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HODINKEEがWatches of Switzerlandと提携

それがあなたにとって、我々にとって、そして時計の世界全体にとって何を意味するのか。

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私がwww.hodinkee.comというドメインで時計について書き始めたのは16年以上前のことだ。それ以来、我々はかなりうまくやってきたと言える。いや、正直なところ、かなり、本当にうまくやってきた。最初にこのドメインを登録したとき、スプリングストリートにある4階建てのウォークアップ(エレベーターのない建物)に座っていた自分には、こんな展開が待っているとは想像すらできなかった。私の4つの大きな愛(執筆、写真、インターネット、そしてもちろん時計)を組み合わせるために始めたこの情熱的なプロジェクトが、今では年間2000万人以上が訪れる世界で最も読まれている時計プラットフォームになり、ピーク時には年間1億ドル(日本円で約150億円)分の時計を販売するまでになった。またHODINKEEの歴史を通じて、多くの人々に美しくも小さな腕時計に夢中にさせてきたことも誇らしく思う。そしてそれを支えてくれたコミュニティの成長に対しても、私は非常に誇りを感じている。

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 私はこれまでに数多くの実績を挙げてきた(タイム誌の世界で最も優れたウェブサイト50選、ファストカンパニーの最も革新的な企業には4回、いや5回選出され、フォーチュンの40歳未満の優れた経営者を選ぶ40歳未満の40人リストに載ったこともある)。また腕時計の歴史に残る瞬間も数々ある(最初のTalking Watches、“チーズナイフ”やトラベルクロック、さらにヴァシュロン、エルメス、IWC、オメガ、MB&Fとのコラボレーションなど、これらが今でも素晴らしいものであったことについては私を信じてもらっていい。)。もちろん、我々のビジネスがいかに素晴らしいものであったかも誇ることができるだろう。これらは、HODINKEEの過去を振り返る際に挙げるのにふさわしい出来事だと言える。しかし、ときとして人々はHODINKEEの過去にばかり目を向けすぎて、現在や未来について十分に注目していないと感じることがある。

 現在、そして今年の8月以降、HODINKEEは過去数年よりもさらに力を入れて、世界で最も優れた、そして情報豊かで楽しめる時計コンテンツの創造に注力している。まさに数年ぶりのことだ。そして創業当初からHODINKEEはひとつの声だけで成り立っていたわけではない。今我々が擁するライター陣は、この業界のゲームチェンジャーであり、彼らが業界の未来を担うリーダーだと私は信じている。そしてご存じのとおり、我々の最優先事項は編集コンテンツである。だからといってそれが慈善活動になるというわけではない。私がこのオープンレターで継続的に取り組むことを明言したとおりであるが、460件以上のコメントが寄せられたにもかかわらず多くの人がそれを読まなかったかのように思えるのだ:)

 そしてHODINKEEが限定版を手がけるときには、それがしっかりとした理由に基づいているということを信じて欲しい。それは我々がその製品に対して、世界的な物語に新たな価値を加えることができるからだ。

 我々は現代の時計業界を支え、ともに築き上げてきた。そして今、その業界の変化に合わせて自らも進化していく必要がある。

 ここ数年で、時計とそれを取り巻く世界は大きく変化した。本当に驚くほどだ。そしてHODINKEEに、いや私自身においてひとつ確かなことがあるとすれば、それは決して前進を止めないということだ。我々はさまざまな挑戦をする。その多くは成功するだろうが、なかにはうまくいかないものもあるだろう。しかしその間も、我々は時計業界全体のために前進し続けることが義務だと信じている。そんな思いを抱きながら本日、HODINKEEと我々、そして業界全体が長く敬愛してきたグループと手を組むことをお伝えしたい。それは120以上の時計やジュエリーブランドと関係を持つ、最も古く、重要なパートナーのひとつであるWatches of Switzerland(ウォッチズ・オブ・スイス)だ。

 そしてこれに伴い、私はHODINKEEにフルタイムで戻ることになった。社長として、そして主要な意思決定者としてだ。Watches of Switzerlandは私にとっても、このビジネスにとっても最適なパートナーであり、今がその時なのだ。一部の方はご存じかもしれないが、私は2020年にCEOを退任し、少しのあいだ、自分と家族のための時間を取っていた。その時点で、HODINKEEの所有権やコントロールは私の手を離れていた。確かに私は取締役会の一員として残っていたし、チームの一員ではあったが、皆が期待するような形で関わっていたわけではない。そして今日、このストーリーが公開された瞬間から、私はまさにHODINKEEの主要なリーダーとなり、HODINKEEの所有権についても何の混乱もなくなるだろう。我々は完全に、誇りを持ってWatches of Switzerlandグループの一員となったのだ。

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 では、どうしてここにたどり着いたのか? それは長く曲がりくねった物語だが、要するにHODINKEEはいつの時代も人々に愛され、尊敬されてきたビジネスだったということだ。有名な話だが、我々がまだ3人の小さなチームだったころ、最初の買収提案を受けたのは10年以上前のことである。しかし我々はそのオファーを断り、資金を調達して独立の道を選んだ。それが2015年ごろの話だ。ちょうどそのころ、ヨーロッパにいる友人から“イギリス最大の小売業者がアメリカ市場に進出しようとしているので話をしてみたらどうか”というメールをもらった。私はその提案に乗り、その人たちと話をした。その人たちこそ、当時も今もWatches of Switzerlandグループを支えるブライアン・ダフィー(Brian Duffy)氏とデイビッド・ハーリー(David Hurley)氏だったのだ。我々はすぐに意気投合し、その際“もし彼らがアメリカ市場に進出したら、これは本当に大きな変革になるな”と思ったことをよく覚えている。そして実際にそうなった。そして、それはすべてよい方向に進んだ。というのも10年前のアメリカの時計小売業が、正直なところいかにひどいものであったかを思い出して欲しい。確かに時計を手に入れるのは今よりも簡単だったかもしれないが、製品はしばしば単なる商品として扱われ、消費者の体験はしばしば期待外れなものとなった。Watches of Switzerlandがアメリカ市場に参入したことでその状況は大きく変わり、アメリカの小売業全体も影響を受けた。Watches of Switzerlandの存在によって、ほかの小売業者もレベルを上げる必要があり、実際にそうなったのだ。今ではアメリカ市場が世界で最も大きく、そして最も安定した時計市場となっている。

 この数年、まずCOVID-19による市場の活況に、そしてその後の冷え込みによって、私が誇りに思っているこの小さな業界は、全体の規模は大きくなったものの主要なプレイヤーの数は減少してきた。つまり、基本的には皆がどのように協力し合えるかを考え始めたのだ。我々もまた複数のCEOやオーナーからHODINKEEが提携に興味を持っているか、言い換えれば会社を売る気はあるかという問い合わせを受けた。しかし私やCEO、株主の立場から見て、そのほとんどに対する答えはノーだった。それは単に理に適わないものであったし、ワクワクするものではなかった。正直なところ皆さんもそういった提案の多くを嫌がっただろうし、それが大きな判断材料となった。しかし、Watches of Switzerlandが我々に提案してきたプランは非常に理に適ったものであった。いや、それ以上に私をワクワクさせたのだ。これほどまでに興奮したのは、ほぼ4年ぶりにこの会社の正式なリーダーシップに戻りたいと思うほどだった。ではそのプランとは何か? 私が編集長として築いたHODINKEEが、西洋の時計業界でおそらく最良のパートナーであるWatches of Switzerlandという後ろ盾を持つ姿を想像して欲しい。この会社は年間約20億ドル(日本円で約2970億円)の時計を世界中で販売し、120以上のブランドを取り扱っている。大手から小規模まで、その幅は広い。WOS(Watches of Switzerland)は大手ブランドをサポートするだけでなく、今年5月からはAHCI(独立時計師アカデミー)と提携し、北米におけるGPHG(ジュネーブ時計グランプリ)の独占小売パートナーにもなっているのだ。

 つまりWatches of Switzerlandとは、その名のとおり時計そのものと言える存在だ。そしてこれは多くの皆さんによろこんでもらえることだと思う。これまで、HODINKEEの意思決定者が誰なのかについて混乱があったかもしれないが、今ではHODINKEEは私の手に戻り、時計の世界的な文化の発展に専念する企業となった。それはとても素晴らしいことに感じられるはずだ。

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 ではこれがこのサイトにとってどういう意味を持つのか? 8月に言ったように、我々は小売から少し距離を置き、販売はWatches of Switzerlandのパートナーに任せる。今後執筆や、我々にしかできない特別なことに集中する。そのため我々が本当に特別だと思っている部分(情報を提供し、教育し、そして楽しませる力)に、より多くの時間とエネルギーを注ぐことができるようになる。Watches of Switzerlandが扱っていないブランドを取り上げるか? もちろんだ。Watches of Switzerlandとは関係のない興味深い小売業者についても取り上げるか? それももちろんそうだ。そして今後、世界中にある同グループの230を超えるブティックやショールームで、ときおりイベントを開催することはできるか? 答えはイエスだ。なぜならそれは素晴らしいことだからだ。世界中でHODINKEEのイベントを開催し、行く先々にホームがあるというのは、我々が長年抱いてきた夢なのだ。

 私にとって、HODINKEEがWatches of Switzerlandグループの一員になることは、HODINKEEが可能な限り最高の形になるための道だと思っている。そしてWatches of Switzerlandが時計業界全体、ほぼすべてのブランドとパートナーシップを結んでいることを考えると、未来が本当に待ち遠しい。個人的には、再び舵を取る立場に戻れたこと、そしてブライアン・ダフィー氏やデイビッド・ハーリー氏、そしてWatches of Switzerlandグループ全体が私のそばにいることに、非常にワクワクしている。

 この取引が完了し、私が再び立ち上がった今、これからはここで私の姿をもっと頻繁に目にすることになるだろう。それまで引き続きHODINKEEを楽しんで欲しい。また近いうちにお話ししよう!