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Introducing Q タイメックス デジタルLCA復刻モデル(編集部撮り下ろし)

古いものは全てまた新しく、また新しくなる。

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可能であれば、クォーツ時計が上昇傾向にあった前世紀、携帯用計時技術の最後の言葉を表していた時代に思いを馳せていただきたい。クォーツ時計は、多かれ少なかれ機械式時計を真似していた初期の頃から、稲妻のような速さで進化していた。新技術の無限の可能性をもった独自のデザイン言語を開発。電卓時計や多機能LEDや液晶時計は、ほんの数十年前には考えられなかったコンプリケーションを手首の上に実現した。そうした時計は、精度と機能性を提供するだけでなく、技術自体がクールであり、称賛されるべきものだった。しかし、基本的な時間の視覚的表示は直感的な魅力をもっていたため、多かれ少なかれアナログの時間表示を模倣したハイブリッドLCDを搭載した時計も登場した。

 ジェームズ・ボンドは1983年の映画『007 オクトパシー』でそんな時計を身に着けていた(ジェームズ・ボンドのファンであるにもかかわらず、それを見に行ったことを恥じて覚えているほど馬鹿げた名前だ)。カシオにもツイングラフと呼ばれた時計があった。それに負けじとタイメックスは、特徴的なインディグロ以前の琥珀色のサイドライトを持つ、そのLCA(液晶アナログ)時計を登場させた。そして今日、タイメックスは正式に、Q タイメックス シリーズにLCA時計―そうQ タイメックスのデジタルLCA復刻モデル―を発表(数週間前から画像が出回っていたが)した。

 液晶ディスプレイはサンドイッチ構造になっており、前面が透明で、その下に液晶パネルがあり、背面には反射面がある(液晶ディスプレイは光を発しないので、明るい色の背景か、暗闇の中であれば何らかの照明が必要になる)。液晶は電流を流すと向きが変わり、透明度が変化する。真のアナログクォーツ時計やLED(発光ダイオード)時計に比べて、LEDよりも消費電力が少なく、アナログクォーツ時計より多くの情報を同時に表示できるという利点があり、多機能クォーツ時計の表示技術として長年選ばれている。

 2万円以下の時計であるにもかかわらず、デジタルLCAの品質は非常に優れている。ステンレススティール製ケースは、高級スティール製スポーツウォッチにふさわしい、サテン仕上げとポリッシュ仕上げが交互に施されており、文字盤や"クロノタイマーアラーム"の文字盤の印刷は、よく見ても鮮明でよくできている。

 本機は、デュアルタイム機能を搭載。実際にクロノグラフ、カウントダウンタイマー、アラームウォッチとしても機能する(タイメックスが提供してくれたサンプル機のアラームは、よほどぐっすり眠っているか周囲に雑音が多い環境でなければ、十分に目を覚ますことができるだろう)のだが、全体的にとても良い出来栄えだと感じた。アナログディスプレイには時・分・秒針があり、秒針は1秒間隔で前方にジャンプし、その下のデジタルセコンドと同期して更新。日付表示もある。

 この時計はかなり小さくまた薄い。1980年代には、最初の機械式時計製造、そして1970年代後半の超薄型クォーツ戦争の余韻がまだ残っていたように感じられる(初代LCAが発表される前には、G-SHOCKがその概念を覆そうと待ち構えていたが)。

 ケースの大きさは32.5mmの正方形、厚さ9mmで、ラグ幅は20mm。防水性能は30mで、ゴールドトーンのモデルもある。多機能液晶時計の経験があれば、設定や操作はかなり直感的にできるだろう(明確にラベル付けされたプッシャーが役立った)。

 ブレスレットもヴィンテージ感が非常に強い。かなり薄くサテン仕上げの駒とブラックトーンの中駒(少し分かりにくいが、まるでエラストマー樹脂でコーティングされてるかのように見える)が、時計のヘッドのブラックとシルバーの配色を時計全体の統一感に役立っている。また、良くも悪くもヴィンテージ感の強い調整可能なクラスプも搭載されている。

 フォールディングの留め具を受ける部分を上下に動かすことで調整ができるが注意が必要だ。小さなドライバーの刃をロック部分に差し込んで解除し、こじ開けてブレスレット状の希望の位置までスライド。そして再び押し戻す。クラスプの可動部分とその中の折りたたみ式部分は、かなり薄い金属でできている。無理にやろうとすると歪めてしまう可能性がある。

 ブレスレットのデザインは、1970年代、1980年代と長い道のりを歩んできており、現代の基準からすると紛れもなく薄っぺらい感じがするだろう。しかし、それは間違いなく時代にあったものであり、この場合ブレスレットの全体的なちょっと雑な感覚は、時計にマッチしているため、しっかりと機能しているように思う。

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 さらにこれも機能の1つなのだが、サイドライトがおかしなほど不十分なのも特徴だ。オリジナルのサイドライトは、まず第一に暗くても少し頑張れば時間を読み取ることができた。当時と今の問題点は、ライトの位置のせいで日付と機能表示だけを鮮やかに照らしているだけで、ディスプレイの残りの部分は照らされていないこと―まぁ全然見えないというわけではないのだが、明るくはない。おそらくケースの反対側に配置した方が良いと感じるだろう。暗くなった劇場で演劇を見ていて、なぜかステージ上のスポットライトがサイドテーブルのベゴニアの鉢上にあたっていて、周囲の相対的な暗闇の中で、結婚が騒々しく白紙に戻されていたり、殺人が企てられていたりしているような感覚だ。しかし、一応機能はしている―とはいえ、それは何時なのか確認したい人のためというよりも、夜中に今日が何日か分からなくなってパニックに陥っている人のためにデザインされているように見える―そして、ブレスレット同様に、その特異性もまた魅力の一部なのだ。

 この手の時計の魅力は、やはり、オリジナルの特異なディテールを忠実に再現していることに尽きると思うし、80年代に液晶が蜂の巣だと思っていた人にとっては(名前まで格好いい。)、この時計は正真正銘プルーストのマドレーヌだ。

オリジナルの触覚と視覚的な体験を、非常に正確に再現している。もしその魅力に敏感であるのなら、時計の価格に比例してノスタルジックな気持ちにさせてくれるだろう。

 ところで、この時計はとても素敵な箱に入っていた。結構楽しめたし、映画『007 オクトパシー』の名前にイライラしながら席に着いたことを思い出すと同時に、ボンドの時計はかなり格好良かったなと思えるのであれば、きっと沢山の楽しみを与えてくれる時計となるだろう。

Q タイメックス デジタル LCA 復刻: ケースはステンレススティールまたはゴールドトーンのステンレススティール製。ケース径32.7mm × 厚さ9mm。ラグ幅20mm。防水性能 30m。LEDサイドライト付き多機能クォーツ液晶。デュアルタイム、日付表示、60分カウントダウンタイマー、アラーム。価格は$149(日本での販売は未定)詳細はTimex公式サイトへ。より