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セイコー プレザージュ 有田焼ダイヤル: 身につける日本の伝統美

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有田焼は日本を代表する伝統工芸のひとつであり、その400年の歴史のなかでも腕時計の文字盤製作は前例のない極めて困難なプロジェクトであった。長い歳月と工芸技巧によって生み出された伝統美が人々の心を打つ。

 初の日本製腕時計は1913年に誕生した。モデル名は「ローレル」、作り手は精工舎、すなわち今のセイコーである。「セイコー プレザージュ」は、セイコーの機械式腕時計の伝統を今に受け継ぐグローバルブランドで、100年以上技術を研鑽してきた精緻な機械式ムーブメントに琺瑯や漆、七宝といった長い歴史を持つ工芸技術で設えたダイヤルを重ねた特別なモデルをラインナップし、日本の手業の素晴らしさを東京から世界に向けて発信する。

 優れた工芸技巧と手を組み、世界と戦える日本ならではの美を創出する。そんなセイコー プレザージュが2019年、有田焼ダイヤルを採用したモデルを発売。佐賀県有田町で1616年より続く日本製磁器の始祖は、呉須(コバルト)による染付や華やかな色絵の技術で美を極め、ドイツのマイセンやフランスのシャンティイといった欧州を代表する名窯が模倣したほどの日本を代表する伝統工芸のひとつ。その技術をダイヤルに注ぎ、まずほのかに柞灰(いすばい)釉の淡く青みがかった白を呈する3針のSARX061と多針モデルSARW049が2019年に登場し、今年1月には淡いブルー、淡瑠璃染(うするりぞめ)が浮ぶ多針の限定モデルSARW061が発売された。いずれも釉薬が焼成によって変化した、ガラス状の艶やかな質感が何よりも魅力だ。化学的にも極めて安定し、その美しい色合いを保ち続ける。

左からSARW049とSARX061。

 世界に誇る有田焼ダイヤルは、1830年創業の老舗「しん窯」に所属する陶工 橋口博之氏監修のもと製作されている。完成に至るまでの開発期間は、実に4年。「有田焼400年の歴史のなかでも前例のない、困難なチャレンジでした」と、伝統工芸士の橋口博之氏は振り返る。「磁器の厚さは3針モデルでは1mm以下、多針モデルでは1.5mm以下が要求されました。これほど薄い磁器の製作の経験はなく、またダイヤルとして使える強度をいかにして得るかが、最初にぶつかった大きな難題でした」

橋口博之氏

 それを解決したのが、佐賀県窯業技術センターが開発した従来の約4倍の強度が得られる新たな配合陶土。これによりダイヤルとして使える薄くて丈夫な有田焼が、実現可能となった。「ダイヤルとして求められる数10ミクロン単位の加工精度を実現するために、高性能なCNCマシンで石膏を切削加工して精密な型を作ったのも初の試み。また釉薬を薄く均一に施すために高圧のスプレーガンを初めて導入しています。それ以外にもダイヤルとして完成に至る全工程が、今までにない新技術でした」

 質感を均一にするためにスプレーガンで施す釉薬の量を厳格に定め、その量を正確に、かつムラなく吹き付けられるよう繰り返し練習したという。有田焼の威信をかけ、陶工はダイヤル製作に真摯に向き合う。

石膏型で成形された多針モデルのダイヤル。ふたつのインダイヤルも、滑らかな曲面で窪ませ精密に一体成形されている。最適な加工精度が得られるよう、配合陶土と水との比率、型から取り出したあとの乾燥時間などが何パターンも試された。その精度を維持するため、型の寿命は通常よりも短い。

型から取り出したダイヤルを乾燥させ、1300℃で焼成した後、スプレーガンで釉薬を施す。作業の前後に1枚のテストピースの重量を計り、規定量の釉薬が吹き付けられたことを確認。


淡瑠璃染を表現したSARW061

SARW061

 試行錯誤を重ね、初の有田焼ダイヤルを完成させたあとも、橋口博之氏をはじめ、しん窯の陶工らは一丸となって技術の研鑽と改良を続けてきた。そして今年、新たな色彩美が生み出された。江戸時代から有田焼にある「淡瑠璃染」である。淡い青が濃淡を織り成すダイヤルによって、多針の限定モデルSARW061の表情は一層豊かに。その素地には既存モデルと同じく高硬度な配合陶土を用い、色合いは白。淡い青は、スプレーガンで施す釉薬に加えた呉須に由来する。

 「江戸時代に作られた絵皿と同じ色を出すのは難しく、試作の段階で何度も釉薬の調色を繰り返しました。淡瑠璃染のような淡い色は濃淡の差や色ムラが出易くなるので、決められた範囲内で色味を安定させるためには、職人の技の習熟と技術の工夫とが必要です」

 セイコーで加工するインデックスの印字は呉須に似た藍色とし、針も青色を用いたことで淡瑠璃染の色合いがより引き立った。有田焼ダイヤルでは初のブレスレットは、鏡面仕上げの2本ラインがエレガント。スーツにもカジュアルにも合わせやすい。


歴史を継承するレギュラーモデル

SARW049

 レギュラーモデルのSARX061とSARW049のダイヤルも、色調に凝る。目指したのは、柞(イス)の木の灰を釉薬とした最初期の有田焼にあった、ほのかな青が白に浮かぶ柞灰色。それを透明な釉薬で再現するため、焼成時に発生する気泡を極力抑える配合を模索し、より強い艶を得ることで、わずかな青を感じさせることに成功した。

Cal. 6R27

 インデックスの12だけを赤としたのは、国産初の腕時計ローレルからの継承である。セイコーは、有田焼ダイヤルに機械式腕時計の歴史をも託したのだ。搭載する3針モデルのCal. 6R35は70時間パワーリザーブを誇り、多針モデルのCal. 6R27はパワーリザーブ計とインダイヤル式ポインターデイトを装備。どちらも実用性に優れ、機械的な魅力も高い。

 有田焼ダイヤルを注視すると3針と多針のいずれも、わずかに膨らんだボンベになっていると気付く。精密成形が求められるなか、加工精度が得づらいボンベ形状に敢えて挑んだのは「焼物の器らしい表現をしたかった」という、老舗窯元の矜持の表れである。

 結果、受けた光は様々な方向に拡散されてレギュラーモデルの柞灰色も限定モデルの淡瑠璃染も、一層豊かな色合いが表現された。手間暇を惜しまず、繊細な美を追求してきたことで、有田焼は欧州の磁器ブランドの手本となった。

 その精神と伝統とが、これら3つのモデルのダイヤルに宿る。優れた工芸技巧が生み出す美しさは、人の心を打つ。時間を知るために有田焼ダイヤルに目をやる度に、心は豊かになるだろう。日本ならではの美を腕に誇り、その素晴らしさを日々再認識できるのだから。

※すべての製品は、セイコーグローバルブランドコアショップ専用モデルです。

Words: Norio Takagi Photos:Yoshinori Eto Styling: Hidetoshi Nakatou

衣装協力: ジャケット 3万4100円 パンツ 2万1450円/ともにハバノス シャツ 3万3000円/サバイ、ニット 3万5200円 ニットT 1万4850円/ともにラッピンノット パンツ 2万6400円/サバイ(すべてHEMT PR☎︎03-6721-0882)