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我々が知っていること
2018年頃まで腕時計をしない人が、見識のある“時計人間”であるあなたに、どんな(機械式)時計を買えばいいのかと質問してきた場合。セイコー5を、特に当時65ドル(日本円で約8000円)で販売していた、直径36mmの時計を集めたシンプルなコレクション、SNK800シリーズをすすめる可能性がかなり高いと思う。SNKシリーズは手ごろで機能的であり、またパイロットとフィールドウォッチの中間のような美的な魅力を持ち、幅広い層に支持されていた。そして2019年、セイコーは新たにセイコー 5スポーツコレクションを発表し、それまで展開していたセイコー5のラインを廃止した。
そしてセイコーはついに、5スポーツから36mmのフィールドウォッチ、セイコー 5スポーツ フィールド スーツ スタイルとフィールド スポーツ スタイルを発表し、クラシカルなフォルムを復活させたのである。セイコーが昨年発表した39mmの大振りなSRPGシリーズと酷似しているが、同コレクションはスティールケースが数mmほどダウンサイジングしている。フィールド スポーツ スタイルのファーストトリオは、アラビア数字に、ブラックまたはクリームカラーのダイヤルを持つフィールドウォッチのSBSA197(海外版ではSRPJ81)、SBSA199(海外版ではSRPJ83)、SBSA201(海外版ではSRPJ85)の3本で展開。さらにSRPJ87(海外でのみ展開)とSBSA203(海外版ではSRPJ89)のデュオは、パイロットウォッチに近いダイヤルのレイアウトを備え、あの当時のSNKシリーズを思わせるデザインとなっている。本稿執筆時点では、セイコーはアメリカ以外の市場でのみ発売を予定しており、発売時の希望小売価格は各3万8500円(税込)となっている。
セイコー 5スポーツの新しいコレクションは基本的に、見た目どおりに再現されたものが手に入る。直径36mm、厚さ12.5mm、ラグからラグまでは44.4mmと、既存の39mmサイズで展開しているフィールドウォッチと比較すると、程よいサイズ感となっている。私にとってこの大きさは、フィールドウォッチとしてはまさに完璧といえる。同様のスペックを持つ、クラシックなフィールドウォッチをいくつも挙げれば私の意見に同意してくれると思う(やぁ、あなたたちもここにいるんだね、エクスプローラー 1016、ハミルトンのカーキフィールド!)。
最初のトリオは、フィールドウォッチとしておなじみのレイアウトだ。アラビア数字のインデックス(そのすぐ内側には小さな24時間表記も)に、3時位置のデイデイト、針とインデックスには夜光を塗布している。SBSA197はブラックのダイヤルにホワイトのアクセント、SBSA199はサンドカラーのダイヤルにブラックのアクセント、そしてSBSA201は質感のあるブラックダイヤルに温かみのある(フォティーナ)アクセントを組み合わせている。ひとつ目はSS製ブレスレット、ふたつ目はナイロン製ストラップ仕様で展開。最後に、セイコーはフィールド スーツ スタイルに、さらに2本のリファレンスを追加している。SRPJ87とSBSA203である。サイズはまったく同じだが、従来のパイロットウォッチに近いレイアウトかつ、サンバーストダイヤルを採用しているのが特徴だ。
5つのリファレンスすべてに、約41時間パワーリザーブのセイコー製自動巻きCal.4R36を搭載。このキャリバーは2011年から多くのエントリーモデルに搭載するなど、高い信頼性を提供してきた。最後に、フィールド スポーツ スタイルおよびフィールド スーツ スタイルはすべて10気圧の防水性能を備えている。
我々の考え
アメリカ以外での販売小売価格は4万円程度だ。セイコーのエントリーモデルで、しかもフィールドウォッチとしてはやや高値ではあるが、この価格はより多くの製品が市場に出回るにつれて下がっていくことだろう。現在、この時計は、より強固なセイコー 5スポーツのダイバーズと同じ価格帯にあるが、ふたつの時計は異なるグループにいる人々にとって違う魅力を持つ。SNK807は私が最初に買った時計ではないかもしれないが、最初の3本のうちの1本に入ることは確かだ。古いSNK800シリーズが多くの人にとってメカニカルウォッチの入門機であったように、この新しいSBSA、SRPJシリーズもそうであってほしいと願っている。かつてのSNKは毎日のように、1日100ドル以下で見つかったはずだが、SBSA、SRPJシリーズがそんなに安くなるとは夢にも思わない。しかし今は2013年ではなく、2023年の話。見た目もよくなり、ムーブメントも改良が加えられている。今ではSNK80xの系譜でさえ、翌日配送してくれるお気に入りのインターネットの巨大企業では、150ドル程度になっているのだ。
セイコーが36mmというサイズの、比較的安価なフィールドウォッチを提供するようになったのは喜ばしいことだし、前のバージョンよりも明らかに洗練された印象だ。SNK800シリーズが生産を終了して以来、市場のなかで比較的空いたままになっていたジャンルの重要なスペースである(タイメックスなどは立派にその役目を果たしていたが)。もし腕時計を持っていない友人が“数百ドル”という予算内でおすすめの時計を教えてほしいと尋ねてきたとしても、私はもうどれをおすすめすればいいかわかるため、“ああ、いい時計だね”ときっと同意してくれるだろうという自信を持っている。そして数年後に彼らは、もっと大きな予算を携えて、きっと戻って来てくれるだろう。
基本情報
ブランド: セイコー 5スポーツ(Seiko 5sports)
モデル名: フィールド スポーツ スタイル(Field Sports Style)、フィールド スーツ スタイル(Field Suits Style)
型番: SBSA197(海外版ではSRPJ81)、SBSA199(海外版ではSRPJ83)、SBSA201(海外版ではSRPJ85)、SRPJ87(海外でのみ展開)、SBSA203(海外版ではSRPJ89)
直径: 36mm(ラグからラグまでは44.4mm)
ラグ幅: 18mm
厚さ: 12.5mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: ブラック(SBSA197、SBSA201)、サンド(SBSA199)、シルバー(SRPJ87)、グリーン(SBSA203)
風防: カーブハードレックス
夜光: あり
防水性能: 10気圧(日常生活用強化防水)
ストラップ/ブレスレット: SSブレスレット(SBSA197)、NATOストラップ(SBSA199、SBSA201)、カーフストラップ(SRPJ87、SBSA203)
ムーブメント情報
キャリバー: 4R36
機能: 時・分・秒、日付・曜日表示
直径: 27mm
パワーリザーブ: 約41時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 24
価格 & 発売時期
価格: 各3万8500円(税込)
発売時期: 2023年3月10日
限定: なし
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