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ティソ T-タッチ スイスのイノベーターが示すモダン コネクテッドウォッチの最新形

ティソ T-タッチは、世界初のタクタイル(触覚)ウォッチとして1999年に誕生した。これまでにも幾度となく進化を繰り返してきた同モデルの最新機種は、絞り込んだ機能性とソーラーエネルギーによる自律性を備えながら使い勝手を大きく向上させている。スマートウォッチやコネクテッドウォッチがマーケットに増えているなかで、スイスの伝統ある時計ブランドは何に取り組むべきか? その答えのひとつが、ここにある。

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豊かな自然にあふれるスイスでは、ハイキングやトレッキング、スキーなど、自然と触れ合うスポーツが国民にとにかく愛されている。ティソ T-タッチはそんなスポーツ愛好家に向けて、1999年に生まれた。このモデルにおいてとりわけ画期的だったのは、方位や気温などの機能の選択を、リューズやボタンの操作ではなくダイヤルをタッチして行うタクタイル技術だ。機能性が高まるにつれて操作が煩雑になるという高機能ウォッチのジレンマを、ティソはテクノロジーをもって解決したのだ。

 T-タッチは発売から瞬く間に話題となり、スイスにおける高機能スポーツウォッチの代名詞となった。2004年にはマイクロソフトとパートナーシップを結んで世界初のコネクテッドウォッチ「ティソ High-T」をリリースし、2014年からはソーラー駆動に進化。より使いやすくアップデートを重ねている。そして今年は大幅にサイズダウンし、都会的な印象を強めた「T-タッチ コネクト スポーツ」がラインナップに追加された。T-タッチコレクションは誕生から25年経った今もなお、進化を続けている。

 T-タッチコレクションにラインナップされているT-タッチ コネクト ソーラーと新しいT-タッチ コネクト スポーツを並べると、その差は一目瞭然だ。比較してケース径が4mm小さくなり、ベゼルもよりシンプルに、スタイリッシュになった。さらにリューズをなくしたことで、ケースのタイトな印象は強まっている。ケース厚もT-タッチ コネクト ソーラーが15.3mmであるのに対して、T-タッチ コネクト スポーツは12.8mmとかなり薄くなった。これは何を意味しているのか? GPS機能を時計本体に内蔵し、本格的な登山家からも愛されるT-タッチ コネクトソーラーが純然たる“ツールウォッチ”である一方で、T-タッチ コネクト スポーツは、日常使いの時計としての需要を満たしながらスポーツシーンとシームレスにつなぐことを目的として開発されているのだ。

(左)T-タッチ コネクトソーラー 直径47mm、(右)T-タッチ コネクト スポーツ 直径43mm。

 機械式時計愛好家にとっても、ティソ T-タッチ コネクト スポーツの43mmというケースサイズは親しみがあるものだ。クロノグラフやダイバーズなどスポーツウォッチのカテゴリにおいては王道ともいえるサイズであり、手首にもよく馴染む。しかしT-タッチの根幹にあるユーザビリティを無視しているわけではない。例えば風防全面に配されていたタクタイルテクノロジーは、6時位置のAMOLEDスクリーンへと継承されている。このスクリーン部を風防の上から左右上下にスワイプすることで機能を選択し、タッチ&サイドのボタンで操作する。スマートウォッチをはじめとしたデジタルデバイスでは、複雑なマニュアルに頼らずとも直感的な操作ができなければユーザビリティは大きく低下してしまう。しかしT-タッチは誕生以来一貫してユーザー目線での使いやすさに配慮しており、今回の新作であるT-タッチ コネクト スポーツでもその伝統は継承されている。

 しかしなぜ、ティソはティソ T-タッチにユーザビリティを求め続けるのだろうか? そこには、ティソの企業文化も関係してくる。同社は世界初の耐磁時計(1930年)や世界初の24タイムゾーンウォッチ(1953年)など、積極的に新しい技術にトライしてきた。そのすべては、ユーザーのためによりよい時計を開発したいという思いがあったからこそ。T-タッチの場合も、まずは“アナログウォッチである”という基本を守り、高い視認性と優れた操作性、心地よい着用感を追求してきた。そのうえで、T-タッチ コネクト スポーツではT-タッチ コネクト ソーラーとの差別化を図る意味でも機能を絞り込むことで消費電力を抑え、それに伴って小型化と薄型化も実現。ケース素材にはチタン、ベゼルにはセラミックを使用し、スポーツシーンにもふさわしいタフネスと軽さ、そして日常使いにもうれしい高級感を取り入れている。

 ティソはブランドが理想とする時計製造を叶えるためにル・ロックルを中心に時計工場をいくつも所有し、世界最大の時計コングロマリット、スウォッチ・グループに属している。ティソ T-タッチ コネクト スポーツは、そういったバックボーンとノウハウがあったからこそ実現した時計だ。

 その恩恵のひとつが、頭脳であるOSにも表れている。コネクテッドウォッチのOSとしてはiOSやアンドロイド、そしてファーウェイが開発したハーモニーがあるが、T-タッチではグループ傘下の企業やスイス電子工学・マイクロ技術研究センター(CSEM)と共同開発したSw-ALPS(スワルプス)というOSが使用されている。他社OSの場合、アップデートの内容によっては時計そのものが使用できなくなるリスクもあるが、独自OSを使えばその心配はなくなる。

 また、ティソはロゴマークにスイス国旗であるスイスクロスを掲げるほど母国を代表する自負を持っている。ゆえにムーブメントだけでなく、頭脳であるOSもスイス製にこだわったのだ。また、自社で完結したOSであるためにデータを他社に提供する必要がなく、顧客のプライバシーを守ることができるのも現代的観点からのメリットと言える。

 そして光発電を行うソーラーセルも、スウォッチ・グループ内部で開発している。担当したのは、ヒゲゼンマイの製造でおなじみのニヴァロックス・ファー。同社が設計・製造した太陽電池システムは発電効率に優れ、小さくなったダイヤル面積でも十分な電力を確保できるうえ、光量の低い屋内などでもしっかりと発電が可能だ(その発電状況はAMOLEDスクリーン上でリアルタイムで確認できる)。ソーラーセルは一枚タイプをとったため、ダイヤルの美観も維持できている。こういった点には、伝統ある時計ブランドらしい矜持が垣間見える。

 ケースの小型化に合わせて電子回路も新しく設計されており、発電した電気を貯める二次電池も内部のスペースに合わせて選択するなど、小型・薄型化の実現のために見えない部分を細かく詰めている。こうした開発が可能なのも、電子回路やムーブメントの製造、組み立てまでもすべてグループ内で完結しているからであり、その独立性こそが時計としてのクオリティを高めているのだ。

 これだけ高性能な時計でありながら、ティソ T-タッチ コネクト スポーツではあえて“できること”を絞り込んでいる。従来のT-タッチで見られた高度/気圧、方位を計測するセンサーは搭載せず、アクティビティに関する機能はワークアウト、ハイキング、サイクリング、ランニングにとどめた。その一方で日常的によく使う歩数計測機能を充実させ、新たに搭載された心拍測定機能によって、体の状況を正確に把握できるようにしている。

 この時計はプロのアスリートというよりも、日々のライフスタイルのなかにスポーツがあるようなアクティブな人々のためにある。スポーツシーンとシームレスに結びつけてくれる機能的なアナログウォッチの存在が、生活をより充実させてくれるだろう。

 ティソ T-タッチ コネクト スポーツは、あくまでもコネクテッドウォッチである前にアナログウォッチであるというスタンスをとっている。そのため、機能性をシンプルに絞り込むことで時計自体をスマート化する方向で開発は行われた。しかもすべてをグループ内で製造しているために、OSの更新や電池の廃盤といった外的な要因によって使用できなくなるという心配もない。

 チタンやセラミックを巧みに用いた質感の高い外装に加えて、高効率のソーラーパネルによって充電のストレスからも開放されたT-タッチは時計単体のクオリティも満足感が高い。ユーザーのライフスタイルに変化があって、仮にコネクテッド機能を使わなくなったとしてもスイス製高級時計として長く楽しむことができるのだ。数々の世界初を成し遂げてきたティソは、このジャンルにおいてもまぎれもないイノベーターであるのだ。


ティソ T-タッチ コネクト スポーツ ウォッチギャラリー

Photos:Tetsuya Niikura(SIGNO) Styled:​Eiji Ishikawa(TRS) Words:Tetsuo Shinoda