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ゼニス クロノマスター オリジナル リミテッドエディション for HODINKEE

1960年代後半に誕生したゼニスのクロノグラフにおける真髄が、未来を見据えて進化を遂げた。ゼニスの最新ムーブメントを搭載し、クラシックなデザインからインスピレーションを得て、アイコニックなエル・プリメロに繊細なテイストを加えたのだ。

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HODINKEEはゼニスと再びコラボレーションし、伝説的で常に進化を続けるゼニス エル・プリメロを発表することができ、大変嬉しく思う。前回のゼニスとのコラボレーションでは、過去から深く切り取られた時計に敬意を表したが、今回はゼニスの時計メーカーとしての遺産を現代に蘇らせた新しいラインナップである、クロノマスター オリジナルの限定版を発表する。

 ゼニス クロノマスター オリジナル リミテッド エディション for HODINKEEの登場だ。

過去に触発され、現代に再構築されたもの

 約2年前にゼニスのチームと話し合ったとき、我々がゼニスとエル・プリメロを愛するすべてを丁寧にとらえた時計を作りたいと思ったのだ。ゼニス クロノマスター オリジナル リミテッド エディション for HODINKEEのデザインは、ゼニスの豊かな歴史に根ざしている。

 初代エル・プリメロが誕生したのは1960年代後半、時計にとって華やかで激動の時代だった。その名は「最初の、ナンバーワン」という意味を持ち、以来、エル・プリメロはクロノグラフのデザインとエンジニアリングの不朽のアイコンとなり、過去半世紀にわたって敬意を持って再解釈がなされてきた。オリジナルのエル・プリメロは、当時最高の自動巻きクロノグラフ・ムーブメントを搭載していただけでなく、当時最も繊細で快適、かつ均整のとれたケースと、今でも新鮮に感じられる文字盤デザインを備えていた。

 ゼニス クロノマスター オリジナル リミテッド エディション for HODINKEEでは、この歴史のすべてが考慮されている。手首にフィットする快適なつけ心地、角張ったラグ、そしてクラシックな3色のサブダイヤル。これらの要素が一体となり、名高いエル・プリメロキャリバーを新しい時代へと押し上げる、モダンなクロノグラフが誕生したのだ。

 これは、文句なしのクラシックを自信を持って進化させたものだ。ゼニス クロノマスター オリジナル リミテッドエディション for HODINKEEは300本の限定モデルで、 HODINKEE Shopとゼニス独自のeコマースプラットフォームを通じて、110万円(税込)で販売。

新しいアイコン

 クラシックなデザインを進化させるという作業は、大変なことであると同時にエキサイティングなことでもある。このコラボレーションによってゼニスのよさを最大限に引き出し、そもそも我々がゼニスに惚れ込んだ理由を明らかにしたいと思った。そこで登場したのが、38mm×12.6mmという完璧なサイズのクロノマスター オリジナルのケースだ。2021年に発表されたクロノマスター オリジナルは、1969年のゼニスA386のオリジナルを瞬時に思い起こさせるが、現代性と美しい仕上げの両方を確保するためのアップデートが施されている。クロノマスター オリジナルは、オリジナルのエル・プリメロのシルエットの多用途性を保ちつつ、モダンでラグジュアリーな雰囲気を醸し出しているのだ。

 この限定モデルのデザインプロセスは、まずマットなサーモンオパーリンの文字盤を採用することから始まった。ゼニスのクラシックなダイヤル構成にダイナミックで温かみのある背景を与えている。グレーとシルバーを基調としたガルバニックなサブダイヤルがみっつ重なり合うこのモデルは、ゼニスのオリジナルモデルと同じグレーを基調とした兄弟モデルのように見える。思いがけない色彩を楽しませてくれるこの時計は、A386に遊び心を加えたものだ。最新のコラボでユニークな存在感を放っている。

 サブダイヤルのトーンに合わせ、アイコニックな赤いクロノグラフ秒針をホワイトに変更し、ペイントされた針やインデックスとうまく調和させている。同様に、3時位置のグレーは、周囲のタキメータースケールにも使用され、10秒トラックには3時位置のサブダイヤルのガルバニックグレーが、周囲の10分の1秒スケールにはサーモンベースがマッチしている。このふたつの目盛りは、この時計の特徴である10分の1秒の精度を簡単に表示するために併用されている。秒針は10秒ごとにダイヤルを1周するため、ムーブメントと同様に10分の1秒単位の計測も簡単に読み取ることができる。

 4時半位置の日付表示は、初代エル・プリメロのデザインに欠かせないものであり、ゼニスが現在も継続しているものだ。我々はこのデイトウィンドウを残しつつ、デイトホイールを文字盤の色に合わせた。好き嫌いは別として、日付表示は時計のなかで最も便利な機能のひとつだ。文字盤との調和に気を配った。目に優しく、腕になじむ、エル・プリメロらしいデザインだ。

 ケースと文字盤は、A386のようなヴィンテージのエル・プリメロに見られるアクリルレンズを思わせるサファイア風防で覆われている。ピストンプッシャーとサテン仕上げのラグを備えたケースは、鏡面仕上げのセンターリンク、エッジに鏡面仕上げが施されたアウターリンク、フォールディングクラスプ付きのテーパードブレスレットと相まって、モダンなハイテクスポーツウォッチとしての外観と質感を持っている。ゼニス クロノマスター オリジナル リミテッドエディション for HODINKEEは、クラシックなスタイル、モダンなプロポーション、優れた時計製造技術を、親しみやすく、個性的で、現代的なパッケージに融合させたモデルだ。

ゼニス エル・プリメロ オートマティック Cal.3600

 38mmケースの内部には、サファイアケースバックから見えるゼニスの自動巻きムーブメント、エル・プリメロ Cal.3600が搭載されている。Cal.3600は、創業以来エル・プリメロを特徴づけてきたハイビートとコラムホイールのデザインに加え、今日のコレクターにスムーズな動作と信頼性を提供する現代的な技術改良が施されている。その特徴は、ムーブメントのハイビートの振動数を最大限に活用することにある。振動数が速ければ速いほど、過ぎ行く1秒1秒の解像度がより細かくなる。10秒に1度、つまり1分間に6回、クロノグラフ秒針が文字盤を横切るという、非常に珍しい方法である。エル・プリメロの構造を再構築したCal.3600は、オリジナルのCal.400のようにムーブメントの4番車を使ってクロノグラフを作動させるのではなく、ハイテクなシリコン製ガンギ車から直接クロノグラフを作動させている。

ゼニスとエル・プリメロの歴史

 1865年、当時22歳のジョルジュ・ファーブル=ジャコによって設立されたゼニスは、垂直統合的な時計製造のアプローチにより、長年にわたりハイエンド機械式時計のパイオニアであり続けている。そのため、同社は革新的な技術を駆使し、永続的な意義と世界最高水準の技術性能を備えたムーブメントを生み出してきた。その歴史は、ドレスウォッチからクロノメーター、パイロットピース(文字盤に“Pilot”の文字を配することのできる唯一のブランド)、そしてもちろんクロノグラフに至るまで、幅広い種類の時計に及んでいる。エル・プリメロは、最も有名なクロノグラフのひとつであり、機械式ムーブメントのなかでこれほどまでに知名度の高いムーブメントは、ほかにないだろう。

 エル・プリメロは、1969年にデビューした自動巻きクロノグラフ3機種のうちのひとつで、ムーブメントとハイビート脱進機を一体化して開発され、今日に至るまで自動巻きクロノグラフのあるべき姿を示す基準を確立した唯一のプロダクトだ。実際、1969年に発売された自動巻きクロノグラフを見渡してみても、エル・プリメロは現在も生産されている唯一のモデルでもある。これは、その象徴的なステータスと、長年にわたって再創造を続けてきたゼニスの意欲と能力の明らかな証しである。

 今となっては、エル・プリメロは偉大なモデルとして運命づけられていた。しかし、1970年代半ばには、このアイコン的な地位が保証されるとは到底思えい状況だった。スイスの時計産業の将来が危ぶまれたのだ。エル・プリメロが発表された同じ年に、最も早い時期にクォーツムーブメントが導入されたからである。クォーツは、高品質な機械式時計の魅力、鼓動、寿命には及ばないものの、その精度は他の追随を許さないものだった。スイス全土で、かつての偉大な企業が、今日クォーツショックと呼ばれる不安定な時代に突入した。そして、当時のゼニスのオーナーであるアメリカのゼニス・テレビ社(この買収の経緯はまた別の機会に)は、エル・プリメロという製品を過去のものと見なし、抹殺命令を下したのだった。

 当時、ゼニスに勤めていたシャルル・ベルモがエル・プリメロの金型を隠していなければ、このクロノグラフはクォーツショック以前に犠牲になった多くのものと同じように歴史に名を残すことはなかっただろう。しかし、ベルモはよく理解していた。エル・プリメロは当時最高の自動巻きクロノグラフであり、永久に引退させるにはあまりにも惜しいほど素晴らしいものであることを理解していたのだ。彼のおかげで、このハイビートのサラブレッドは、1980年代初頭に趣味と技術の振り子が戻り、機械式時計製造への関心が再来しつつあるときに、第二の人生を歩むことができるようになったのだ。エベル社から注文が入ると、すぐに他の大手時計メーカーからも声がかかった。特に注目すべきは、ある超大手時計メーカーだ。ゼニスのエル・プリメロは、ロレックスの自動巻きデイトナのエンジンとして約10年間使用され、機械式時計の復興に大きな役割を果たした。

 クロノグラフがモジュールとしてではなく、ムーブメントの構造に組み込まれていたため、エル・プリメロは厚みを増すことなく改良することを可能とした。手頃な価格のアニュアルカレンダー「キャプテン エル・プリメロ ウィンザー」や「ストライキング 10th」など、エンスージアストに人気の高いモデルが続々と登場。また、エル・プリメロのトゥールビヨンバージョンやミニッツリピーターも存在するのだ。クォーツショック以前に発売された自動巻きクロノグラフのなかで、エル・プリメロはあらゆる嵐を乗り越え、その頂点に立ちった。そして、今もなお、最高傑作である。

※記事公開時点、HODINKEE Shopではすでに完売だが、日本のゼニス公式ECでは入荷があり次第販売される。すべて同時でなく、出荷され次第の順次販売となるので入手したい方はぜひチェックを。