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Grails ロレックス エクスプローラー1016が私の通過儀礼になったわけ

他にも時計を着けてきた。しかしこんな時計は初めてだ。

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このコラムを書き始めて数ヵ月になるが、今回のコラムに入る前に、HODINKEEが私を招待してくれたのは、スタイルガイ…そう、ウォッチガイとしてではないということを、皆さんにお伝えしておきたい。私は(間違いなく)愛好家ではあるけれど、これを読んでいる方々はこのクールな時計の世界について、私よりもはるかに詳しいのです。

 というのも、今月は私のお気に入りの時計、ロレックスのエクスプローラー Ref.1016を深く掘り下げて紹介するからだ。「それはもう知っている」と思われるかもしれない。きっとそうだろう。なぜなら、あれは史上最高の時計だからだ。少なくとも、私にとっては。もうこの時計を20年使っている。時計というものは大好きだが、実際には数本しか持っておらず、そのうちの1本、Ref.1016だけがこのような喜びをもたらしてくれる。

 多くの人にとって、ロレックスは通過儀礼だ。他の人たちは、車、仕事、旅行、仲間、学位などで憧れの気持ちを満たしているかもしれない。私はいつもロレックスとその象徴に憧れていたが、なかなか自分のスタイルに合ったものを見つけることができなかった。

 ロレックスの前に私は、いくつかの素敵な時計を所有していた。美しいブルーダイヤルのオメガ シーマスター、スマートでちょうどいいサイズのホワイトダイヤルのホイヤー カレラ、そして男らしいブラックダイヤルのホイヤー オータヴィアだ。いずれもレザーストラップ付きのものだった。オータヴィアのストラップはブラックのパンチングレザーのレーシングストラップで、これはかっこいいと思った。そして、すべてにコンプリケーションが付いていて、若い頃はそれがとても好きだったのだ。息を止めてみたり、2階を歩いてみたり…いろいろなことをするときに時間を計っていた。私は根っからのスプリンターなのだ。しかし、年齢を重ねるにつれ、よりシンプルな時計を求めるようになった。そう、ただ時刻を知らせてくれるだけのものを。

 2001年には、少なくとも人並みにはロレックスを手に入れたような気がする。当時、アンと私はウィスコンシン州に住んでいた。私がランズエンド社のデザインチームを率いることになったからだ。与えられた使命は、「スタイリッシュ、だがやりすぎではない」を提供することだった。誤解しないで欲しいのだが、ランズエンド社はよく整備された機械のようなものだ、ふざけているわけではない。あれほどまでに強い労働倫理と顧客へのコミットメントをもち、キャンパス内にプールがある会社では、今まで働いたことがない。しかし、そのオフィスは文字通りトウモロコシ畑の真ん中にあった。

Photograph by Will and Susan Brinson

 結局、そこにはアンが予定していた期間よりもかなり長く滞在することになった。その頃、私たちには5人の娘がいて、大学進学のためにいくらかのお金を貯めていた。国際空港のない都市では、生活費は驚くほどリーズナブルなのだ。私は大きな時計を欲しがるようになっており、こう思った…今がそのときでは? ニューヨークを離れ、毎朝4時半に起きて仕事をするのに、自分の人生で憧れていたものを手に入れられないとしたら、何の意味があるのだろう。

 このような買い物は、金額の大小が自分のなかの価値に直結する。私が人生で後悔していることのひとつは、アンに結婚を申し込むのに時間をかけすぎたことだ。私の頭には、彼女への婚約指輪は私の年収の何パーセントかでなければならないという馬鹿げた計算式があった。本当に馬鹿げているが、もし私が彼女に尋ねたら、彼女はおそらくバブルガムのシガーバンドでも受け入れてくれただろう。しかし、素敵な指輪は犠牲の重要性を象徴している。大金というのは、たくさんの価値だ。そして、このロレックスもとても価値のあるものだった。私が彼女に見せたとき、アンは目を大きく見開いていたのを覚えている。

 予算の問題があったが、2001年に私は“インターネット”で時計を購入した。当時オンラインで時計を買うことはかなり奇妙なことだった。確かに人々はそこで買い物をしていたが、そこまでのお金を使うことはなかった。私たちは、「コンピュータールーム」でその話をした。今どきそんな言い方をする人もいないだろう。ここは、娘たちが「ザ・シムズ」をプレイしたり、私たちが銀行取引をしたり、たまにメールを送ったりするための専用の場所だった。ターコイズブルーのiMacでWinGateのページを表示した。すべての写真を読み込むのに半年はかかったと思うが、私たちはゆっくりとスクロールしていった。

 とにかく、この話の結末はお察しの通りだ。私がどうしても欲しいもののために沼にハマっていくあいだ、アンは肩をすくめて一緒についてきてくれたという長い歴史がある。私にとっては、探すこともそれを見つけたときと同じくらいよいものだった。ときには、それ以上によいこともある。

Photograph by Will and Susan Brinson

 エクスプローラー Ref.1016は、とても地味で、実用的で、やはり素晴らしいものだった。私はこの時計を、働く人のためのロレックスと考えていた。時間に縛られた時計ではなく、時間のなかに身を置く時計だったのだ。もちろん、ブランドの威厳はあるが、ベゼルやアラビア数字、ブラックダイヤルなどのミニマルなデザインは、まさに質実剛健な感じがした。シンプルで控えめ、美しいデザイン、バランスのとれたプロポーション。昔も今も、心の底から実用的な時計だと思う。最初に見たときではなく、二度目に見たときに評価される。この時計を外す必要はないし、実際私はほとんど外すことはない。この時計をつけていないと、何かが足りないような気がするのだ。左手首に100g弱の余分な重量がないと、バランスが崩れてしまうような気がするのだ。この時計をつけて泳ぎ、この時計をしながら眠り、この時計とともに娘のバージンロードを歩き、この時計で両親の葬儀に参列し、やがて自分の番がくるまでこの時計を着け続けるつもりだ。

 すべてを統べるような1本の時計を見つけたとき、あなたは何を手に入るのだろうか? あらゆるもののなかで最も貴重なもの。時間である。どの時計をつけようかと迷わずに済むことで得られる時間のことを言っているのではない。私はその時間を取り戻している。私がこの時計を探していた時間、考えていた時間、アンに見せていた時間、買うべきかどうか悩んでいた時間も含まれている。有意義に過ごした時間だ。そして、それは比率的なものでもある。探している時間が長ければ長いほど、よりよい収穫があるのだ。しかし、もし私が40歳になるまで待っていなかったら、もっと素晴らしいものになっていただろうか? それはわからない。この時計は私にぴったりなので、自分の手首がふさわしいサイズだったらすぐにでも手に入れたかったと思う。

シド・マッシュバーン氏は、デザイナーであり、アトランタ、ワシントンD.C.、ダラス、ヒューストン、ロサンゼルス、そしてオンラインの5つのメンズウェアショップの経営者でもあります。彼のこれまでのすべてのコラムを読むには、ここをクリックしてください。

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