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Interview ブライトリングCEO ジョージ・カーン氏が語る、コロナ禍のラグジュアリービジネスとブランドの方向性

ジョージ・カーンCEOは、コロナ前後で消費者の動向は完全に変わると語り、同社の改革をさらに加速させると話した。

 COVID-19の影響により、ラグジュアリービジネスにも大きな影響が出ています。ブライトリングの状況を教えて下さい。
 「4月上旬時点では、生産数をコントロールしながら工場を再開。ショップに関しては、いち早くクローズしていた中国は全店が再オープンし、香港も部分的に開店している。5月には、スイスや米国についても再スタートを切れる見込みで、長いトンネルの先に光明がさし始めたような状況だ。ただし、コロナの前後で消費者の動向が変化することはもはや避けられないことで、高級時計というものの存在意義やユーザーにとってどんな目的となるか変革が必要。実はこれはビフォアー・コロナから既に兆しはあったことだけれど、特に若い層には環境に配慮された商品なのかなどを判断材料として、高級品に触れるかどうか考える傾向がある。コロナに端を発した経済危機から、ラグジュアリーに対する価値観の変化が起こると考えている」

 確かにブライトリングでは、コロナ以前からオーシャン・コンサーバンシーとの海洋保全活動や、エコニールナイロンを用いたリサイクルストラップなど、サスティナブルへのアプローチが活発でした。こうした若年層にアプローチするために、ECにさらに注力する考えはありますか?
「確かに、Eコマースは重要だ。この1〜2年で、全体の売上に対して10〜15%程度にまでEC比率を高める構想はある。現代においては、時計の購入にいたるまでのコミュニケーションの約70%がオンラインでのものとなっている。このコロナ禍でその傾向は加速するだろう。我々もオンライン先行でトップタイム リミテッドエディションというモデルを販売したし、同時にHODINKEEのECショップにも出荷させていただいた。今後もこうした取り組みは、いいものがあればどんどん実施していきたい」

 なるほど、オンラインの重要性は増していきそうですね。
「ただし、我々が実践していくのはオムニチャネル戦略であり、引き続き店頭での買い物体験も充実させていく。オンラインでどこからでもアクセスできて、どんな場所にいても買い物ができるというのは今後マストになってくるが、実際、顧客はフィジカル・エクスペリエンスを求めていると考えているからだ」

オンラインブティックで先行発売されたトップタイム リミテッドエディション。

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初代クロノマットに付属していた、ルーローブレスレットを復刻した、最新モデル。42mmというサイズ感もオールパーパスを叶えてくれそうだ。

 既に新作コレクションが華々しく登場し、基幹モデルであるクロノマットの完全リニューアルや、カプセルコレクションとしてデビューしたスーパーオーシャン ヘリテージ'57など、話題作が大豊作です。
「ありがとう、その感想が聞きたかった(笑)。私が就任した約3年前から、ブライトリングはコレクションの再編を進め空・海・陸のセグメント化を明確にしてきた。クロノマットは、マルチパーパス・ウォッチとしてポジショニングを新たにした。そもそもこの時計には、F1レーサーが着けていたなど空から離れたところでのストーリーも豊富だ。同じような役割をもっていたアベンジャーにコルトを統合し、アベンジャーはよりミリタリー色が強く、タフに。一方、クロノマットはシックでスポーティに。クルマでいえば、ハマーとベントレーのような違いがあると考えている。日本においてクロノマットは、長らくNo.1モデルとして愛されているが、我々にとってさらにキープロダクトになることは間違いない。何しろ、私がこれまでにプロデュースした時計の中でも、指折りの出来栄えになっているしね」

カーンCEOも3週間ほど着用した感想として、"ソフトな感触で毛を挟み込まないのが最高に良い"と、とてもスムーズな着け心地を評した。

 一方で、昨今の復刻ブームの中、このスーパーオーシャン ヘリテージ'57は当時の意匠を完璧に再現していて素晴らしい時計です。期間限定販売であることを惜しむファンもいそうですね。
「ファッション業界のやり方を取り入れて、昨年からカプセルコレクションとしての時計を発表している。これらは、ブランドにとってストーリーテリングなピースであることが条件だ。全く同じ形で復刻しているのも、歴史を伝えることを意図しているからで、このコレクションに登場するモデルは必然的に限られてはくる。カプセルコレクション第二弾としてリリースした、このスーパーオーシャン ヘリテージ'57は50〜60年代のクールなサーフカルチャーを感じさせてくれ、ブライトリングの別の顔を強調してくれるだろう」

高級品の購入は延期が可能だ。
   その意味でもこの状況下でブライトリングは悲観せずに

顧客に価値を提供し続けていける

– ブライトリングCEO ジョージ・カーン

ブライトリングCEO ジョージ・カーン。

 最後に、今後の高級時計業界とブライトリングが目指す方向について、お考えを教えてください。
「今現在は厳しい状況が続いているが、全ての伝統的なラグジュアリービジネスは問題なく継続できると考えている。過去に経験したリーマンショックなどの経済危機においても、必ずリバウンドがあったのがこの業界の特徴であるし、旅行などと違って時間の経過と共に購入機会が消滅してしまうものではないからだ。つまり、高級時計の購入は延期が可能で、その意味でもブライトリングは悲観せずに顧客に価値を提供し続けていけると思っている」