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Introducing ルイ・ヴィトンのドラッグアワーウォッチ、タンブール コンバージェンスはまったくもって退屈な時計ではない

100年前のデザインを踏襲したLVのコンバージェンスは、メゾンのウォッチメイキング工房の統一感を強調している。

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我々が知っていること

LVMH Watch Weekというからには、ルイ・ヴィトンの新作は欠かせない! 同僚のタンタン・ワンの取材記事で、ヴィトンが2009年以来繰り返し発表しているジャンピングアワーの理念、最新のタンブール スピン・タイムが紹介されている。しかし今回取り上げるのは、まったく新しいモデル、“タンブール コンバージェンス”だ。私がスピン・タイムを引き合いに出したのは、このふたつのモデルにはケース形状からラグのデザインに至るまで、明確な共通点が見られるからだ。表面的には、コンバージェンスはジャンピングアワーコンセプトの代替案であり、より伝統的な時計コレクターに向けたもののように見えるが、少し掘り下げると、まったく新しい差別化された製品であることがわかるだろう。

Louis Vuitton Tambour Convergence

 ジャンピングアワーというフレーズを何度も口にすると混乱するかもしれないので、はっきりさせておこう。タンブール コンバージェンスはジャンピングアワー機構を持つ時計ではない。彫刻されたギシェ(フランス語で“戸口”を意味する)をとおして見ることができるこのデジタル表示こそ、ルイ・ヴィトンが言うところの“ドラッグアワー&ミニッツ”である。この違いは、新しいコンバージェンスの時表示がジャンプの衝撃で膝(機械)を痛めないよう1日中ゆっくりと回転するところにある。

 おそらくこのネーミングの理由は、ルイ・ヴィトンのウォッチメイキング工房であるケース製造の“ラ・ファブリク・デ・ボワティエ”、希少なハンドクラフトの“ラ・ファブリク・デ・ザール”、そしてムーブメント専業の“ラ・ファブリク・デュ・タン”を統合したことによるものだ。

Louis Vuitton Tambour Convergence
Louis Vuitton Tambour Convergence
Louis Vuitton Tambour Convergence

 直径37mm、厚さ8mmのコンバージェンスケースは、ジュネーブに新設されたルイ・ヴィトンのケース製造工房で、手作業によるポリッシュ仕上げが施されている。タンブールとして、一般的な形状はドラムを模しており、側面は中心部分が高く、変曲点に向かって細くなっている。これは2023年のタンブールから受け継がれた特徴で、コレクションのDNAとして機能している。これまでのタンブールとは明らかに異なるビジュアルであり、コンバージェンスのラグは現代的で幾何学的な佇まいながら、ヴィンテージリファレンスのフレーム(炎)ラグ、タートル(亀)ラグ、クロー(爪)ラグに似た形状をしている。時を告げるディスクを縁取るギシェは、雲のきらびやかなエッジからインスピレーションを得たホタテガイのようにカーブしたエッジが特徴である。

 コンバージェンスは2バージョンが展開されている。ピンクゴールドのスタンダードバージョンであるRef.W9PG11と、795個のダイヤモンドが手作業でスノーセッティングされたプラチナモデルのRef.W9PT11だ。

 コンバージェンスに搭載されるのは、ルイ・ヴィトン自社製の新しい自動巻きCal.LFT MA01.01だ。振動数は2万8800振動/時(4Hz)で、約45時間のパワーリザーブ、18KRG製ローター、フリースプリング式テンプを備えている。仕上げはややインダストリアルな印象で、サンドブラスト仕上げのブリッジやV型の刻みが入ったポリッシュ仕上げのローターが特徴だ。また2023年のタンブールや、2024年のエスカルに搭載されたCal.LFT023と同様、従来の時計用合成ルビーの代わりに透明なサファイアが採用されている。

Louis Vuitton Tambour Convergence

 ポリッシュ仕上げのPG製コンバージェンスは504万9000円、プラチナ製スノーセッティングダイヤモンドモデルは913万円(ともに税込)である。どちらもカーフレザーストラップおよびケースと同素材のピンバックルが付属する。


我々の考え

ルイ・ヴィトンが、もっとも熱狂的なファンにも認められることを強く望んでいることは明らかだ。2023年のタンブールはジャブ、2024年のエスカルはクロス、そして今日のコンバージェンスがアゴを狙った鋭いリードフックだ。

Louis Vuitton Tambour Convergence

 HODINKEE専属のヴィンテージマニアとして、プレスリリースを開いて最初にしたことは、ショートカットキーを押してサイズを検索することだった。エスカルと同じ39mmだろうと予想していたが、うれしいことに、37mmのケースは2025年に発表されるギシェ式時計として自分にとって完璧なサイズだ。“あと何mmか小さければ…”と言う人は、ヴィンテージ志向のマニア。1950年代の時計でも買えばいい。そして100年前のデザインから明確なインスピレーションを得た特大サイズの時計の市場は、おそらくきわめて薄いだろう。

Louis Vuitton Tambour Convergence

 ルイ・ヴィトンは、トレンドがまだ活況を呈しているあいだに勝負に出たのだ。オーデマ ピゲは1921年にこのスタイルのデジタル表示を備えた初の腕時計を製作し、カルティエは1928年にタンク・ア・ギシェを発表した。1920年代の時計デザインへの関心はいまほど高まっておらず、こうした風変わりで興味深く、希少な100年前の作品の市場はかつてないほど熱くなっている。2023年に発表されたブレスレット一体型のスティール製スポーツウォッチ“タンブール”が遅きに失したと批判されるのであれば、“コンバージェンス”は少し早かったとはいえ、タイムリーであったと称賛されるべきだろう。

 ここに批判があるとすれば、私はふたつの点を指摘したい。まず、この時計はジャンピングアワーではない。全体的なデザインにヴィンテージのインスピレーションがあることを考えると、引きずるような動作ではなく、真のジャンピングアワー機構を見たかった。ふたつ目のムーブメント批判は、クロノメーター認定がないことだ。これは、以前のタンブールやエスカルに搭載されていたCal.LFT023の特徴である。

Louis Vuitton Tambour Convergence

 とはいえ、ルイ・ヴィトンがコンバージェンスで自社製ムーブメントを搭載したことは注目に値する。私は超巨大高級品コングリマリットを崇拝する気質ではないが、世界最大の高級品メーカーが、尊敬される時計メーカーになるためにアクセルを踏んでいることは確かだ。発表するたびに、ルイ・ヴィトンはウォッチメイキングへの継続的な投資を示唆し、しかも“ビジネスとして成立” するように遂行するという明確な意欲を示している。

 エスカルが発表されたとき、3万ドル(日本円で約470万円)のドレスウォッチにエタクロン式緩急針が採用されていることにブーイングが起きたことを覚えているだろうか。一方でコンバージェンスにはフリースプラング式テンプが採用されている。ルイ・ヴィトンは市場の声に耳を傾けており、我々は彼らにテストの答えを与え続けている。タンブールとエスカルは、メゾンが勝負に出ることを時計業界に知らしめたが、コンバージェンスのような新作のリリースは、不動の雲上時計メーカーをも震撼させるかもしれない。


基本情報

ブランド: ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)
モデル名: タンブール オトマティック コンバージェンス(Tambour Convergence Automatic)
型番: W9PG11(ピンクゴールド)/W9PT11(プラチナ)

直径: 37mm
ケース素材: 18Kピンクゴールド、プラチナ
文字盤色: 4Nガルバニック処理を施したサテン手仕上げの真鍮製ディスク
インデックス: プリントされたブルーのアラビア数字とインデックス
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: カーフスキンストラップ、ケースと同素材のLVピンバックル

Louis Vuitton Tambour Convergence

ムーブメント情報

キャリバー: LFT MA01.01
機能: 時・分表示
パワーリザーブ: 約45時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 26
クロノメーター認定: なし


価格 & 発売時期

価格: PGモデルは504万9000円、プラチナモデルは913万円(ともに税込)
限定: なし

詳細はルイ・ヴィトン公式サイトへ。