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Introducing ロンジン ウルトラ-クロンがカーボンで生まれ変わった

1960年代後半に誕生した時計が、現代的な素材使いにより大胆な進化を遂げて復活した。


我々が知っていること

さあ、気づけばもう2025年だ! 年が明けたばかりのため、これから流行がどのように移り変わるかを予測するにはまだ早すぎる。しかしどうやらロンジンは、“カーボンウォッチ”トレンドの定着を宣言したようだ。ちなみに、2024年におけるスウォッチグループの隠れたヒット作のひとつがティソ PRX パワーマティック80 カーボンだった。この時計は市場の期待を上回る人気を見せ、各小売店で在庫が確保できない状況が続いた。

 そんな成功を追い風とするように、ロンジンの新作、ウルトラ-クロン カーボンも同ブランド初となるカーボンケースを採用したモデルとして発表された。この新作では、1968年に誕生したオリジナルのウルトラ-クロンのクッションケースとカーボン素材を組み合わせることで、現代的なルックスを大胆に打ち出している。

The Ultra-Chron Carbon Model Shot

 ウルトラ-クロンの復活自体は何も今回が初めてではない。ロンジンは2022年に、ヴィンテージモデルのカラーリングを再現し、ハイビートムーブメントを搭載した復刻版をリリースしている。今回の新作もこの復刻モデルのサイズ感を踏襲し、直径43mm、厚さ14mmというずっしりとしたプロポーションを維持している。

 そして今回のケース素材は、そう、カーボンだ。このケースはカーボンファイバーとエポキシ樹脂を型に流し込み、加熱・圧縮してブロック状に成形されたものを削り出している。ほかのカーボンウォッチでも見られるように、エポキシ樹脂内のカーボンファイバーの不規則なパターンにより、ひとつひとつのケースが独自の模様を持つことになる。また、カーボン素材を使用したことで、このモデルはステンレススティール(SS)製ケースのモデルに比べてはるかに軽量だ。ストラップを含めた総重量は約80gで、SS版(レザーストラップ)の約108gに比べるとだいぶ軽くなっている。

 今回の新作では従来の逆回転防止ベゼルに代わり、固定式のチタンベゼルが採用された。さらにベゼルにはアルミニウムのインサートが使用され、10分ごとの目盛りが刻まれている。これにより時計全体がモノトーンで落ち着いた雰囲気をまとい、各要素は基本的にマット仕上げとなった。針にはグレーPVDコーティングが施され、文字盤はアンスラサイト(ダークグレー)カラー、サンドブラスト加工によってマットな質感を生み出している。また、ねじ込み式のリューズとケースバックもベゼルと同様にマットなチタン製で、ウルトラ-クロンの30気圧の防水性能に貢献している。

Ultra Chron dial closeup
lume shot
caseback

 サファイアクリスタルの風防と文字盤の下には、スウォッチグループ傘下のETA社がロンジン専用に開発したCal.L.836.6が搭載されている。このムーブメントは3万6000振動/時で駆動するハイビート仕様だ。ハイビートムーブメントにおける大きな特徴は、滑らかな秒針の動きという視覚的な美しさに加え、衝撃や装着時の姿勢変化に対して、従来の2万8800振動/時以下で駆動するムーブメントよりも高い耐性を備えている点にある。またこのムーブメントにはシリコン製ひげゼンマイが採用されており、これによって高い耐磁性を実現。さらに耐磁性のあるガンギ車とアンクルが搭載され、外部からの磁場の影響を軽減する設計が施されている。

 ロンジンはウルトラ-クロン カーボンを、ジュネーブの独立検査機関TIMELABによるクロノメーター認証モデルとして公式に認定している。TIMELABは、ジュネーブ・シールの認証機関として広く知られている施設だ。ウルトラ-クロンは15日間の検査期間中、ムーブメントだけでなく組み上がった状態で異なる温度環境で一連のテストを受け、認証基準を満たす必要があった。

 ウルトラ-クロン カーボンには22mm幅のブラックファブリックストラップが付属し、チタン製バックルを備えている。価格は75万6800円(税込)だ。


我々の考え

現行コレクションのなかでもヴィンテージ要素の強いモデルに対して、ロンジンがとりわけモダンなカーボン処理を施すことを選んだのは非常に興味深い。個人的には文句はないが、正直に言えば最初にカーボン仕様で登場するのは“ZuluTime”だと思っていた。結果としてこの新作は非常に印象的な仕上がりになっており、ケースの形状や文字盤デザインがカーボン処理によくマッチしている。

ultra chron being put together

 カーボン素材の軽さと暗い色合いが、この時計を細めの手首にも着けやすくする要素となるだろう。しかしそれでもウルトラ-クロンは、ボリューム感のあるモデルであることに変わりはない。多くの人がクッションケースの短いラグが着用感を高める一助になると指摘しているが、私が実際に何度か試着した際には細い手首には少し大きすぎると感じた。ここでのポイントは、この極めて軽い素材がどれほど視覚的にダウンサイズ効果を生むか、という点だろう。ロンジンは最近Zulu Timeをはじめ、コレクション全体で小型サイズの提供を進めている。そのためこのハイビートムーブメントが、より小さく薄いウルトラ-クロンのケースに搭載される日を期待したいところだ。

 一方でこのケースが手首にフィットする人にとっては、非常に完成度の高い仕上がりだと思う。近年では各ブランドがカーボンを用いることで、コーティングに頼らずにブラックケースの代替案を提供するようになってきた。しかしこれは非常に理にかなっている。私としてはコーティング仕上げの耐久性に不安を感じることが多いため、この素材選択は歓迎すべき変化だ。モノトーンかつミリタリー調のクールな配色は一見控えめに見えるが、実際には大胆な決断だと言える。この時計の主要なデザイン要素が1960年代後半に由来する一方で、全体的には非常に現代的なロンジンの時計として仕上がっている。さらに、よりカラフルなヴィンテージオマージュのSS版と並行してカタログに掲載されている点も非常に魅力的だ。このようなモデルは一般的に限定生産として登場しがちだが、今回は通常リリースとなっている点を評価したい。

ultra chron look at the bezel

 ひとつ残念に思うのは、SSモデルの回転式ベゼルに対し、固定式ベゼルが採用されていることだ。これほどの高スペックを備えた時計で、機能性を失う選択をするのは少々奇妙に思える。私はこれまで時計を実際に水中で使ったことはないが、経過時間の測定に使う回転ベゼルはデスクダイビング(オフィスでの着用)の場面でも意外と日常的に役立つ機能だと感じている。

 最後に気になるのは、ストラップ付きのSS版ウルトラクロンと比べて、このカーボン&チタン仕様に約24万円の価格差に見合う価値があるかどうかだ。私の考えでは、その価値は十分にあると思う。というのも、5000ドル(日本円で約78万6000円)以下の価格帯でハイビートムーブメントを搭載する時計は依然として珍しいからだ。さらに素材変更による仕上がりの違いは、まったく異なる時計のような印象を与える。ヴィンテージファンは引き続きSS版を好むだろうが、カーボン仕様はブランドのカタログのなかでもより洗練された、現代的で実用的なモデルとして位置付けられている。あえて言えば、現行のロンジンのスポーツウォッチのなかで最も洗練されたモデルなのではないだろうか。近年のロンジンはスウォッチグループ内におけるミッドプライスブランドとしての地位を確立し、ハイビートムーブメントやフライヤーGMTなどの魅力的な機能を提供してきた。このウルトラ-クロン カーボンも、この価格帯で推奨できる優れた時計のリストに新たに加わった1本だといえる。そして同価格帯の競合モデルに対する強力な選択肢として、ロンジンの存在感をさらに高めることになるだろう。


基本情報

ブランド: ロンジン(Longines)
モデル名: ウルトラ-クロン カーボン(Ultra-Chron Carbon)
型番: L2.839.4.52.2

直径: 43mm
厚さ: 14mm
ケース素材: カーボン
文字盤色: アンスラサイト
インデックス: アプライド
夜光: ブルーのスーパールミノバ
防水性能: 30気圧
ストラップ/ブレスレット: ブラックのテクニカルファブリックにチタン製クラスプ

box shot of ultra chron carbon

ムーブメント情報

キャリバー: L836.6
機能: 時・分・秒表示
パワーリザーブ: 52時間
巻き上げ方法: 自動巻き
振動数: 3万6000振動/時
石数: 25
クロノメーター認定: TIMELABによる


価格 & 発売時期

価格: 75万6800円(税込)
発売時期: 発売中
限定: なし

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