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One to Watch ウエルスブロ、NOSの時計として死から蘇る!

ヴィンテージのケースやムーブメントを使用することで、一度は忘れ去られたブランドが暗闇から救い出された。

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無名だが魅力的な時計ブランドについて知りたいとき、私はリッチ・ライヒバッハ氏に話を聞く。彼は、魅力的な背景を持ちながらあまり知られていない時計を販売するサイト「Time Titans」を運営する人物だ。そして今、また新たなブランド、ウエルスブロ(Welsbro)について教えてくれた。そして、それをたまたま彼が所有していることも。

 もともとそれは彼のブランドだったわけではない。ウエルスブロは、1926年にニューヨークの47丁目にあったワイズマン・ウォッチ・カンパニーによって設立された。ワイズマンはスイスから時計の部品を輸入し、アメリカ国内でウエルスブロのブランド名の時計を組み立てていた。多くのブランドがそうであったように、ウエルスブロもクォーツ危機の際に閉鎖され、比較的小規模な時計メーカーとして忘れ去られたままになっていた......しかし、ライヒバッハ氏と彼の妻、ケイティ・ウィリス氏が死から蘇らせたのだ。

 ただしこれは、歴史の捏造や不明瞭な製造元、口のうまいPR会社、派手なウェブサイトなどで埋め尽くされたゾンビブランドの話ではない。ウエルスブロは、価値と透明性を重視しながら、時計の純粋な楽しさや面白さを追求しているブランドだ。

オリジン・ストーリー

 時計の世界について、ライヒバッハ氏はあらゆることを見てきた。Time Titansを設立する前は、ニューヨーク州ベッドフォードの時計メーカーである父親のもとで働いていた。業界に身を置くようになってから10年以上が経ち、彼はおよそ1万本の時計を販売してきた。2015年のある日、彼はそれまでに見たことも聞いたこともない時計、ウエルスブロのクロノグラフに出会った。

若くてスタイリッシュなリッチ・ライヒバッハ氏とケイティ・ウィリス氏は、最近復活したこのブランドを支えるダイナミックなデュオだ。

 彼はその時計を購入し、ブランドの歴史を調べ始めた。そして、この時計が単なるアメリカの時計ではなく、ニューヨークの時計であることを知ったとき、自分が探していたチャンスを見つけたと思った。彼は何年もの間、NOS(ニューオールドストック=新古品)のヴィンテージムーブメント、ケース、時計部品を集めていた。ウエルスブロはパズルの最後のピースだった。ライヒバッハ氏はアメリカのブランドを復活させたいと考えていたが、ウエルスブロがあれば、すべてのNOS部品を集め、ケースに入れて市場に出すことができる。

 彼はウエルスブロのドメイン名を購入し、ソーシャルアカウントを登録して、このブランドを意義深く復活させる方法を考え始めた。それから6年の歳月が流れ、9月18日、1970年以来初めてウエルスブロの時計が販売される。

 ライヒバッハ氏は、なぜ昔のケースメーカーが今のケースメーカーよりも面白いのかを語ることができ、ヴィンテージ・ムーブメントの技術仕様を記憶していて、時計がどのように機能し、どのように作られているかについては百科事典的な知識を披露できる。しかし、強力なコンセプト、ビジュアル、実行力でブランド全体を結びつけているのはウィリス氏だ。「ちょっと待って、あなたのビジョンは何? ブランドは何を語るの? というように、彼が望んでいたかどうかは別として、私はリッチに全面的に広告指南をしました」と彼女は言う。

時計の入ったブリキのランチボックス。

各時計には、そのモデルのスペックを記したトレーディングカードが付随。

 4種のデビューモデルは、かつてのエレガントなウエルスブロのゴールドダイヤルのクロノグラフとは大きく異なる。ファンキーで新鮮なデザインで、ライヒバッハ氏がニューオーリンズの有名なレストラン、ガラトワールで過ごした時間にちなんで、料理の世界のデザイン要素を取り入れている。

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我々がなぜ彼を気に入ったのか

 オレンジソーダ、レモンライムソーダと名付けられた2種のダイバーズは、鮮やかな色の文字盤が特徴だ。このモデルは、ホイヤーの発展に大きく貢献したフランスのケースメーカー、モニン製のNOSの36mmケースを採用している。そして内部には同じくNOSのア・シールド製Cal.913が搭載されている。新しい文字盤は、日本の時計職人兼デザイナーであるクマダ ケンキチ氏がデザインしたものだ。ライヒバッハ氏は彼とオンラインでつながり、2人は2015年から一緒に仕事をしている。それぞれが自分の文化やデザイン哲学の一片を貢献することについて何百通ものメールを交換し、ウエルスブロの最初の時計を作り上げた。文字盤と針は中国製だが、ライヒバッハ氏はこれをまったく隠そうとはしない。

 時計、パッケージ、その他の資料を見ると、アートとブランディングがすべてを結びつける要素であることがわかる。ウィリス氏は広告業界とのつながりから、アーティストのオスカー・バスティダス氏を起用し、新しいウエルスブロのキッチュで気まぐれなテイストを表現したブランディングを行った。また、クマダ氏はパッケージのポップアート風デザインにも力を入れた。仕様書を兼ねたトレーディングカードには「この時計を食べないでください」という遊び心のある注意書きが書かれており、金属製のランチボックスに時計と一緒に入れられている。また、この時計は食で人々を救うことにも貢献している。それぞれの時計の売上の10%は、Meals on Us PDXに寄付されるのだ。Meals on Us PDXは、食料を必要とする恵まれない人々に無料で食事を提供する団体だ。

 これらの時計は、安くて美味しくて個性豊かな穴場のレストランで食事をするようなものなのだ。そして一番の魅力は? 500ドル(約5万5000円)いう価格だ。その通り! 新古品コンディションのヴィンテージウォッチ、特にモニン製ケースのものを、その価格に近い値段で探してみてくれ。簡単なことではない。この時計は、レモンライムソーダが12本、オレンジソーダが13本、合計25本の限定だ。

 フードがテーマの楽しみは、ダイバーズだけではない。ライヒバッハ氏は、手持ちのヴィンテージ・レマニア5100クロノグラフムーブメントを使って、ケチャップとマスタードをテーマにした2種の時計を作り出した。鋭い観察眼を持つヴィンテージ・クロノグラフの愛好家であれば、このケースがどこから来ているかおわかりだろう。ドイツの時計メーカー、ジンだ。 正確にはジンのRef.147。価格は1750ドル(約19万2000円)で、クマダ氏の工房で組み立てられている。

次に来るのは

 今後、ライヒバッハ氏とウィリス氏は、何年も眠っていた古いムーブメントを再利用することを計画している。そしてそのムーブメントを中心に、ケース、文字盤、針などは新しく製作することを考えている。ライヒバッハ氏はオメガのCal.3600(有名なバルジュー7750をベースにしたもの)の大規模なコレクションを持っているが、これらが第二の人生(見方によっては第一の人生)を歩むのを待っているのだ。また、フランク ミュラーのレトログラード パーペチュアル トゥールビヨンも10本持っているが、これらはブランドの要素をすべて取り除き、新しいパーツをつけて、同時にムーブメントをよりよいものに再構築する予定だ。「これらを完成させるには非常に高額な費用がかかるでしょう」と彼は言う。「でも、そこには貴重な金属が使われます」

 Welsbro.comでは、9月18日から4種のデビューウォッチを公開する。近所に目新しいレストランがオープンしたときにワクワクするのと同じような気持ちで、私はこのブランドに期待している。人々に気づかれないよう自分だけの秘密にしたいと思っても、そうはいかない。みんなに伝えないといけないほどのお得感がある。そして、その成功を見届けたいと思うはずだ。

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