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我々が知っていること
現代の巨大なF1マシンと狭い市街地コースとの相性はさておき、モナコはF1カレンダー上で最も象徴的なグランプリである。この点について異論は認めない。このレースはいつか必ず現地で観戦したいと切望しているイベントであると同時に、モータースポーツ史に残る象徴的な腕時計を生み出した舞台でもある。そして、LVMHがF1のスポンサーに就任した初年度となる今年、タグ・ホイヤーはこの由緒あるグランプリのために3つの新作モナコを投入する。
まず紹介するのは、タグ・ホイヤー モナコ クロノグラフ ストップウォッチ。970本限定で、ケースには軽量かつ高耐久性を誇るDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングが施されたチタンを採用。サイズは39mm径で厚さは15mmである。本モデルはヴィンテージホイヤーのストップウォッチに着想を得たデザインで、視認性の高いブラックのセンター部に、ブラックのファセット加工が施された時・分針とインデックスが配されている。針とインデックスには、ブルーのスーパールミノバが塗布。外周のシルバーオパーリン部分には、プリントによる赤い目盛りと赤いクロノグラフ針、そしてかつてのクロノグラフに見られた赤いアクセントがあしらわれている。ムーブメントには自動巻きのCal.11を搭載し、時・分表示に加え、スモールセコンド、30分積算計、デイト表示を備え、パワーリザーブは42時間。価格は147万4000円(税込予価)だ。
ヴィンテージ調が好みでないなら、さらに先鋭的な選択肢もある。タグ・ホイヤーはこのタイミングで、モナコ スプリットセコンド クロノグラフの新バージョンも発表した。ケースにはタグ・ホイヤーのラボで開発された独自素材、TH-チタニウムを採用。加熱処理によってチタン合金に不規則な迷彩のような模様を生み出す技術で、素材そのものに個性的な表情を与えている。ムーブメントもチタン製でブラックDLCコーティングが施されており、スケルトン仕様の文字盤にはネオンライムグリーンのアクセントが配され、スポーティな印象を強調している。スプリットセコンド クロノグラフムーブメントは3万6000振動/時で駆動し、65時間のパワーリザーブを誇る。時計全体の重量はわずか86g(ストラップとバックルを含む)で、ムーブメント単体は30gしかない。価格は2084万5000円(税込予価)である。
最後に紹介するのは、モータースポーツ愛好家にとってたまらない一作。タグ・ホイヤーは、1960年代から1970年代にかけてレースチームのスポンサーとして知られ、今や伝説となったガルフ・オイルのリバリーを復刻した。タグ・ホイヤーとの結びつきが最も強く印象づけられたのは、1971年の映画『栄光のル・マン』(原題:Le Mans)において、スティーブ・マックイーン(Steve McQueen)がモナコを着用しながらポルシェ917を操っていたシーンであろう。
新作タグ・ホイヤー モナコ クロノグラフ × ガルフは、上述のストップウォッチバージョンと同じケースサイズおよびムーブメントスペックを有しており、サンドブラスト加工されたグレード2のチタンケースにフォールディングクラスプ付きストラップを備える。針とインデックスはロジウムプレート仕上げ、ダイヤルはホワイトに見える微細なグレイン仕上げで、ガルフのロゴとブルーおよびオレンジのストライプが特徴的である。価格は142万4500円(税込予価)で、1971年の『ル・マン』公開にちなみ971本限定となる。
我々の考え
お気に入りのタグ・ホイヤーのモデルをひとつ選べと言われれば、おそらくモナコである。コミュニティのあいだでは“ダーク・ロード”という愛称で知られているが(ブランドとしては“ブラック・モナコ”と呼びたいようだが)、Ref.74033Nは私の生涯をとおしてのベストウォッチ20本のうちの1本に入る。まあ、銃を突きつけられて無理やり選ばされたランキングではあるが。スケルトン仕様のRef.CBL2184や、リイシューされたダーク・ロードことRef.CBL2180は、近年のブランドラインナップのなかでもひときわ視覚的インパクトに優れたモデルであった。しかし今回のタグ・ホイヤー モナコ クロノグラフ ストップウォッチには、ひときわ目を引かれた。とはいえ、もしこの系統の時計を選ぶのであれば、やはり下記に挙げるRef.11.401のスプリットセコンド式の懐中クロノグラフを手に入れたいところだ。実に魅力的なルックスである。
スプリットセコンド搭載のモナコのケースは写真で見ても実に独創的であり、ぜひ実物を手に取ってその質感や重量感を体験してみたいと思わせる。デジタル迷彩のようなこの外観も気に入っており、非常に未来的である。現代的なスプリットセコンド クロノグラフを選ぶなら、まさにこの路線が理想といえる。ヴィンテージ的な美学にも確かに価値はあるが、今回のモナコの刷新は、F1およびそのなかでも最も象徴的なレースとのブランドのつながりを再確立するうえで、タグ・ホイヤーにとって見事な一手であったと感じる。
詳細については、タグ・ホイヤーの公式ウェブサイトを参照して欲しい。
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