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Hands-On アウトドローモ グループC、80年代のデジタルウォッチエッセンスを凝縮した新作を実機レビュー

クルマへの、そして時計業界のノスタルジーがぶつかり合う、懐かしいレースシーンにインスパイアされたアイテムだ。


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Photos by Kasia Milton

画面の前のあなたはアウトドローモの大ファンか、それとも名前も聞いたことないクールな時計ブランドとして見ているかの、どちらかだろう。後者に該当するそんなあなたには、最新作のグループCを紹介しよう。そしてアウトドローモについてもっと詳しく知っていただきたい(ここか、ここから)。グループCは、そのレトロデジタルなイメージでファンにも初心者にも昔のタイメックスやマーティ・マクフライを思い起こさせるような、何か驚きを与える時計だと感じてもらえるはずだ。このモデルにはデロリアン的な要素がある。グループCが表現することは、それほど的外れなものでもないだろう。

アウトドローモ グループC ブラッシュ仕上げのSS、イエローアクセント

 アウトドローモは、時計と自動車レースのクロスセクションをテーマにしたブランドで、それは名前にも表れている。このグループCは、レースシーンが純粋な機械からコンピュータ制御に大きくシフトした、1980年代のグループCカーの名に由来している。そしてこのグループCのルックスやデザインは、今日のレーシングカーのあり方を示唆するものでもある。この話は、70年代から80年代にかけてアナログ、デジタルを問わず、多くのメーカーがクォーツウォッチに移行し、地球上から機械式時計が姿を消した時代、クォーツ革命と重なるため、聞き覚えがあるかもしれない。

 アウトドローモは、グループCカーへのオマージュを込めながら、その衝撃的なイメージを記憶にとどめるべく、プッシュボタンにポップなカラーリングを施し、カラフルなサイドミラーを連想させるデジタルウォッチを開発した。しかしクルマの世界において単なるノスタルジアに浸るだけでなく、これと同じような時計を腕に巻いて育った我々の琴線にも触れるものがある。ケースフォルムは、私の青春時代のフリースタイル シャークウォッチや初期のタイメックスのデジタルウォッチを思い出させるのだ。

アウトドローモ グループC、DLCブラック、レッド&イエローアクセント

 もし、ある時計メーカーが、基本的にドラッグストアやホームセンター、デパートで買えるような時計の比較的新しいデジタルエネルギーを封じ込めて、そのスピリットを失うことなく品質を向上させたとしたらどうだろう? 私はグループCをそのようにとらえており、数日つけてみただけではまだまだ満足できなかった。

 36mmというサイズ感は、このようなケースフォルムとスクリーンのデザインとしてはほぼ完璧なサイズである。シンプルであることが重要なポイントで、これ以上大きくしてしまっては元も子もない。アウトドローモによると、ケースの細長いケースサイドは、ポルシェ962CやザウバーC9といったクルマからインスピレーションを得たものだという。

アウトドローモ グループC、グレープレート仕上げSS、グリーンアクセント

 アウトドローモ グループCは4つのバリエーションを展開する。ブラッシュ仕上げのステンレススティールにイエローのアクセントを施したもの、グレープレート仕上げのSSにグリーンのアクセントを施したもの、DLCブラックメッキ・SSブラッシュ仕上げにレッドとイエローのアクセントを施したもの、そしてイエローセラコートにブラックとイエローのアクセントを施した4種類だ。最後のひとつは残念ながら、今回の記事で撮影ができなかったが、今後が楽しみな1本である。

 今回私が手にしたモデルのなかだと、ブラックDLCのバリエーションがお気に入りだ。アウトドローモはアクセントカラーのひとつをレッドだとしているが、私にはネオンピンクのようなカラーリングに見え、これが1980年代デザインのエスプリを強く感じさせる。ブラッシュSSケースのバリエーションはそれに次ぐものだ。

アウトドローモ グループC、DLCブラック、レッド&イエローアクセント
アウトドローモ グループC、DLCブラック、レッド&イエローアクセント
アウトドローモ グループC、DLCブラック、レッド&イエローアクセント

 グループCはSSのケースに加え、ARコーティングされたサファイアクリスタルの下に、LCDディスプレイを備えているのも特徴だ(デジタルウォッチとしては斬新な仕様である)。そのディスプレイには、ブルーのバックライトも備えている。機能面においては、クロノグラフとスプリットタイムモード、時刻と曜日・日付の表示モード、アラーム機能を搭載。また、30mの防水性能を確保している。FKMラバー(フッ素ゴム)製の黒いカスタムストラップはリバーシブルで使用可能で、快適なつけ心地を提供してくれた。ただひとつ、ストラップの遊環が少し操作しにくく、ストラップを通しにくいのが不満だったが、1度装着してしまえばしっかりと固定できたため問題なかった。

 この時計の全体的な着用感について話を戻そう。私がこのモデルに驚いたというのは本当だ。私は決してクルマやオートバイのようなギアが好きなわけではない。だからこれらの時計に共感できるかどうか、少し不安を感じていた。しかしこの時計は、その名前の由来となったクルマへのオマージュを超越した1本だった。これはそのデザイン性の高さだけで、成立しているような時計だったのだ。このようなプレミアムデジタルウォッチに注目し、それを作るブランドがもっと増えてもいいのではないかと思ってしまうほどに。ただし36mmという小振りなサイズ感を恐れないよう願うばかりである。というのも、このサイズ感だからこそ、よく似合うからだ。

アウトドローモ グループC ブラッシュ仕上げのSS、イエローアクセント

 グループCを手首に装着してみると、やはり非常にコンパクトな印象で、ケースエンドのラグ幅が20mmのストラップはシームレスなデザインに仕上がっている。さらにこのパッケージで特に評価したいのは、その重厚感だ。このような作品を見ると、すぐにプラスチック製のデジタルウォッチを思い浮かべるだろう。そして手に取って、そのクオリティの高さを理解するはずだ。さらに手首につけることで、より高級感を演出し、475ドル(日本円で約6万5000円)という手ごろな価格を後押しする。

 これをつけていると“腕時計をしていることを忘れそうになる”ということがないことに感激した。身につけていることを思い出すと同時に、ノスタルジックな感覚に襲われて頻繁に眺めたくなるのだ。さらに3本のモデルをひとつずつ何度も繰り返し身につけたとき、プッシュボタンの色がケース両サイドから見えるのが純粋に楽しかった。そしてグレー、DLC、SSはそれぞれ同じ時計でありながら、素材が異なるだけで、まったく別の雰囲気を醸し出していたのも特徴だ。

アウトドローモ グループC、DLCブラック、レッド&イエローアクセント

 最終的に、オマージュを捧げるということは、テーマに縛られすぎることではないということを示した、アウトドローモの大きな功績ではないだろうか。この時計はあらゆる意味で、純粋にノスタルジーを感じさせてくれるに違いない。

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