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Introducing クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥー クロノメーター FB 2RE 2020年新作

アイコニックなフュゼ・チェーン式伝達機構と1秒ルモントワール・デガリテ機構を組み合わせた高精度コンプリケーション。

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クイック解説

 ショパールの カール-フリードリッヒ・ショイフレ共同社長が陣頭指揮を執る、クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥー。2015年に初作となるクロノメーター FB 1.1及び1.2を発表以降、基本的にはバリエーションという形で新作を投入してきたが、この度、完全新作となるコレクション、クロノメーター FB 2REを発表した。

 1768年11月10日。時計師のフェルディナント・ベルトゥーが当時のフランス国王ルイ15世からの注文を受けて製作したマリンクロック No.H.M 6及びNo.H.M 8がフランス・ロシュフォールからスペイン・サントドミンゴへの1年に渡る航海に用いられ、海上での試用に成功した。
 そして、1770年4月1日。フェルディナント・ベルトゥーはこの成功を受け、フランス国王ルイ15世及びルイ16世の統治下で最も栄誉のある「国王と海軍の時計・機械職人」という称号を与えられた。

 新作はフェルディナント・ベルトゥーが先の栄誉ある称号を得てから250年経たことを記念して製作されたモデルで、18Kホワイトゴールド(WG)モデルと18Kローズゴールド(RG)モデルの2種類がリリースされた。
 なお、使用されるゴールドはショパールに倣い、トレーサビリティが明確なルートから調達された100%エシカルゴールドが用いられている。

 クロノメーター FB 2REは、マリンクロック No.H.M 6にインスピレーションを得たモデルで、デザインはもとより構造についても大きな影響を受けて製作されている。
 まずは外見的な特徴から見ていきたい。

新作に影響を与えたフェルディナント・ベルトゥー作のマリンクロック No.H.M 6。1768〜1769年にかけて航海に同行し、テストされた。

マリンクロック No.H.M 6に着想を得て製作された新作、クロノメーター FB 2RE.1。写真は18Kホワイトゴールド(WG)ケース仕様。

マリンクロック No.H.M 6を横から見た画像。長いシリンダー形ケースには、内部が見えるように小窓が設けられている。

クロノメーター FB 2REを横から見た様子。ケース左側(9時側)にマリンクロック No.H.M 6を彷彿とさせる小窓をもつ。

 まずはケース。マリンクロック No.H.M 6は銅製のシリンダー形ケースを、ジンバルサスペンションシステムによって水平を保持する構造をもつ。ケースの一部には小窓が設けられており、そこから収められたムーブメントを見ることができるようになっている。本作ではこれを受けて、新たにシリンダー形のケースを製作。さらにボルトによってラグをケースに固定するという構造が採用された。

 次にダイヤル。マリンクロック No.H.M 6は2段レイヤー構造のダイヤルで2種類の目盛りをもつ。内周のローマ数字で時を、外周のアラビア数字とサークルで分を表示したが、新作もこれに倣って2つのパーツで構成された2段構造のグラン・フーエナメルダイヤルが採用された。18KWGモデルがホワイト、18KRGモデルはブラックカラーで、各インデックスや表記も反転カラーのグラン・フーエナメルとなっている。また、秒針もマリンクロック No.H.M 6にインスパイアされたデザインである。

クロノメーター FB 2REに搭載されるCal.FB-RE.FC。

 そして、ムーブメント。ムーブメントもマリンクロックの構造とデザインから着想を得て、新たなムーブメントが導入された。従来のコレクションにおいても搭載されていたフュゼ・チェーン伝達機構に加えて、ルモントワール・デガリテ機構を組み合わせた新しいムーブメント、Cal.FB-RE.FCだ。
 仕組みは異なるが、どちらも動力ゼンマイの力(トルク)の一定化を図ることで精度の安定化、つまり高精度を狙った機構である。ムーブメントの部品数はチェーンだけで790点、全体では1200点もの部品で構成される極めて複雑な機構をもつコンプリケーションウォッチだが、実際にCOSC認定クロノメーターを取得する高精度を実現した。

 価格は共に2674万円(税抜予価)で、18KWG、18KRG仕様共に世界限定10本という希少なモデルとなっている。

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ファースト・インプレッション

 クロノメーター FB 2REは1本、数千万円と非常に高額で、かつ生産数も少ない極めて希少な時計である。しかしながら、幸運にも実機に触れる貴重な機会に恵まれたため、筆者なりに実際に時計に触れてみて分かった本作の魅力をいくつか紹介したい。

 まず初めはダイヤルだ。
 本作では2段構造のグラン・フーエナメルダイヤルを採用している。平滑で極めて質感に優れているが、驚いたのはそこではない。厚みが抑えられているという点だ。
 ダイヤル素材には一般にシルバーや真鍮が使われる。また、エナメルダイヤルではダイヤル裏側にもエナメルを施すカウンターエナメルという方法で焼成時におけるダイヤルの歪みを防いでいる。表にも裏にもエナメルを施すため、エナメルダイヤルは厚いのが常識だ。しかも、本作のダイヤルは2段構造。本来であれば、かなりの厚みとなる。

 しかし、本作ではダイヤルのベース素材に非磁性のスティールが使用された。歪みを避けるための完璧な温度管理と正確な焼き入れが重要なことは本来のエナメルダイヤルと変わらないが、これにより、カウンターエナメルの必要がなくなり、従来のエナメルダイヤルよりも厚みを抑えることに成功したという。本作はケースを含めてた厚さが14.3mmだが、この数値で収まっているのはダイヤルの厚みが抑えられていることが大きく影響している。

 そして、何といっても驚かされたのはムーブメントだ。本作はフュゼ・チェーン伝達機構に加えて、ルモントワール・デガリテ機構を組み合わたコンプリケーションだが、一体何がすごいのか?

 従来のコレクションにおいても、ムーブメントにはフュゼ・チェーン伝達機構が搭載されていた。
 一般に、動力ゼンマイの力(トルク)は完全に巻き上げた状態が最も強く、パワーリザーブの終わりが近づくと低下するが、このトルクのばらつきが歩度(精度)低下の原因となる。

 フュゼ・チェーン伝達機構とは、円錐状の滑車(フュゼ)とチェーンを用いた回転数を変更する無段変速機構で、ゼンマイが巻き上げられた状態ではフュゼの頂点と香箱(動力ゼンマイを収める筒状の部品)が繋がっており、輪列に伝わるトルクは小さく、逆に動力ゼンマイが解けてくるとチェーンがフュゼの底面に近づき、伝達されるトルクの量が大きくなる。
 歯車を使用しているわけではないが、変速ギア付きの自転車をイメージすると理解しやすい。
 自転車の場合、漕ぎ出し時は力がいらない軽いギアを、スピードが乗ってきたら力のいる重いギアを使用することでスムーズな走行を促す。フュゼ・チェーン伝達機構の場合は、動力ゼンマイの力が強いときはギアが重く、力が弱いときはギアが軽い状態で、動力ゼンマイのトルク低下を補正してムーブメントに常に一定の力を供給することができる。

ルモントワール・デガリテ機構用のヒゲゼンマイとガンギ車。

ルモントワール・デガリテ機構に連結されるデッドビート・セコンドのためのアンクル。

 フュゼ・チェーン伝達機構だけでも構造は複雑になるが、Cal.FB-RE.FCではさらにルモントワール・デガリテ機構も追加している。

 ルモントワール・デガリテ機構もトルクの制御を目的とした機構だが、その仕組みは全く異なり、大雑把にいうと、一定量になるまで蓄えた力(トルク)を一定の間隔で放出する機構である。古いクロックなどでは8秒、懐中時計では5秒周期などの機構が用いられた。
 Cal.FB-RE.FCのルモントワール・デガリテ機構は1秒周期を採用した。ガンギ車と同心に配置された特異な種類のもので、脱進機に直接連結されている。本機構では1秒分の力を蓄積する第2のヒゲゼンマイがあり、このヒゲゼンマイは脱進機を通じて、1秒という短い間隔でテンプに力を供給する。しかも、この機構には秒針が1秒ごとに動くデッドビート・セコンド機構も連結され、極めて優れた精度を実現した。
 また、0.01gしかないチタン製の超軽量な秒針を使用し、機構に掛かる負荷を軽減。これによって高精度と同時に50時間という実用的なレベルのパワーリザーブも確保している。

 たいていの場合、こういったコンプリケーションウォッチは技術力のアピールがメインで、実用には向かないということが珍しくない。しかし、クロノメーター FB 2REは技術力の高さをアピールしながら、実用に耐え得る性能も実現させているのである。機構的な側面はもちろん、本作は非常に複雑でありながら44mm(ラグtoラグで51mm)と、それほど大き過ぎないサイズに収められている点も魅力といえそうだ。

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基本情報

ブランド: クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥー(Chronométrie Ferdinand Berthoud)
 モデル名: クロノメーター FB 2RE(Chronométre FB 2RE)
 型番: FB 2RE.1(18KWG)、FB 2RE.2(18KRG)

直径: 44mm
 厚さ: 14.3mm
 ケース素材: ロジウム加工なしの18KエシカルWG (FB 2RE.1)、18KエシカルRG(FB 2RE.2)
 文字盤色: FB 2RE.1は2段式のホワイト グラン・フーエナメル、FB 2RE.2は2段式のブラック グラン・フーエナメル
 インデックス: インデックス及びダイヤルの表記は FB 2RE.1がブラック グラン・フーエナメル、FB 2RE.2はホワイト グラン・フーエナメル
 夜光: なし
 防水性能: 30m
 ストラップ/ブレスレット:  手縫いレザーストラップ、18KWGまたは18KRGピンバックル(基本は125×70mm、バックルは20mmだが、異なるサイズも用意可能)。また、長さ調整が可能なダブルブレード付きフォールディングクラスプの用意も可能。


ムーブメント情報

キャリバー: FB-RE.FC
 機能: 時・分・秒表示、フュゼ・チェーン式伝達機構と1秒ルモントワール・デガリテ機構によるコンスタントフォース機能(デッドビートセコンド運針)、ムーブメントの裏側にパワーリザーブインジケーター、ストップセコンド機能
 直径: 37.3mm
 厚さ: 9.37mm
 パワーリザーブ: 約50時間
 巻き上げ方式: 手巻き
 振動数: 1万8000振動/時
 石数: 58
 クロノメーター: あり。COSC(スイス公認クロノメーター検定協会)認定
 追加情報: 吊り下げ式フュゼ – ディファレンシャル巻上げシステム(特許)、吊り下げ式香箱 – マルタ十字の巻き止めシステム(特許)、2つのアーム、4つの調整ネジによる可変慣性フェルディナント・ベルトゥーテンプ


価格・発売時期

価格: 2674万円(税抜予価)
 販売時期: 詳細分かり次第アップデート
 限定: 世界限定各10本(シリアルナンバー入り)。

詳細は、フェルディナント・ベルトゥー公式サイトをクリック。