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Photos by TanTan Wang
本稿は2024年12月に執筆された本国版の翻訳です。
ブリューウォッチ(Brew Watch Co.)にとって2024年は間違いなく実り多き1年だった。最近はしばらく製品紹介が途絶えていたが(2024年3月に放送されたトニー・トライナによるブリューウォッチ創設者ジョナサン・フェラーとの素晴らしいポッドキャストのエピソードに言及しないのももったいないだろうけれども)、このブランドが沈黙していたわけではないのは確かだ。今年ブリューウォッチは、いくつか例を挙げるだけでもチタンを使用した初のメトリック クロノグラフ、経年変化を極限まで追求したアルトン・ブラウン(Alton Brown)氏とのコラボレーション、そして文字盤全体に蛍光塗料を施したレトログラフなどを発表している。しかし、ホリデーシーズンが近づいてもフェラーは仕事納めはしていないようだ。ブリューウォッチは、スーパー メトリックという名で4つの新しいデザインのメトリックを発表したのだ。
先に断っておこう。これらは増え続けるメトリックコレクションの新しい文字盤バリエーションである。つまり、大部分はすでになじみのモデルと非常によく似ている。シルエットはこれまでと変わらず、直径36mm、厚さ10.75mmのスティール製のスクエア気味なクッションケースだ。
ただ注目するべきなのは文字盤だ。極限までレトロに仕上がっている。ルミナイエロー、エレクトリックブルー、バーントオレンジ、ロイヤルブルーの4色。フェラー氏に数日間これらの時計を貸してもらった。もちろん、私のお気に入りのバーントオレンジも見せてもらったし、もっとカラフルなエレクトリックブルーも見せてもらった。
スペックは通常のメトリックと同じであるものの、スーパー メトリックという名前はしっくりくる。4モデルとも文字盤デザインによって見た目が完全に一新されているのだ。これまでのメトリックは、古典的な円形インダイヤルとこざっぱりとした外観を備えていたが、スーパー メトリックは直線的な図形と直線を多用している。箱のような長方形の凹型インダイヤルと多くの直線が文字盤上の空間を巧みに埋め、80年代の美的感覚へといざなう。インダイヤルがクロノグラフの分針とスモールセコンド針に対して非対称に配置されているのがとても興味深い。結果として読みにくくはなるが、視覚的な満足度はきわめて高いし、セイコー製VK68 メカクォーツムーブメントのレイアウトを見事に活かしていると思う。
これら4つのモデルは、エレクトリックブルーを除き、すべてブラックのテクスチャー文字盤がベースである。ほかのメトリック同様、3時位置にはブリューウォッチの看板であるコーヒー豆のロゴがあしらわれている。これまでの伝統的なバトンインデックスの代わりに、スーパー メトリックは丸みを帯びた四角いフォルムの夜光塗料入りアプライドインデックスを採用。文字盤のほかの要素を引き立てるとともに、ふたつのインダイヤルやそのあいだに引かれたリーディングラインに注目させる気の利いたやり方である。
ケースの縁と見返しリングのあいだを埋めるフルポリッシュの鏡面は、光をドラマチックに反射し、直接光が当たらないと黒く見えることもある。カーボン、ゴールド、チタンといったほかのメトリックモデルと同様、デイト表示はない。文字盤上の非対称的な要素を増やさないための正しい選択である。
もちろん、これらの文字盤最大の見どころはその色づかいだ。バーントオレンジとロイヤル ブルーはこのなかでは落ち着いた2色だが、それでも全体に豊かな色のアクセントが散りばめられている。コーヒーにインスピレーションを受けたブリューウォッチのブランドストーリーを物語るように、25秒と35秒のあいだのミニッツトラックはエスプレッソの理想的な抽出時間を示すショットタイマーとして着色されている。私は最近ハンドドリップにハマりはじめたばかりのため、これについてはブリューを信じることにしよう。
スタンダードモデルにはない新しい要素として、色付きのスタートプッシャーの採用がある。メトリックでこのプッシャーが見られたのは2023年に発表されたブリューとWorn & Woundのコラボモデルが初めてだったと思うが、スーパー メトリックにも採用されたのは非常に喜ばしいことだ。ルミナイエローのように文字盤の配色が驚くほど派手なものもあるが、フェラーは天性のデザイナーであり、それは時計を見ればわかる。いろいろな要素のすべてが高次元で均衡しており、それがカラフルながらやり過ぎ感のない時計を実現している。大学時代に数多くのデザイン批評を受けた身としてそこは高く評価したい。
スーパー メトリックを手首に乗せるととてもコンパクトで、つけていてとても楽しい。このモデルは475ドル(日本円で約7万5000円)であり、ブリューはこの価格帯においてほかとは異なる楽しいことを多く行っているブランドとして確固たる地位を築いていると思う。このスーパー メトリックはその証拠である。“たかが”文字盤の変更についてこれだけの長文を書くのは通常であれば難しいだろう。しかしこれらの時計を実際に手にして、文字盤を近くで見ると常に新しい発見があるのだ。
ブリューウォッチ スーパー メトリック クロノグラフ。ルミナイエロー、エレクトリックブルー、バーントオレンジ、ロイヤルブルーの4色展開。直径36mm、厚さ10.75mmのステンレススティール製ケース、フォールディングクラスプ付きスティール製一体型フラットリンクブレスレット、サファイアクリスタル。セイコー製VK68メカクォーツ クロノグラフムーブメントを搭載、ソリッドケースバック。50m防水。小売価格は475ドル(日本円で約7万5000円)で、ブリューウォッチの公式ウェブサイトで購入可能。
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