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2022年8月29日(月)から9月1日(木)まで、スイスの文化的中心地にてジュネーブ・ウォッチ・デイズが開催された。HODINKEEでは今後何日かかけて、ブルガリ、MB&F、オリス、ウルベルクそのほかのブランドのトップリリースのすべてを詳細に取り扱っていく。
我々が知っていること
ラグジュアリーグループのケリングから独立したばかりのユリス・ナルダンは、ジュネーブ・ウォッチ・デイズを記念して、レディダイバー39mmとブラスト トゥールビヨン45mmのふたつの新バージョンを発表した。楽しげで軽快なモデルと、重厚で堂々としたモデル、このふたつの時計の接点は何だろうか。それは、1979年に公開された映画『マペットの夢みるハリウッド(原題:The Muppet Movie)』と同じくらい古くからある結びつきだ。そう、虹のつながりである。
ルビー、ツァボライト、ペリドット、アクアマリン、アメジスト、サファイアなど、色とりどりの貴石や半貴石をロイジービブ(小学校の色見本)状に配置したベゼルは、ふたつの時計に共通する家宝といえる。ブラスト トゥールビヨン レインボーには、これらの煌めく美しい宝石が38個、インデックスに使用されている。レディ ダイバー レインボーには、40個のレインボーとダイヤモンドのインデックスが備えられている。どちらも数種類のストラップ展開だ。
正直なところ、パッと見ただけで、この時計は “プライド月間”(LGBTQ / LGBT+コミュニティを祝う月間)用に作られたものだと思ったし、別に面白がっているわけでもなく、文字通り「ああ、プライドの時計ね」と思ったのだ。でも、違うのである。実は、このレインボーデザインは、シリシウム(シリコン)という元素へのオマージュなのだ。
ユリス・ナルダンがシリコン/シリシウムに強みがあることは、時計好きなら誰もが知っている(2001年に発売された象徴的なフリークで、初めてシリコン/シリシウムを使用した時計を作った)。この素材が、どのようにしてデザイン的にレインボーコレクションに結びついたのかは、想像もつかないだろうから、実際に聞いてみるしかない。レインボーコレクションは、「シリシウムの虹色に輝く...この革命的な素材のきらめく色」にインスパイアされているのだ。
ちょっと無理があるような気もするが、正直なところ、デザイン関係者が「何にインスパイアされた」と言うたびに、私はそれを完全に真に受けることはないし、今回も例外にするつもりはない。
このレインボーのトレンドは、2012年に登場したロレックスの有名なレインボーデイトナ、2020年のブライトリング スーパーオーシャン ヘリテージ'57 レインボー、2021年のウブロ レインボー ビッグバン トゥールビヨンでも見ることができる。このコレクションを自由に比べてみよう。
ユリス・ナルダンは、1846年にマリン・クロノメーターの製造からスタートした。ロブスターの形をした氷を浮かべたバケツを売るナンタケットの店が起源なのかと、私と同じように思っている人のために、この錨のロゴを説明しよう。80年代に復活してからは、マリン・クロノメーターをモチーフにした時計や、特定の技術革新(シリコンはともかく、フリークは針を使わずに時間を知らせる)の推進、さらに広くヨーロッパの船乗り的ライフスタイルの推進に注力していることで一般に知られている。
2014年にケリングに買収され、今年初めにはそれが解かれた。企業コングロマリットのマントを脱ぎ捨て、このレインボーウォッチで独立した新しい顔を世界に提示している。
我々が思うこと
ほら、私は派手な時計が好きなのだ。前出のウブロも大好きだった。このサイトでは、最近ゼニス デファイ ミッドナイト ボレアリスを愛用している。さらに、タイメックスのジュディス・リバーとのコラボレーションウォッチも大好きだ。この時計を身につけた我らがノーラ・テイラーは、その目を所有欲の塊のように輝かせながら、手に取るだろう(記事「タイメックス T80 x ジュディス リーバー限定モデル」参照)。
なぜ、そのような時計が有効なのか、その理由を説明する。ウブロは、超高級品に匹敵するほど大げさで派手だ。ゼニスは大げさではなく、その配色は新鮮で想像力に富んでおり、しかも驚くほど高価でもない。そして、タイメックスは、ゴージャスへの道をまがりなりにも歩んでいるようないい意味でのダサさがある。また、数千ドルではなく、数百ドルであることも、間違いなくいい。
レインボー・コレクションの時計は、やりすぎでもあり、物足りなさでもあると私は思う。というのも、この配色は何度も見てきたものだし、時計に使うトレンドは少なくとも1年前にピークを迎えているからだ。
私は、我々のテクニカルディレクターのニック・マリノにメールを出して、ユリス・ナルダンについてどう思うかを尋ねた。彼は、ユリス・ナルダンは技術革新においてトップブランドのひとつであり、シリコンを使った仕事は画期的であると言った。だから、私が全面的に否定するのは不公平だと思う。この時計は、中身に魅せられ、虹色の外装が全体のパッケージに何らかの付加価値を与えているか、少なくとも損なわれていないと感じている人のもとに届くかもしれないのである。ブラストは50本、レディダイバーはブラックが300本、ホワイトが300本と限定モデルだ。ヨーロッパの船乗りたちのなかにも、このモデルを欲しがる人がいるに違いない。
基本情報
ブランド: ユリス・ナルダン(Ulysse Nardin)
モデル名: ブラストトゥールビヨン レインボー、レディ ダイバー レインボー ホワイト、レディ ダイバー レインボーブラック(Blast Tourbillon Rainbow, Lady Diver Rainbow White, Lady Diver Rainbow Black)
型番: 1723-400B1LE-2B-RAIN/3, 8163-182B1LE-1A-RAIN/3A, 8163-182B1LE-2A-RAIN/3A
直径: 45mm, 39mm
厚さ: 13mm, 11mm
型番: ブラストのミドルケースはブラックDLCチタン、アッパーケースは鏡面仕上げとサンドブラスト仕上げのブラックセラミック、ケースは鏡面仕上げのステンレススティール、ブラックステンレススティールケース。レディダイバー レインボー(ホワイト)には鏡面仕上げのステンレススティールケース、レディダイバー レインボー(ブラック)はブラックコーティングのステンレス スティールケース。
文字盤色: 【ブラスト】スケルトン/ブラックの長方形とダブルX/ブラックのインデックスに12個のレインボーバケットストーンをセッティング。【レディ ダイバー レインボーホワイト】シルバーダイヤルに11のダイヤモンド(0.12ct)。【レディ ダイバー レインボー ブラック】ブラックダイヤルに11のダイヤモンド(0.12ct)
夜光: 【ブラストブラック】針にスーパールミノバ、【レディ ダイバー レインボー】は12時位置のインデックスと針にスーパールミノバ
防水性能: 【ブラスト】50m、【 レディ ダイバー】300m
ストラップ/ブレスレット: 【ブラスト】ブラックベルベット調の防水ラバーまたはブラックアリゲーターストラップ。【レディ レインボー ダイバー(ホワイト)】テクスチャーの入ったホワイトラバーストラップ、ホワイトアリゲーターストラップ、いずれもステンレススティール製バックル付き。【レディ ダイバー レインボー(ブラック)】、テクスチャーの入ったブラックラバーストラップ、ホワイトステッチ入りブラックアリゲーターストラップ、いずれもブラックセラミック製バックル付き。
ムーブメント情報
キャリバー: UN-172; UN-816
機能: 【ブラスト】自動巻きスケルトンムーブメント、フライングトゥールビヨン、時、分、12時位置にプラチナ製マイクロローター。シリシウムを脱進機、アンクル、ヒゲゼンマイに使用。【レディ ダイバー】時、分、秒、日付。
パワーリザーブ: 72時間; 42時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2.5 Hz(1万8000振動/時)、4Hz(2万8800振動/時)
石数: 25; 19
価格 & 発売時期
価格: ブラスト: 1079万1000円 / レディ ダイバー: 162万8000円(すべて税込)
限定: ブラストは50本、レディ ダイバーは300本
詳細はユリス・ナルダン公式サイトへ。
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