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September 28, 2020
September 28, 2020
In-Depth SEALAB計画で飽和潜水士ボブ・バースが使用したロレックス サブマリーナーが販売される

In-Depth SEALAB計画で飽和潜水士ボブ・バースが使用したロレックス サブマリーナーが販売される

伝説的な飽和潜水士である故ボブ・バースが、SEALAB計画で身に着けたサブマリーナーをご紹介。

本記事は、2012年5月15日に本国版で公開された記事の翻訳です。

もし売りに出されたら、コレクターの間で確実に前代未聞の話題になり、間違いなく高値をつけるだろうスポーツウォッチがある。月面で着用されたオメガのスピードマスター、シフェールのホイヤー オータヴィアやポール・ニューマンが所有したデイトナなどがそうだ。HODINKEEは今日、ロレックス サブマリーナーの中でも最も重要なモデルの1つを独占的にご紹介する。

 1960年代半ば、新聞の見出しでは宇宙空間で限界を突破する男たちの大胆な活躍に注目が集まっていた。あまり知られていないが、当時同じように海中数百フィートの過酷な環境下で、海底探査の偉業が成し遂げられていた。アメリカ海軍はSEALAB計画の名の下に、技術、人間の耐久性、生理学の分野で先駆的な実験を実施。SEALABは、アメリカ海軍が初めて行った飽和潜水の実験で"アクアノート"(潜水技術者)と呼ばれる人たちが、水中の加圧された環境の中で何日も、時には何週間もの期間を生活するというものだった。この計画は5年に渡って実施され、資金が底をつき世間の注目を浴びることもなかったが、未来の飽和潜水のための重要な基礎を作ることとなった。また、時計愛好家にとっては特に興味深いことだが、SEALABはロレックスのシードゥエラー誕生の地でもあるのだ。

 SEALABで最も有名なアクアノートといえば、元宇宙飛行士でマーキュリー計画に参加したスコット・カーペンターだったが、SEALABが1964年、65年、そして69年と3回行った全ての探査で潜水したのはロバート A. バースただ一人であった。上の写真に写っている1964年製のサブマリーナー(Ref. 5512)は、同氏がSEALAB I(192フィート: 約59m)とSEALAB II(203フィート: 約62.5m)で潜水した際に手首に着けていたもの。このような素晴らしいバックストーリーと非の打ち所のない出自をもつ時計を他に思い浮かべるのは難しい。ボブ・バースを知らない人はあなただけではない。しかし、もしあなたがダイバーであったり、ダイビングや探検の偉業が好きだというのなら、ぜひ知っておくべきだろう。そして時計愛好家であれば、彼のことを知っておくべきである。先駆的ダイビングを続けた人物であると共に、ロレックスにシードゥエラーの開発をもちかけた人でもあるからだ。

 最近、ボブ・バースと電話で話す機会があり、SEALAB計画での経験と、カリフォルニア州カーメルのFourtane Jewelersが販売し、1stdibs.comにも掲載されている彼のサブマリーナーについて尋ねてみた。バースは、彼が長い時間を過ごした水のように塩辛い言葉を使う、平凡で古典的な海軍の男だ。彼は自慢することはなかったが、その功績は畏敬の念を抱かせ、謙虚さを感じさせた。海軍の潜水艦救助プログラムに数年従事した後バースは、SEALABに登録する前に海軍のジェネシス計画の人間モルモットとなり、さまざまな混合の呼吸ガスと減圧スケジュールが人体に及ぼす影響を初めてテストした。海軍を退役後は、飽和潜水の経験を生かし、石油探査業界に就職した。

 バースが5512 サブマリーナーを購入したのは1964年、192フィートの深さでバミューダの海岸沖で行われた最初のSEALAB遠征の直前だった。

 写真から分かるように、バースはそれを着けていなかったし、2009年に売却するまで所有していた40年の間にたった一度だけメンテナンスサービスに出していた。「私は誰かが買い取りたいと言わなければ、この時計を捨てようとしていました」と話した(時計愛好家であるHODINKEE読者に戦慄が走るだろう)。

 バースは、この時計に関する大反響を理解し難い様子だった。「我々にとって、時計はただの道具の1つだったのです」そして彼はこう続ける「よくこんなジョークを言っていました。"シャワールームで深海潜水士かどうか見分ける方法は?"と聞いてこう答えるんです"アソコが小さくて、時計はデカいヤツさ"と」(ボブ・バースのこのジョークはHODINKEEの意見ではないとうことに注意していただきたい)。

 「ほとんどのダイバーたちがロレックスを好んで身に着けていたのは、当時は他の何よりもちょっと頑丈そうだったから」バースは、当時ダイバーが着用していた他の時計の中には、ロレックスよりも劣るとされていた、ブランパンやチューダーのものもあったのだと教えてくれた。

 「長時間のつけ置き(編集者メモ: 加圧された混合ガス環境で過ごす時間のこと)の間にゴムパッキンの弾力性が低下し漏れ始める可能性がある。ロレックスに関しては、リューズの巻き芯にキャップが付いていて、それが機能しているように見えたんだ」

 シードゥエラーの開発に関わっていたことについて、バースに尋ねた。「減圧の最中に突然大きな音がして、誰かの時計から風防が破裂したのを見たんだ」

 良いダイバーズウォッチは高い防水性能をもっていたが、SEALABの空間内で充満しているヘリウムガスを逆に閉じ込めてしまうことにもなっていた。それで減圧時にガスが膨張するにつれて圧力が加わり、時計から風防が飛び出してしまうのだった。

 「ニューヨークのダイビングショーでT.ウォーカー・ロイドさんに会った。時計の問題についてお話をして、圧力を逃す一方通行のバルブを提案したんだ」

 海軍の典型的で控えめな言葉として、バースは「ロイドはおそらく、シードゥエラーの開発における私の役割については、嘘をついているのではないだろうか」と述べている。しかし、T. ウォーカー・ロイドが、ロレックスUSAで長年働いていたことは周知の事実であり、ジェイクのロレックスブログのインタビューでバースの逸話を裏付けている。多くの人は、フランスのダイビング会社COMEXがシードゥエラーの開発に関わっていたと考えているが、その起源はSEALABプログラムにあった可能性が高いと考える。

 ボブ・バースのサブマリーナーが、3回のSEALAB計画で使用されたにも関わらず、他と同じように風防が飛び出すような運命を辿らなかった理由は不明だが、中にはそうならなかったことに感謝するコレクターもいるだろう。数年後、最初のシードゥエラーが製造され、テストされていた頃、バースによると、ケースバックには「SL1」や「SL2」などと刻印がされており、SEALAB IIIの潜水チームのために製造されたシリーズだったという。それらの時計がどうなってしまったのかは不明だが、バースが息子に受け継いだ時計がある。残念ながら、バースが語るように、その時計は彼の息子が何年も前に、リオデジャネイロで娼婦と一夜を過ごした際に紛失してしまったのだそうだ。彼女が何を手に入れたのか知っていれば、、。あるいは知っていたのかもしれないが。

SEALAB-1の前に立つボブ・バース(写真:パナマ・シティ・ビーチ・ヘラルド・トリビューン)

 ボブ・バースは現在80代(2020年に89歳で亡くなった)で、パナマ・シティ・ビーチ在住。スコット・カーペンターをはじめとするSEALABの昔の仲間たちとは、今でも定期的に会って話をしているのだそう。彼はまた、60年代初頭に最初にテストが行われた海軍の実験潜水部隊施設の近くにあるマン・イン・ザ・シー博物館の前にある、古いSEALAB Iの居住施設の修復のための支援と資金集めにも時間を費やしている。10年ほど前、バースは最初のアクアノートである自分には、その名を冠した時計が必要だと考え、新品のロレックス シードゥエラーを購入。しかし、彼はもうそれを身に着けていないと話した。「時間が合わないから、先日、海軍の店で安い新品の時計を買ってきたんだ。誰か買いたい人がいたらこの時計はかなりの金になると聞いたよ」

 確かにそうですね、バースさん。ボブ・バースの1964年製5512サブマリーナー(15万ドル)についての詳細はこちらをクリック。

 この記事のために寛大な時間とネタを提供してくれたボブ・バースに感謝します。海軍のSEALAB計画の並外れた背景については、この記事の調査に使用したBen Hellwarthの本「SEALAB」をご覧いただきたい。