trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Just Because 2020年新作時計のカラフルなモデルたち

私たちは皆、彼らの魔法にかかっている。

ADVERTISEMENT

なぜレインボーカラーの時計が多いのか? その向こうには何があるのか? 2020年に顕著なトレンドとして、多くの時計ブランドが、カラーバリエーションを揃えたコレクションを発表している。時計業界のほぼ全てのセグメントのブランドでだ。この傾向はどこからともなく現れたように見えたが、私がこの傾向に注目したのは、1週間の間に2つの異なる記事(2つの異なるカラフルなウォッチコレクションについて)を書いてからのことだった。もしかしたら同じ記事が2回掲載されているのではないかと思って、HODINKEEのインスタグラムをチェックした。それぞれの画像には、カラフルで、あえて言えば虹のような時計が並んでいた。しかしもちろん、よくよく見てみるとそれらは全く違うものだった。そのとき以来、色鮮やかな時計のリリースのたびに、注意して見るようになったのだ。

 カーミット(セサミストリートのカエルのこと)は、「虹は何も隠さない」と歌って虹の魅力を最もよく表した。今年の新作に関して言えば、その通りだと思う。これだけ多くのカラーバリエーションの時計が登場しているのだから、あらゆる色があるだろうし、まだ出ていない色のバリエーションは無いように思う。今年発売された色鮮やかなモデルをいくつかピックアップしてその面白さを発見し、虹との関連性を確認するというのも一興だろう。


ロレックス オイスターパーペチュアル36&41

 オイスター パーペチュアル(OP)といえば、ロレックスの時計の中でも最もシンプルにまとめられたモデルだと思う。ロレックスのほぼ全てのモデルには、文字盤に「オイスター パーペチュアル」の文字が印刷されている。多くの意味で、この時計はロレックスの基礎となる時計であり、全てを支配する時計なのだ。また、このモデルは歴史的に、遊び心をもつものとは対極に位置する。まるで、話しかけられたときだけ応え、必要なときにだけジョークに対して笑うような時計だ (箱に戻されたり、さらに悪い場合は、売りに出されることを恐れているかのように)。

 ここ数年、時計をより "楽しい "ものにしなければならないかのような風潮がある。今回ディスコンとなったOP 39について考えてみよう。プラム色の文字盤にピンクのアクセント、ブルーの文字盤にグリーンのアクセント、そしてロジウムの文字盤にブルーのアクセント。しかし、それらのモデルでさえ、まだ少し控えめな印象を受ける。私の空想上のロレックス時計大賞では(時計本人しか参加できないイベント)、サブマリーナーとエクスプローラーは、毎年、OPと以下のような同じ会話をしているはずだ:

「OP、リラックスした方がいいよ」とワイン片手にエクスプローラーが言う。

「そうだな、少しは人生を......人生に飛び込め」と、まだ濡れたままで靴も履いていないサブも言う。

 彼らは、頭にソンブレロを乗せてビールを持ったまま倒れているミルガウス(パーティーが命)に向かって歩き出す。

ステラ ダイヤルのデイデイト(左)とOP 41(右)。写真提供:エリック・クー 

 長年の催促が実を結んだのか、36mmと41mmの新しいオイスター パーペチュアルには、コーラル、イエロー、ライトピンク、ダークグリーン、パウダーブルーの文字盤が採用された。これは新しい年の、新しいオイスターであり、全く新しい個性をもっている。それはダブルバトンマーカー(シングルバトンが好まれることを知ったうえでは、反抗的でもある)を採用し、ダイヤルの色は、このコレクションではめったに見られない自信を感じさせる。オイスター パーペチュアルを「目立たない」と呼ぶ時代は終わりを告げたようだ。

 私は、コーラルと黄色のダイヤルが特に良いと思う。この二つは深みのある、豊かで大胆な色合いが特徴的で、70年代の有名な(そしてよくコピーされる)ステラダイヤルのロレックスを最も連想させる。保守的な色合いから脱したため、全体的に41mmのサイズ感がこれらの時計に合っていると思うし、36mmでも最近のロレックスのケースデザインとしては大きく、これもまた素晴らしい外観だ。色以外でも、ロレックスのイージーリンクシステムが採用されたことで、これらの「エントリーレベル」の時計は装着性が向上し、プロフェッショナルモデルにかなり近くなった。ロレックスは今年のカラフル時計の流行を意識したわけではないだろうが、OPは確かにそのトレンドに乗ったようだ。


ドクサ Sub300

 ロレックスの話が出たが、ドクサも一時期、ダイバーズウォッチ界の宮殿で "王 "と肩を並べていたブランドである(そして今もそうだと主張する人が多い)。正直言って、ある意味ドクサに新しい点はないと言えるし、ここで取り上げるつもりはほぼなかった。だが別の意味では、全く新しいとも言える。三番めの見方としては、彼らは古さと新しさの混合物とも言える。とにかく、取り上げることにした。私がためらったのは、ドクサのカラーダイヤルは既によく知られているし、色の種類もこの新たなドクサ Sub300ラインのリリースで変更されてはいないという理由からだ。

 カラフルな文字盤とマッチした色とりどりのドクサのラバーストラップを見て、私はこれを今回取り上げる価値があると判断した。ドクサ Sub 300は300Tを現代的にアップグレードしたもので、より具体的には、ヴィンテージのドクサダイバーズのプロポーションへの回帰を表す。前述したように、古くて新しいのだ。私がドクサのSub300のラインについて常に評価するのは、ほとんどの要素が昔から不変だということだ。これらの時計は見た目が良いというよりも、身に着ける人にとって良いものなのだ。これらは時を告げる金属の塊であり、カラフルな色は、深く暗い水中で気分を明るく保ってくれる。

 時々、頭の中で「オレンジ色のドクサを買え」という声が聞こえてくる。「それが必要なんだよ」と、ささやく。ドクサを見るたびに、私はオレンジ色の文字盤を見つめる。正直に言うと(カラフルな時計についての記事で言うのは愚かだと思っているが )、私はドクサの時計の中でブラックダイヤルのシャークハンターが大好きなのだ。カリビアンブルーやアクアマリンのライトブルーも楽しいが(なぜか、イエローダイヤルのダイビングスターは私の好みではない)、所有していないにも関わらず、シャークハンターには感傷的な愛着をもっている。ロバート・レッドフォードが『Three Days of the Condor(スリーデイズ・オブ・ザ・コンドル)』の中で、バンドストラップのシャークハンターをつけているのを見て欲しい。どんなに素敵に見えることか。私が何を言いたいのかが分かるだろう。


クールハンティング+NOMOS クラブキャンパス38限定プライドモデル

 私は、これらの時計のプレス写真を見て非常に美しいと思った。ロレックスのOPラインと同様に、これらのカラーリングは本当に的を得ていて非常に魅力的だ。冒頭でも述べたが、インスタグラムで何度も見たのは、実はこの時計と前述のドクサだった。このコレクションは、全体として、より広範なLGBTQI+コミュニティをサポートしており、各販売の収益は、世界最大のLGBTQの若者の自殺予防と緊急援助のための組織であるThe Trevor Projectに寄付される。この限定コレクションは、デザイントレンドに飛びつくのではなく、虹が象徴する意味を、時計そのものに託して表現しているのだ。

 クラブ キャンパスの美しいカリフォルニアダイヤルは、それだけで素晴らしいデザインだが、カラフルな背景色によってさらに際立っている。これらの時計の唯一の問題は、全ての色を購入したくなることだ。たぶん私は手首(または前腕)に3つの時計を着用し、それぞれ異なるタイムゾーンに設定するだろう。多色時計コレクションがもつ多様性はこんなことにも使える(複数タイムゾーンも同時に見れる機能性だ)かもしれない。6つの時計を購入するというアイデアは、NOMOSがリリースした1650ドル(約17万4000円)という非常に買いやすい事実によって強化された。一度に6つ全部のバリエーションを買うのもあり得ない話ではない。唯一の悪いニュース(慈善的な側面からは良いニュース)は、これらの時計は全て完売しているということだ。

ADVERTISEMENT

ブライトリング エンデュランス プロ

 この時計は賛否両論あると言わざるを得ないが、たしかにカラフルだ。既にこれを、2020年新作時計 20〜30万円台から編集部お気に入りを紹介として掲載したが、プロスポーツ用の機能と色の遊び心がミックスされたこの時計は、今の時代にぴったりの時計だと感じた。我々はしばしばツールウォッチに憧れる。これらは軽くてクロノメーター仕様の時計で、クォーツムーブメントを搭載してはいるが、そのクォーツは少なくともスーパークォーツなのだ。

 これらの時計をより魅力的にしているのは、カラースキームの実装だ。この点では、この記事の他のコレクションとは異なる。エンデュランス プロは、そのストラップが最初に目に入る。色は、青、白、黄、赤、オレンジの5色だ。各色時計に、色を合わせたブライトリングのロゴの入ったストラップが付く。カラーマッチングは、必ずしも文字盤だけに限らず、ケースやフランジのさまざまな部分にも施されており、よりニュアンスのあるやり方で色を引き出している(文字盤のデザインをこのように複雑なニュアンスのあるものと呼ぶことができるなら)。黒の文字盤がプロフェッショナルな雰囲気を醸し出し、パルスメーター、リューズ、プッシャーに散りばめられた色は楽しい雰囲気を醸し出す。ああ、そうだ。ツール・ド・フランスの最近の勝者・タデイ・ポガチャルが、フィニッシュラインを通過したとき、手首に着けていたことも付け加えておく。


カール F. ブヘラ パトラビ トラベルテック カラーエディション フォーシーズンズ

 このブランドについては、確かにあまり頻繁にフォローしていないが、カラフルな時計に対する光の速度の直感がレーダーに触れたと言っておこう。ロレックスとは異なり、現在のパンデミックに対応するために考案されたリリースで、時計を愛する人々の生活に色とポジティブさをもたらすための努力であると発表された時計だ。カール F. ブヘラのCEOであるサーシャ・モエリは、この時計について次のように述べている。「ここ数ヵ月の困難な状況を経て、私たちは世界中の時計愛好家の手首に明るい色を与える時が来たと感じています。さらに、このカラフルな時計は全部で4つあり、それは四季を表現しています」

 これは私自身が身に着けるような時計ではないが、いくつかの非常にクールな用途とコンプリケーションを評価したい(特に3つのタイムゾーンを表示する機能のような)。また、このような落ち込んだ時期に人々の気分を高めようという発想も好ましい。この時計がそれを実現できると思うかって? 分からない。おそらくできないかもしれないが、彼らが言うように、思いが重要なのだ。例えばロレックスのような、最近のカラフルモデルへの参入の発表の一つであっても、他のいくつかのリリースほどエキサイティングでなかったにしても、今年、実に多彩なブランドが、そして時計が、色とりどりのコレクションとして揃うのを目にするのは嬉しい。

 ここでもう一つ紹介したいと思った時計があるが、理論上、条件に合わなかった。それはブライトリングのスーパーオーシャンヘリテージ '57 カプセルコレクションで、アワーマーカーと針に虹のグラデーションが施された限定モデル(実際には今年2回発売されている。一つはブラックダイヤル、もう一つはブルーダイヤル)だ。これは私が長い間、金属で見たかった時計であり、それ自体が虹色カラーのコレクションとしてリリースされなかったが、少なくとも文字盤のデザインはここで言及するに値する。

 今では古典的なグラフィックノベル『ウォッチメン』の作者であるアラン・ムーアの言葉を読んだことがあるが、彼自身の作品が世に出た後、どのようにして彼から離れていったのかを語っている。彼の言葉を借りれば、「暗闇の流行を起こそうと思ったことはありません。私は特に暗い人間ではないのです」とある。トレンドとはそういうものだ。トレンドがどこから始まったのか分からないことが多く(推測することはできるが)、なぜ始まったのかも分からない。時計の世界にはトレンドがたくさんある。すぐには分からないこともあるが、時間の経過と共に明らかになってくる。

 レインボーウォッチの場合、ロレックス デイトナの2018年のリリースにトレンドを遡ることができるかもしれない。ロレックスはその何年も前からレインボーのデイトナを製造していたが、時計愛好家のコミュニティだけでなく、セレブの文化にも浸透したのは2018年版だった。また、注目のロレックスコレクターであるジョン・メイヤー氏の2回目のトーキングウォッチ出演で、その件に関する言葉をチェックできる(彼はそれを大いに気に入っているとだけ言っておく)。2019年には、オーデマ ピゲ、ウブロ、パルミジャーニ・フルリエなどのブランドも参戦した。ロレックスはその年、レインボー デイデイトで再び登場した。

 しかし、今年は "レインボー "の定義が変わってきた。ダイヤモンドをちりばめたハイエンドの時計ではなく、低価格帯の時計も発売されるようになったのだ。前述のブライトリング スーパーオーシャンヘリテージ '57は、この考えを証明している。しかし、さらに一歩踏み込んでみると、レインボーという概念は、1つの作品に限定されるのではなく、コレクション全体を虹や多色にする方向に変化してきていることが分かる。この傾向は、この記事が示しているように、特に今年に関して強く表れているようだ。

 興味深いのは、どれだけの数のブランドが、他社の事情を知らずにマルチカラーのコレクションを発表していたかということだ。もしかしたら、それはただの偶然の一致だったのかもしれない。一方で、ジュネーブで開催された秘密の会議(入場にはさらに秘密の握手が必要なタイプ)で、今年はカラフルな時計の年になるとはっきりと決められたのかもしれない。それに従わない者は、グループから除名され、即座に出ていくことになったのかもしれない。

 OK。2つの可能性のうち、偶然の一致の方がすっきりした説明になるだろう。「なぜ」は不明なままだが。結局、これらのリリースの間に 虹の繋がりがあるかどうか分からないが 、いつかは見つかるときが来るかもしれない。