み合わせたヘルメットデザインも2021年のものを踏襲しており、裏蓋において非常にモダンな空気を醸し出している。

 ダイヤル&ベゼルカラーは、ブルーに加えてブラックとグリーンをラインナップ。前述のとおりそれぞれのダイヤルカラーに合わせて秒針の色は変えられており、水中での視覚効果と同時にデザイン上で与える印象も考慮しながら開発チームは慎重に選択したという。またブルーとブラックにはラバーストラップも用意されており、バリエーションも豊富だ。

 ディテールの随所にヘリテージを受け継ぎながら、タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300は、外装もムーブメントもより上質に進化を遂げた。

 新型Cal.TH31-00は新設計ではあるが、歩度調整には伝統的な緩急針式を採用する。この点について「フリースプラング バランスは、このムーブメントでは十分な利点を提供しないのです」とブランドは語る。おそらく量産性とメンテナンス性の高さを優先した結果だろう。緩急針式はフリースプラングより製造が容易で、かつ特別な工具なしで世界中どこでも調整が可能だ。そして、Cal.TH31-00の製造・組み立てをAMTに委ねたのも英断である。設備投資や人員を増やすリスクが避けられるからだ。前述したようにRef.844は、他社を圧倒する高いコストパフォーマンスで大ヒットを遂げた。第6世代となった今年の新生アクアレーサーも、マニュファクチュールムーブメントを分業化することでコスト削減をかなえ、上質で高性能なダイバーズウォッチを価格的に身近な存在にしてみせたのである。

 今作アクアレーサー プロフェッショナル300において、タグ・ホイヤーは“冒険とラグジュアリーの融合”を目指したという。ヘリテージに根ざしたデザインや豊かなダイヤル表現においてそれにふさわしい美的表現をかなえているが、同時に探検家を支える快適性に堅牢性、そしてツールとしての高い実用性も担保している。そのスピリットは、ダイバーズウォッチとしての堅実な進化を続けていた1980年代に続くものである。アクアレーサーは1900年代後半から続く、タグ・ホイヤーのダイバーズにおいて正統な系譜にあるモデルなのだ。


アクアレーサー プロフェッショナル300 コレクションギャラリー

Photos:Jun Udagawa Styled:​Eiji Ishikawa(TRS) Words:Norio Takagi