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Hands-On パネライ サブマーシブル BMG-TECH™ 47MM

登山家ジミー・チン氏が山でテストした頑丈なサブマーシブル。

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私が時計を取材してきた限りでは、新しい素材を用いた時計を送り出してきたメーカーは数多い。「新素材」の範疇に入る時計に、疑いの目を向けるのは容易なことであるが、しばらくすると、素材A、B、あるいはCは、相乗効果を期待した業界X、Y、またはZと仕組んだ策略だと疑ったりするようになる。この素材は果たして時計の世界で生き残っていけるのだろうか、本当にそれが誇るような高い期待に応えられるほどのものなのかと。
 パネライは、数年前からかなり控えめなやり方ではあるが、時計の材質科学のカテゴリーを推進し、時計をより頑丈かつ軽量にする可能性のある新しい素材を利用してきた。これは、47mmにも達する大型のツールウォッチを製造することに没頭している会社にとっては、かなり重大なミッションといえる。パネライが最近この分野で行ってきた仕事は称賛に値すると思う。今日、私たちがハンズオンする時計は、パネライの武器ともいえる2つの比較的新しい素材を使用している。すなわちケース用のBMG-TECH、ベゼルに用いられたカーボテックである。

 BMG-TECHは、バルク金属ガラスの略称であるが、SSなど従来の時計製造材料の外観と感触を持つように調合された物質で、軽量かつ耐傷性が極めて高く優れたパフォーマンスを発揮する。あなたがそれを見て、そのケースがよくあるSS製だとか、あるいはカーボンベゼルが付いたチタンで作られていると思ったのだとしたら、それは狙い通り、まさに思うつぼだと思う。BMG-TECHを採用することにより、パネライはごく普通の時計に見えるものを作り上げているのだ。従来のサブマーシブルは、結局のところ、ファンに訴えるだけでなく、部屋の向こう側からでも気付いてもらえるようなデザインである。

 では一体、バルク金属ガラスとは正確にはどんなものか? 簡単に言うと、金属を組み込んだガラスのような合金である。より具体的には、無秩序な原子構造を持つ合金で、高圧高温注入プロセスによって形成される。素材の注入後、急速に冷却(わずか数秒間)され、その間に材料は結晶構造を組織する前に「凍結」するのである。バルク金属ガラスの無秩序な原子構造が、その特徴である頑健性、極めて優れた耐食性、大きな衝撃に耐える能力、耐磁性を材料に与えるのである。それが実際に何から作られているかといえば、合金の構成要素には、ジルコニウム、銅、アルミニウム、チタン、ニッケルが含まれている。

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 ベゼルは、パネライがカーボテックと呼ぶ別の独自の素材で作られている。カーボンファイバーをベースにした複合材料であるカーボテックは、不均一なマットブラックの見た目とカット方法によって個々に異なる質感を持ち、それぞれのベゼル、ケース、その他のコンポーネントに微妙に異なる外観を与えている。個々のカーボテック製のコンポーネント(本機の場合はベゼルだが、パネライはカーボテック製のケースも製造している)は、カーボンファイバーの薄いシートからプレートを作成することで形成されるが、このプレートはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)として知られるポリマーと共に圧縮される。 

 手首に着けた感じは、BMG-TECHケースはSSに最も近いと思うが、手首に座りの良い重さや、着けたときの手首と金属との間の熱の伝わり方という点で、わずかに軽くなっていると思う。まあ、それは仕方がない。何せ私好みの47mmもある大きな時計なのだから。ただし、ルミノール ドゥエコレクションに最近導入された少数のモデルを除き、従来、パネライに小型または超薄型の時計を求める人はまずいない。このような47mmの時計は、深海での極端な防水性能や視認性を必要とする、ダイバー向けツールメーカーとしてのパネライの歴史を最もよく物語っているのではないだろうか。この時計は、300mの防水性能と、大きな夜光インデックスと針を備えている。ベゼルの発光性のピップは明るいグリーンに光り、時間マーカーと時針も同様である。分針は、サイズとブルーの輝きの両方で簡単に区別できる。

 サブマーシブル BMG-TECH 47mmに搭載されているのは、自社製の自動巻きキャリバーP.9010で、日付表示付き、72時間のパワーリザーブを備えたムーブメントだ。従来通り2万8800振動/時(4Hz)、ハック機能があるが、その前身のP.9000よりもスリムなプロファイルを提供している。GMT機能や第2タイムゾーンを示すことはできないとはいえ、日付に接続された時針は1時間刻みで設定できるため、非常に実用的なトラベルウォッチとなる。

 パネライ サブマーシブル BMG-TECH 47mm(PAM00799)は、168万円(税抜)と決して安くはないが、その価格に見合ったかなりのものを顧客に提供している。P.9010は非常に優れたモダンなムーブメントで、またバルク金属ガラスの素材は、引っかき傷に強いケースが必要な場合の素晴らしい解決策を提供すると共に、従来のSS製スポーツウォッチの外観を維持している。

 本記事の時計は、最近パネライのアンバサダーとなった登山家、冒険家、写真家、映画製作者であるジミー・チン(Jimmy Chin)によって実際にテストされたことは特筆に値する。パネライはこのサンプルをチンに渡し、彼にそれを着けて登山するよう勧めた。これを知って、私はすぐに興味をそそられた。チンはHODINKEE Magazine Volume 3の中で、普段、登山ではあまり腕時計を着けないと言っていた。なぜなら登山中に腕時計がひどく損傷してしまうことが多いからだという。しかし今回、彼は登山中にこのサブマーシブル BMG-TECHを着けたが、時計は依然として素晴らしい状態のままであるように見える。

 去る11月にイベントのためニューヨークにいたチンに会った際、彼にハイエンドの機械式時計を着けて登った経験について尋ねてみた。彼は、砂漠での純粋なクラッククライミングなど、特別なタイプの登山では実際に時計を着けることができない場合があることを認めたうえで、この新しいサブマーシブルを着けて山に行った際の経験を話してくれた。
「山では全ての携行物がかなりボコボコになってしまうので、基本的にそうした悪条件での使用に耐えるように作られた時計を持ったうえで出かけるのはいいことです。以前は、山で素敵な時計を着けることは本当に心配でなりませんした。私が山に持ち込むものは全て必要不可欠なものです。それぞれ特別な機能を果たす必要があるものです」

パネライ サブマーシブル BMG-TECH 47MMの詳細についてはパネライ 公式サイトへ。