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Bring a Loupe 初のネオヴィンテージブランパン、ブレゲ風のパテック懐中時計、そして日本市場限定のGPHG受賞モデルなど

今週のHODINKEEコラム、What's Selling Where(どこで何が売られているか)では、そのすべてとさらに詳しい情報をお届けする。

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Bring A Loupe へようこそ。前回がヴィンテージクロノグラフを中心に据えた“いつもの”内容だったとすれば、今週は少し自由な視点で奇妙でエソテリックなアイテムを探求してみようと思う。

 始める前に、まずは前回の結果を振り返ろう。BMWのファーブル・ルーバは完売済み。お買い得だった。ジョージ・クルーニー(George Clooney)氏のオメガはeBayにて3万4100ドル(日本円で約510万円)で落札され、ホイヤー オータヴィア Ref.73463 はリヨン&ターンブルにて総額5040ポンド(日本円で約95万円)で落札された。そして最後に、ブシュロンは11月26日のオークションに出品された(編注;結果は1100ポンド、日本円で約21万円で落札)。

 過去の話はここまでにして、今週のセレクションを見てみよう!

ブランパン ヴィルレ ウルトラスリム No.001 プラチナ、1980年代製
Blancpain watch

 ジャン-クロード・ビバー(Jean-Claude Biver)氏とジャック・ピゲ(Jacques Piguet)氏は、1981年に2万1500スイスフラン(当時の相場で約245万円)でブランパンを買収し、最初に、“1735年の創設以来、ブランパンのクォーツ時計は一度も存在しない。そしてこれからも出ることはないだろう”という新しいブランドスローガンを掲げた。これを掲げた1981年当時、伝統的なスイス時計業界はクォーツ技術によって大打撃を受けていた。そんななかで、ブランパンは完全に独自路線を突き進んだ。ネオヴィンテージブランパンの最初のコレクションは、“シックス・マスターピース”と呼ばれていた。さまざまな複雑機構を備えた6つのモデルはすべて34mmのシンプルなプラチナケースに収められ、フレデリック・ピゲ(Frédéric Piguet)のエボーシュキャリバーを搭載していた。なんと、ジャック・ピゲ氏はフレデリック・ピゲの息子だったのである。

Blancpain caseback

 ヴィルレ ウルトラスリムは、このシックス・マスターピースのなかでもシンプルなタイムオンリーモデルだ。これは新しいブランパンを形作る“ベース”となったモデルである。この時計が特に興味深いのは、裏蓋の“No 001”と文字盤の“No 1”であり、いずれもビバー氏とピゲ氏が製作した最初の時計のひとつであることを示している点だ。出品元のWatches of Knightsbridgeは、この時計を“1980年初頭にジャン-クロード・ビバー氏とジャック・ピゲ氏によって販売されたとされる最初の時計”として紹介している。“No 00”のフルセットがどこにあるかを知っているため、私もこの主張に賛同する。

 このブランパンは、11月23日(土)午前9時(東部標準時)に開催されるWatches of Knightsbridgeの“モダン、ヴィンテージ&ミリタリー・タイムピースオークション(Watches of Knightsbridge's Modern, Vintage & Military Timepieces)”のロット1として出品された。落札予想価格は6000~9000ポンド(日本円で約115万~170万円)となっている。全リストはこちらから、カタログ全体はこちらから確認できる。このカタログには、話題性のあるカルティエ ロンドンのアイテム(リンクはこちらこちら)を含め、注目すべき珠玉の逸品が多数掲載されている(編注;結果は7000ポンド、日本円で約135万円で落札)。

ロレックス デイトナ Ref.6262、1970年代製
Rolex Daytona

 Bring A Loupeでヴィンテージデイトナを取り上げるのは久しぶりだ。これは、市場がかつてほどデイトナを求めていないからだろう。だがそれだけではなく供給不足も一因だ。ほかの時計に注目が集まるなか、素晴らしいヴィンテージデイトナを所有するコレクターたちは、それらを手放さず大切に保管している。市場が低迷している今、素晴らしい時計を持ちながら、それが再び注目されると分かっていてあえて売る理由があるだろうか?

 そんななか、このRef.6262は例外だ。このリファレンスはやや希少なものの素晴らしい例といえる。“やや希少”と表現したのは、ロレックスが大量生産を行うブランドであるためだ。しかし6262はほかのヴィンテージデイトナのリファレンスと比べ、生産期間が比較的短かった。Ref.6239の後継モデルとして1970年に登場し、基本的な変更点はアップグレードされたCal.727のみだ。それ以外だとベゼルのわずかな変更を除き、この時計は初代デイトナである6239とほぼ同じと言ってよい。

Rolex Daytona

 この特定の6262は、品質とニッチなダイヤルバリエーションに鋭く目を光らせるロンドンのディーラーによって出品されている。(Mann About Timeのオーナーである)ロビン・マン(Robin Mann)氏がデイトナを取り扱うときは、いつも注目している。この時計も例外ではなく、文字盤には6時位置のインダイヤルを囲むように、黒い“DAYTONA”ロゴが控えめに配置されている点が特徴だ。もちろん“ビッグ・レッド”や“チェリー・レッド”の文字盤も素晴らしく、手首にとても映える。しかしこの控えめなバリエーションを評価するには、より洗練されたセンスが必要だ。状態について、この時計は良好で記載内容も正確だ。ひとつの夜光プロットに劣化が見られるが、完璧な状態の夜光プロットを持つデイトナを見つけたら、それが再塗装されたものである可能性が高いだろう。この時計は少なくともいじられていないことがわかる。

 セラーはロンドンのMann About Timeで、提示価格は4万2000ポンド(日本円で約805万円)。こちらで詳細をチェックしてみて欲しい。

ブレゲ風の特徴を持つパテック フィリップ 懐中時計、1940年代製
Patek pocket watch

 懐中時計にはあまり興味がないが、この時計は間違いなく興味深くBring A Loupeで取り上げる価値がある逸品だ。写真をじっくり見ると、文字盤や針のデザインからブレゲを連想するかもしれないが、これはもちろんパテック フィリップだ。パテックのサインがあってオリジナルの証明書も付属している。ちょっと変わったところが、逆に魅力的に感じられる。

 これまでにギヨシェ文字盤を持つパテック フィリップの懐中時計をいくつか見たことがあるが、それらは1910年代のものであり、ブレゲの影響がここまで明確ではなかった。こうした初期の時計の例については、ここここ、そしてここで確認できる。一方、今回紹介するこの個体は1940年代製で、アウターミニッツトラックやサブセコンドレジスターのスタイルなど、より明確にブレゲ風のダイヤルデザインが取り入れられている点が特徴だ。さらに、パテックのサインが1940年代後半特有の“& Cie”であることも注目だ。

Patek pocket watch
Patek pocket watch

 私はこの時計が気に入っているが、念のため、私が信頼するパテック専門家でありCollectabilityを創設したジョン・リアドン(John Reardon)氏に確認した。彼はこう述べている。「アーカイブを確認して本物であることを確かめたいが…直感的にはおそらく問題ないだろう」

 ミズーリ州セントルイスのeBay出品者が、このパテック フィリップの懐中時計をオークションに出品し、オークション終了日時は11月24日(日)午後8時15分(東部標準時)だ。記事が公開された時点の入札は非常に活発で、1万9200ドル(日本円で約290万円)に達している。

大塚ローテック 6号
Lotec watch

 この日本限定ブランドは、ここ1年ほど時計のソーシャルメディア上で注目を集める存在となっている。大塚ローテックは独自の美学(および流通戦略)を持ち、それがどうやら多くの人々に受け入れられているようだ。そしてそれは功を奏している。その証拠に、このモデルは2024年のジュネーブウォッチグランプリ(GPHG)で“チャレンジ賞”を受賞した。

 このブランドは、東京を拠点とする工業デザイナーの片山次朗氏によって生み出された。片山氏は自動車や家電製品のデザイン経験があり、アナログでローテクな雰囲気を好む。その趣向はブランド名のローテックという名前にも反映されている。片山氏は古いフィルムカメラや工業用計器、メーター類からインスピレーションを得ており、その影響が一貫して6号という製品に明確に表れている。このブランドを初めて知ったのは、アメリカに住む友人が購入の手助けを頼んできたことがきっかけだった。調べてみると、私や友人のような者が現時点で大塚ローテックから直接購入するのは不可能であることがわかった。

 現在、この時計は日本国内でしか購入できない。抽選制度が導入されており、当選した場合、時計は日本国内の住所に配送され、支払いには日本の銀行口座が必要となる。もしこれが難しい場合は、Loupe Thisがオークションに出品している1本を検討するしかない。ただし、小売価格の44万円(税込)よりもかなり高くなる可能性がある。どうしても大塚ローテックを手に入れたいなら、これが現時点で唯一の選択肢だ。

 オークション主催者のLoupe Thisはロサンゼルスに拠点を置いており、記事公開時点での入札価格は6900ドル(日本円で約100万円)だ。この大塚ローテックのオークションは、11月26日(火)午後12時09分(東部標準時)に終了した。詳細はこちらから(編注;結果は1万340ドル、日本円で約155万円で落札)。

ルシアン・ピカールによるデュフォンテ ロサンゼルス・ドジャース・ワールドチャンピオンドレスウォッチ、1963年製
Dufonte watch

 毎週お届けするBring A Loupeの、楽しくも風変わりなeBayコーナーを眺めていると、このデュフォンテに目が留まった。ほかでは見たことがなくとてもクールだと思うが、だからといって価値が高いとは限らない。希少性が必ずしも高価であることを意味するわけではないのだ。この時計について私は専門家とは言えないし、率直に言えば誰もが詳しいわけではないだろう。文字盤に描かれているものはすべて当時のもののように見えるし、私はこれが“本物”だとも思う。なぜなら誰がこれを偽造しようと思うだろうか? もしドジャースのワールドシリーズウォッチを偽造するなら、もっと有名なブランドを選ぶのではないだろうか?

 時計のサイズについては分からない。出品者が使い古した定規の横で撮影しているため、あまり参考にならないが、一般的には32~34mm程度に見える。もし私がこの時計を買ったら、おそらく1度だけつけてあまり興味のない友達のひとりかふたりに見せたあと、それで満足して終わりにするだろう。そのため、もっと楽しめる人に買ってもらったほうがいいのではないだろうか?

Dufonte watch

 興味深い事実として、1963年と2024年、ドジャースはヤンキースを破りワールドシリーズを制覇している。この時計を購入し、身につけるにはこれ以上ない絶好のタイミングだ!

 ノースカロライナ州ローリーのeBay出品者が、このドジャース・ワールドシリーズウォッチをオークションに出品しており、11月23日(土)の午後7時23分(東部標準時)に終了。記事公開時点で、入札額は99ドル(日本円で約1万5000円)だった。