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GENEALOGY OF THE CLASSIC 21世紀の新たなるクラシック

2001年にデビューしたリシャール・ミルは、高級時計の既成概念を破壊し続けてきた。その革新性は、3針自動巻きモデルにも見て取れる。リシャール・ミルは、自動巻き機構の開発においてオーナーのライフスタイルにまで踏み込んだ初のメゾン。その最新作である「RM 30-01 オートマティック デクラッチャブル・ローター」は、21世紀の新たなクラシック(王道)となる。 #PR

本特集はHODINKEE MAGAZINE Japan Edition Vol.7に掲載されています。

自動巻き機構の最適解を結論づけた

 自動巻き機構は長いあいだ、巻き上げ効率の向上に主眼を置き開発が進められてきた。ゴールドのような比重が高い金属をローターに用いたりオープンワークを施したりして、重心を偏らせて慣性モーメントを高め、さらには両方向巻き上げとするなどがその代表例だ。対してリシャール・ミルの自動巻き機構は、オーナーのライフスタイルに合わせて巻き上げ効率の最適化を図った。2004年に発表されたRM 005 オートマティックは、メゾン初のシンプルな3針モデルであり初の自動巻きでもある。RM 005で同社は自動巻き機構を革新した。下写真の右側が、その最新系だ。スケルトナイズされたローターは、内側の左右対称位置にふたつの可動式フィンが備わる。この位置を動かすことで慣性モーメントが変えられる仕組みでその名もズバリ、可変慣性モーメントローター。販売時にオーナーのライフスタイルを尋ね、スポーツ好きならフィンを内側に寄せて慣性モーメントを小さくし、デスクワークが主体ならフィンを外側に寄せて高める。オーナー個々に合った、巻き上げ効率の最適化が図られるのだ。以降、リシャール・ミルのセンターローター式自動巻きモデルの多くに可変慣性モーメントローターが採用されてきた。

 RM 005 オートマティックは発表の2年後にケースを大型にし、ダイヤルにあらわになったムーブメントのスケルトン構造を改めたRM 010 オートマティックへと進化。さらに2011年には、ムーブメントを刷新した、ふたつの3針自動巻きモデルがリリースされる。RM 029 オートマティック オーバーサイズデイト(以下、RM 029)とRM 030 オートマティック デクラッチャブル・ローター(以下、RM 030)だ。前者は、その名のとおり4時位置に日付表示の各桁を個別のディスクで示すオーバーサイズデイトを装備。そして後者のモデルにおいてリシャール・ミルは、再び自動巻き機構を革新してみせた。

RM 30-01 オートマティック デクラッチャブル・ローター

 自動巻きローターは、主ゼンマイが一定量巻き上がってからも、腕の動きに準じて動き続ける。その際、主ゼンマイは香箱内でスリップして過剰な力が加わらない構造となっている。このスリップによって、香箱内は徐々に摩耗する。またスリップする力加減でトルクが変化し、時計精度に悪影響を及ぼす。これら自動巻き機構の弱点を解決するのが、独自のデクラッチャブル・ローターである。ローターによる巻き上げ輪列に、パワーリザーブ計と高度に連動するクラッチ機構を追加。パワーリザーブ計が一定量巻き上がった位置を示すとクラッチが働き、ローターを切り離す。そしてパワーリザーブが40時間を下回ると、クラッチがつながり巻き上げを再開する。12時位置にあるON/OFFのインジケーターはローターの作動状況を示し、この機構により、ゼンマイが香箱内でスリップすることはなくなった。オーナーに最適化された可変慣性モーメントローターは、身につけているあいだは巻き上げ残量50時間以上をキープしてくれ、ゼンマイからのトルクはほぼ均一となり高精度がかなうというわけだ。さらに巻き上げ残量50時間以上であればローターは切り離されるため、耐衝撃性も高まる。実に画期的だ。その進化系として今年登場したのが、RM 30-01 オートマティック デクラッチャブル・ローター(以下、RM 30-01)だ。デクラッチャブル・ローター機構に加え、写真から明らかなようにダイヤル4時位置にビッグデイトを備え、RM 029の系譜も明確に継いでいる。

RM 30-01 オートマティック デクラッチャブル・ローター

 ムーブメントの各パーツは、正方形を45度傾けた大小ふたつの菱形フレームを組み合わせたブリッジで支える構造。その上にサーキットのコースにも似たフレームを重ね、カラフルに色分けすることでパワーリザーブ計のインデックスを組み込んだ様子が、実にグラフィカルだ。またローターの作動インジケーターは、11時位置に移されている。さらに3時位置には、ファンクションセレクターも装備。これは2時位置のボタンを押すたびにリューズ機構が、巻き上げ(N)、日付調整(D)、針合わせ(H)へ順に切り替わる仕掛けで、2001年誕生のRM 002-V1 トゥールビヨンで初採用して以来、多くのモデルに使われてきた。リューズを引き出すことがないため防水性と防塵性は常に担保され、巻き真の摩耗も軽減される。巻き上げ効率を最適化したことで既存の自動巻き機構の弱点を克服。高い精度と耐衝撃性が備わり、日付表示は見やすくリューズ機構にも優れる。さらに完璧なフィット感は、リシャール・ミルの真骨頂である。RM 30-01は、まさに究極のデイリーウォッチだと言えよう。

 また前作のRM 030は、メゾンとしては異例なほどに多くのバリエーションがリリースされた。この事実は自動巻き3針ウォッチこそが、リシャール・ミルにとってのクラシカル(王道)であることの証し。その後継機であるRM 30-01はチタンとRGケースの2モデルで登場したが、今後、どんな新素材をまとうのか期待は膨らむばかりだ。

リシャール・ミル RM 029/030 ウォッチギャラリー

Photos:Yoshinori Eto(Background) Styled:Eiji Ishikawa(TRS) Words:Norio Takagi