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ブローバは、フランク・シナトラ芸術学校とパートナーシップを結んでいることで知られる。このことは、シンボリックなシンガー、俳優であり、さらに類まれな個性を持つ彼のサインを文字盤にあしらうなど、最近のブローバコレクションにインスピレーションを与えている。このシナリオで人間と時計のつながりを描くのは、ブランディングの練習としては少し難しかった。確かにブローバは、1950年代から60年代にかけて(シナトラの知名度の全盛期でもある)絶大な存在感を示していたが、彼がブランドそのものの代名詞であったわけではない。
まあ結局のところ、実際彼はそうだったのかもしれないけれど。そして今日、ブローバはシナトラの名を冠したコラボレーションモデルの新たな試みとして、ラスベガス、シルバースクリーン、そして全米のテレビで活躍したことで知られる有名なクルーたちをモチーフにした、ラットパック(シナトラ軍団)ウォッチを発表した。さて、これにより単独のシナトラから、サミー・デイヴィス Jr.(Sammy Davis Jr.)、ディーン・マーティン(Dean Martin)と共演したシナトラウォッチになったわけだ。
まず、この時計は非常に雰囲気にこだわっている。バルチックがある種縛られないヴィンテージ美学を引き出して時計をデザインするのと同じように、ブローバもまたこの新しい時計をデザインしているのだ。見た目はドレスウォッチで、サイズはそれほど大きくない。40mmという大きさは、ブラックタイの美学を受け継いでいる時代としては少々大きく感じられるが、そのほかのデザイン要素はほとんど正確だ。
サンレイ仕上げのダイヤルを同心円状にレコードカットして、そのブラックのセンターにつながるエッチングのマーカーを配したゴールドリングのほか、3時位置に日付窓を設置。またこのラットパックには、ブラックのカーフ型押しストラップが付属する。内部には約42時間のパワーリザーブを備えたミヨタ製自動巻きムーブメントの8215を搭載し、防水性は30mを確保。このムーブメントは、ラットパックのロゴとフランク・シナトラ、サミー・デイヴィス Jr.、ディーン・マーティンのサインをあしらった、スペシャルな裏蓋の中に収められている。
ここで実際の歴史とこの時計が結びつくのだが、その裏話はなかなかにおもしろい。1950年代後半、シナトラは『フランク・シナトラ・ショー』というショートテレビ番組をABCで放映していた。不思議なことに、そのスポンサーはブローバが務めていたのだ。それからご想像のとおり、シナトラはいくつかの時計を所有することになる。
それらは自分用として保管するのではなく、裏面に名入れのメモを刻印してプレゼントすることが多かった。裏蓋にエングレービングを施した新作はその慣習をなぞるようなものである。そうでなければ、薄っぺらいつながりであったものをよりパーソナルなものにしている。これに加えて、ブローバがこの時計を製作することでフランク・シナトラ芸術学校をサポートするという事実も加わり、すべてが元の場所に収まるのである。
結局のところ、この時計はかなりクールな外観のため文字盤からシナトラのサインを消したのは賢明な選択だったように思う(36~38mm径のあいだがよかったとしても)。795ドル(日本円で約11万円)という価格は、初心者向けのドレスウォッチとしては申し分なく、その限定性(5000本) を考えると、永遠に存在し続けることはない。このような時計は、インスピレーションを与えてくれるストーリーによって常によりよいものになる。この話を聞いてしまうと、夏のあいだ中、シナトラが刻印された古いブローバを追いかけることになるだろう。
ブローバ ラットパック。直径40mm、ステンレススティールケース、ブラックのカーフ型押しストラップ、30m防水。裏蓋にフランク・シナトラ、サミー・デイヴィス Jr.、ディーン・マーティンのサインをエングレービング。ミヨタ社製自動巻きムーブメント8215、約42時間パワーリザーブ。価格は795ドル(日本円で約11万円、日本未展開)。
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