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In-Depth ブルガリ オクト フィニッシモ ミニッツリピーターの調べ

ミニッツリピーターを見るのはいい。聞くのも良い。ミニッツリピーターを聞きながら見ることは、また全く別の体験だ。

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※本記事は2016年7月に執筆された本国版の翻訳です。

 ミニッツリピーターを見るのはいい。聞くのも良い。ミニッツリピーターを聞きながら見ることは、また全く別の体験だ。オーデマ ピゲがスーパーソヌリを製作する際に取ったアプローチは、音響特性を重視したものだった。一方、ブルガリがオクト フィニッシモ ミニッツリピーターを製作する際に選択したのは、特徴的な形状を追求しながらも、その制約の中で可能な限りのことを行い、非常に伝統的に構築されたムーブメントの成す音質を重視したものだった。 

 ブルガリ オクト フィニッシモ ミニッツリピーターはご存知の通り、現在生産されているミニッツリピーターの中で世界最薄だと、尽きることなく何度も言われているが、繰り返し話題に上るのはこのモデル自体が体現するもののためだ。 超薄型のミニッツリピーターを作る上での課題については、薄型時計のシリーズ記事や、オーデマ ピゲ スーパーソヌリの記事で詳しく説明してきたが、今回は世界最薄のミニッツリピーターにフォーカスしていることもあり、もう一度取り上げてみる価値はあるだろう。

 リピーターにとって、音が重要ならサイズも重要だ。 時計が大きくなるほど、より大きなケースを通して共鳴し、より大きな質量の空気を動かすため、より大きなゴングを叩くために必要な質量とエネルギーが大きくなる。 他の全ての条件が同じなら、許容範囲の広い、厚くて幅のあるムーブメントを使うことで動作をより確実に作動しやすくできる。 組み立ては容易な方だ(トラブルシューティングや微調整が必要になるため、リピーターを扱う際には、分解も必要になる)。
  リピーターは時計ではありながら楽器でもあり、誰もが知っているように、楽器は小さければ小さいほど音に妥協が生じる。 しかし、昔のリピーターの中には、非常に薄くてデリケートで持ち主の慎重な取り扱いが必要でありながら、非難の余地がないほど美しい音を奏でていたものも確かにあった。 ブルガリ オクト フィニッシモ ミニッツリピーターは、そうしたリピーターに匹敵すべく努力しているが、昔の時計にはなかった、現代のエンジニアリングの利点を全て備え、より優れた音響特性と耐久性や防水性を提供している。

 オクト フィニッシモ ミニッツリピーターのケースは非常にモダンな外観をしているが、ブルガリの長年のデザインワークの多くを特徴づける直線的で建築的な雰囲気ももち合わせている。力強く統一されたデザインを主張するクリーンでシンプルなラインは、常にブルガリの得意とするところであり、本機もその伝統を受け継いでいる。 ケースとダイヤルは共にチタン製で、サイズは40mm×6.85mm、防水性能は30mと、確かにヴィンテージリピーターにはない30mの防水性能を備えているのだ。 

 Cal.BVL362は、あらゆる面で非常に伝統的なムーブメントであり、非常に興味深い歴史をもっている。 その起源は1981年、ジェラルド・ジェンタが、厚さわずか2.72mmというユニークなミニッツリピーターを製作したことに遡る。それはムーブメントとケースを含めた厚さで、自動巻きでもあった。当時の極薄時計によくあることだが、この時計はあまりにも繊細すぎて生産に至らなかった。しかし、ムーブメントはより信頼性の高いものにするために再設計され(多少厚みがあるものの)、ブルガリがダニエル・ロートとジェラルド・ジェンタを買収した際には、そのデザインも取得し、生産を開始することにした。これは現在生産されている中で最も薄いリピータームーブメントであり、最も薄いリピーターウォッチでもある。また、他の多くの近年のリピーターとは異なり、この時計は純粋に伝統的な時計製造によって作られているのだ。私の知る限り、この薄さに勝る唯一の腕時計ムーブメントは、厚さ3.1mmといわれているヴァシュロン・コンスタンタンの4261に使用されているものだ。これは、時計学的にみても非常に美しい。

 このような薄くて小さなムーブメントにしては、本機の音色は驚くべきものだ。これはケース素材によるところもあるが、ダイヤルのマーカーを物理的な開口部にし、音波が外に伝わりやすくするなど、ケースデザインに工夫を凝らしたことも影響している。撮影した動画とサウンドは、伝統的手法で構築されたリピーターの音の特性を最高の状態で再現している:クリアで非常に音楽的なクオリティで、そのバックグラウンドでは、伝統的なアンクル脱進機の繊細な作動音も聞くことができる。

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 これは、とんでもない快挙である。単なる記録に対してのというより、その記録が意味するものに対して、また、最先端のリピーターとエレガントでウェアラブルなデザインを融合させたことに対してのものだ。超薄型のコンプリケーション、特に超薄型リピーターという、非常に挑戦的な分野で主導的なパフォーマンスを成し遂げたブルガリは、拍手を受けるに値すると思う。

ブルガリ オクト フィニッシモ ミニッツリピーター:ムーブメント、ブルガリ Cal.BVL362、時・分表示、スモールセコンド、ミニッツリピーター。2万1600 振動/時 、3.12 mm×28.5 mm、42時間パワーリザーブ。 チタンケース、40mm×6.85mm、防水30m。価格、1816万円(税抜)

ブルガリの極薄時計についての詳細は、オクト フィニッシモ トゥールビヨンの記事でも紹介している。