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2020年は、すべての人が基本的に室内で過ごす1年となった。自宅でパンを焼き、“あれ”に感染しないように気を付けたり。
そのため、パンデミックの年にストリーミング視聴した番組や映画に対しては、ある種の愛着や思い出が残っている。皆、『タイガーキング: ブリーダーは虎より強者?!(原題:Tiger King)』が記憶にあるだろう。ロックダウンが開始した3月にNetflixで配信された番組だ。この番組の配信から約半年が経ち、巨大ストリーミング配信サービスから、動物に対してずっと優しい別のドキュメンタリー番組が配信された。
『オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(原題:My Octopus Teacher)』は、友情、ダイビング、そして人間以外の動物と人間的なレベルで交流することの意味について描いた感動的なドキュメンタリー作品だ。この作品は基本的に『タイガーキング: ブリーダーは虎より強者?!』とは反対の立場を取り、不健全さが魅力の作品ではなく、心の琴線に触れるような内容の作品であった。
ピッパ・アーリック(Pippa Ehrlich)氏とジェームズ・リード(James Reed)氏が監督したこの映画は、南アフリカのフリーダイバー、クレイグ・フォスター(Craig Foster)氏がケープタウン沖のケルプの森を探検する様子を追ったものだ。ダイビングと探検のドキュメンタリーの一部として、フォスター氏は思いがけない発見をする。小さなタコだ。彼はすぐにタコと仲良くなり、海中に潜む外敵からタコを守ろうとするのだが……。映画のネタバレをするのはためらわれるが、この映画は人生の貴重な教訓を他者から教わる、人生の経験としてふさわしい作品だとだけ言っておこう。タコはフォスター氏に、しなやかさと強さを教訓として教えてくれている。
『オクトパスの神秘: 海の賢者は語る』は非常に涙を誘う作品であり、たちまちネットの口コミで広がり、アカデミー賞を獲得するまでに至った。2021年のアカデミー賞では長編ドキュメンタリー賞を受賞している。おそらく、あなたもすでにこの作品をご覧になったことだろう。しかしフォスター氏が基本的に映画の全編で腕時計をして過ごし、タコと戯れるために海中にまで時計を持参したことには、お気づきではないかもしれない。
彼が装着する時計は、ロレックスのサブマリーナーやセイコーのSKXのような一級品のダイバーズウォッチではない。そう、もっと控えめで、目立たないタイプの腕時計だ。このよく知られたメーカーの低価格デジタルウォッチは、高級ブランドの時計の何分の1かの値段であるにもかかわらず、きっちりとその仕事をこなす。あなたは気づいただろうか?
その時計とは、カシオのSGW-300HD、圧力と温度センサーを搭載したG-SHOCKではないデジタルウォッチだ。SS製で、デプロイヤントクラスプ付きのSS製ブレスレットを備えている。カシオらしい直径50mmのずっしりとしたサイズ感は、スポーツダイビングウォッチとして見逃せない。そのサイズ感ゆえ、映画を観ていてすぐにピンときた。ダイビングに関して言えば、SGW-300HDの防水性は100m。私たちが通常考えているダイビングウォッチの防水性を100下回る数字だ。しかし、このサイトでも何度も述べているように、100mという防水性は『オクトパスの神秘: 海の賢者は語る』のようなレクリエーションダイビングには十分すぎる性能と言える。
この時計がクールだと言えるのは、フォスター氏の“普通の人”らしさを表している点だ。彼はよくいる“時計マニア”ではないようだが、彼のような立場の多くのダイバーが選びそうな時計の種類を押さえている。このカシオの時計は、デパートでも50ドル程度で買えるものだ。しかし、この時計の性能は何十万ドルもする高級時計に匹敵する。
フォスター氏がペプシベゼルのセイコーSKX009をつけていたとしたら、間違いなく素敵だろう。しかし、それでは彼らしいとは言えない。このデジタルカシオは、“彼の”時計なのだ。彼の人生を変えることになる、タコとの交流の際に身につけていた時計だ。価格や由来とは関係なく、彼にとっての特別な1本と言えるだろう。
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