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Auctions ロレックスがアンティコルム オークションで3つの新たな落札記録を樹立

サブマリーナーとゴールドのクロノグラフが記録を更新した。

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 最近、アンティコルムは重要なモダン&ヴィンテージウォッチのオークションをジュネーブで開催した。このイベントは非常に重要なものとなり、ロレックスのヴィンテージモデル3つが世界新記録を樹立する機会となった。その3本とは、1955年製のローズゴールドのオイスタークロノグラフ Ref.6034、1979年製のCOMEX サブマリーナー Ref.1680、1969年製のトロピカルダイヤルのマークII 赤サブマリーナー Ref.1680だ。

 これは、集合的な成果ではなく、上記のそれぞれの時計がオークションで予想をはるかに上回る結果を出したことで、3つの異なる世界記録が樹立されたのだ。オークションで時計がどのようなパフォーマンスを発揮するかは分からないため、多少控えめに落札額を予想するのが最善の方法である場合が多い。今回のケースでは、それぞれの時計がかなり健全なマージンをもって見積もりがなされていたものの、それを上回ったわけだ。それでは、それぞれの時計と記録を詳しく見ていこう。


Ref. 6034 オイスタークロノグラフ 18K ローズゴールド

 ローズゴールドの6034がオークションに出てくる事は滅多にない。最後に見たのは、エリック・クラプトンが所有していた同様のモデルで、数年前に競売にかけられたが、ピンクゴールドのこのモデルが登場することは稀であり、オークション価格を予測するのは困難だ。このモデルの過去の記録は、2017年のクリスティーズの「Evening of Exceptional Watches」で、55万2500ドル(約5940万円)で落札された。しかし、その時計はステンレススティール製だった。

 さて、このオークションでは、18Kローズゴールドが25万~35万スイスフランで落札されると予想されていた。これは記事のタイトルからも明らかなように、予想をはるかに上回る60万スイスフラン(約6824万円)で落札されたわけだが、これは世界新記録であり、これまでのSS製モデルの記録を約7万5千スイスフラン上回っている。

 ローズゴールドの6034がオークションに出品されたのは何年も前の2006年(iPhoneが登場する以前)に開催された"Mondani Collection of Rolex Wristwatches"だったことからも、このような例がめったに出てこないことがお分かりいただけるだろう。当時、この時計はレザーストラップが付いており、13万7700スイスフラン(約1566万円)で落札された。

 言うまでもなく、この例はオークションでは希少であり、その価格は、あらゆる資料の中で最も高い。プレ・デイトナとも呼ばれるこの6034は、後にオイスター・パーペチュアル・クロノグラフのアイコン的存在となるコスモグラフ デイトナへのエントリーモデルとなった。このモデルは、ラグとケース裏蓋に施されたホールマークが示すように、オークションでは修復されていない "コンクール "状態で出品された。文字盤には美しいパティーナが施され、ドーフィンの夜光針が配されている。 完全なヴィンテージで、エンドリンクのないゴールドのリベットブレスレットを装備。この時計の全体的なコンディションは、世界記録的な販売価格を物語っていたわけだ。


Ref. 1680 COMEX サブマリーナー 1979年製

 COMEX サブマリーナーを好きじゃない人なんているのだろうか? フランスのCompagnie Maritime d'Expertisesのために作られたこれらのスタンプが押された文字盤は、長年にわたって膨大なコレクター価値をもつことが証明されている。時計自体が水中工学に特化したダイバーのために作成されたものとして、このスタンプ付きは非常に素晴らしい個体なのだ。こうした時計を、コレクターが本来の目的のために使用しているかどうかは疑わしいものだが(絶対にないとは言わないが)。また、熱心な読者であれば、Talking Watchesの最初のエピソードで、ジョン・メイヤーが個人的なコレクションからCOMEXサブマリーナー 1680を見せてくれたことを覚えているかもしれない。

 さて、オークションで樹立されたレコードに関しては、まず2008年を振り返る必要がある。ロレックス COMEX シードゥエラー1665がニューヨークの「Antiquorum's Evolution」において24万8800ドル(約2675万円)で販売された。 具体的に、COMEX文字盤のサブマリーナー 1680については、既知の記録では19万1000スイスフラン(約2172万円)をもたらした2014年のクリスティーズオークションとなる。今回のアンティコルムでの落札価格は、52万4000スイスフラン(約5959万円)という記録的なものであり、つまりコメックス サブマリーナー 1680の記録も以前の2倍以上となったわけだ。

 COMEXの刻印が施された1680は、約60本しか生産されていないと言われており、非常に希少なのはご存知のとおりだ。その希少性に加えて、うち60本は多くが修理され、COMEXの表示が無い標準的な文字盤に交換されているという事実がある。この時計がユニークなのにはいくつかの理由がある。まず、ダイビングに実際には使われなかったのだ。明らかに、この時計はそのために作られたものであるが、水中にいくことはなかった。さらにこの時計にはオリジナルの保証書が付属する。COMEXの刻印が入った時計ではめったに見られない付属品で、通常はCOMEXが保管し、最終的な所有者に渡されることはなかったものであるということである。言うまでもなく、この時計は既に非常に希少な時計の一例となっている。時として、記録が更新される瞬間は完璧な嵐が吹くことがあるが、この時計はそうした例であるようだ。


Ref. 1680 マークII メーターファースト 赤サブマリーナー

 それは、レッドサブマリーナーが誰もが求める時計であることを宣言するための控えめな表現になるだろう。それとは、文字盤中の赤いテキストであり、時計を別の成層圏に上昇させる力をもっているのだが、細かく見るまでもなくすぐに分かる意匠である。赤サブは、日付表示機能をもったサブマリーナーの最初の例であり、1969年から1973年まで生産された。短期間で製造された時計のわりに、多くのバリエーションがあり、ヴィンテージ・ロレックスの中でも最も収集しやすい時計の1つとなっている。オークションで実際に違いをもたらす可能性があるのは、ごくわずかなバリエーションだ。 面白いことに、赤サブマリーナー 1680の最後の落札額を確認するのに過去を念入りに調べる必要はなかった。

 このオークションとほぼ同時期に開催された第11回ジュネーブ時計オークションでは、同様のリファレンスを7万2500スイスフラン(約824万円)で落札された。1日の間に、アンティコルムではこのトロピカルモデルが10万3750スイスフラン(約1180万円)で落札され、世界記録を打ち立てたわけだ。この2つの時計の結果の差という点ではかなりの開きがあると思えるかもしれないが、この特別な赤サブ1680は、記録的な価格設定に加えて、いくつかのユニークな特性をもっている。

 この時計には全体的に、ベゼル、ダイヤルなど、均一なトロピカルブラウンの経年変化が見られる。また、サブマリーナーロゴの下に、メートル表記が最初に示されるマークIIダイヤルを備えている。他にマークIIの特徴といえば、オープンナンバー6(6の数字の一部が空いたフォント)と "ft (フィート)"表記の細長い "f” "である。さらにこの個体には、1971年の正しいクロノメーター認定書とその元の時期と正しく合う、完全なブレスレットが付属している。ロレックスは文字通り、もうこのような組み合わせを意図的に作ることはないし、このように均一に経年変化が見られる状態の1本だったということもあり、この記録的なパフォーマンスを発揮したのだ。

 時代は奇妙なものであり、時計の世界では大変な不確実性がある中で、現実世界で世界記録を更新するロレックスが3つ同時に同じオークションに出品されるというのは、本当に驚異的なことだ。これらの時計が、それぞれのコンディションや希少性の面でどれほど特異なものであるかに目をつぶるのは無責任であり、この結果を非難するのは難しい。しかし、ヴィンテージ・ロレックスのダイバーズモデルになると、高額な落札価格はほとんどの場合、初期のギルトダイヤルに向かっていく傾向がある。今回の2つの1680の例は、金メッキでなく、マットダイヤルに日付が入っているだけではない。過去には、これらのモデルはオークションの観点からはやや好ましくないものであっただろうが、このことは、これらのモデルが樹立した価格の重要性をさらに物語っている。さらに、未確認ではあるが、Rolex Passion Reportによると、ロレックスはこのオークションの結果に手を貸していた可能性があり、18Kローズゴールドの6034とCOMEXサブマリーナー1680の両方に直接入札して落札したとのことである。これが実際に起こったかどうかは不明だが、記録的な週末を取り巻く興奮と陰謀の炎をかき立てたことは確かである。

 海に潜ることのなかったCOMEXサブマリーナー1680、トロピカル 赤サブマリーナー、18Kローズゴールドのオイスターパーペチュアル6034は、決して馬鹿にされるようなコレクションではない。もちろん、記録は破られるものである。例えば、赤サブマリーナーがどれだけ早く世界新記録を樹立したかから判断すると、この3つの時計がそれぞれの世界記録をどれだけの期間保持するかは、時間だけが教えてくれるだろう。