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Introducing モンブラン 2020年新作 1858 スプリットセコンド クロノグラフ リミテッド エディション 100(編集部撮りおろし)

モンブランの最高峰クロノグラフが新たにアイスブルーを纏って登場。

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クイック解説

モンブラン 1858 コレクションは、遡ること2015年にデビューを果たした。私たちは、2019年のSIHHの際、その注目すべき新しいスプリットセコンド(ラトラパンテ)クロノグラフを目にした。それは、ミネルバ高級時計研究所(Institut Minerva de Recherche en Haute Horlogerie、旧ミネルバ)で製作された極めて美しい16リーニュのムーブメントを使用し、ブラックラッカーダイヤルのブロンズケースに収められてお披露目されたものだった。この腕時計は100本限定として発売され、現代的な時計らしく、テレメーターとタキメーターのコンビネーションといったユニークな特徴をいくつか有している。

 このモデルはかつても今も、純粋な最高級コンプリケーションウォッチの製作技術を反映している。ラトラパンテ・クロノグラフは、その構造の複雑さと繊細さゆえに、ミニッツリピーターやパーペチュアルカレンダーに匹敵する、正真正銘の複雑機構とみなされている。今では、より高い耐久性をもちながら複雑性を抑制して設計されたスプリットセコンド・クロノグラフも存在しているが、実際の高級時計の仕上げ方法と組み合わせつつ、伝統的アプローチで作られた注目すべきものもまた、存在している。モンブランは今、鮮やかなブルーのグラン・フー エナメルのダイヤルとチタン製ケースを特徴とした、古典の中の古典であるモデルを新作として発表したのだ。

  ダイヤルは、ソリッドゴールド一層で、その上にエナメルのパウダーが配される。その後にダイヤルは焼成され、パウダーがガラス質に変化しシングルレイヤーになる。それが卓越した色の深みと彩度を生み出し、焼成後のエナメル文字盤をひと目で視認できるようにしている。2本のクロノグラフ針はベージュと赤に塗り分けられており(下部のベージュ針はプライマリ秒針であり、上部の針はスプリットセコンド針である)、開始、停止、リセットはリューズにセットされたプッシュボタンにより操作する。スプリット・プッシュボタンは2時位置にある。

 外周のクロノグラフ・スケールはテレメータースケールになっているため、稲妻や嵐などを見たときと聞こえたときの間の時間を計測することにより、その事象との距離を測ることができる。この機能は、十分に大きく聞こえ、かつ視認できるあらゆることについて、注意するために使用可能だ。代表的な例としては、雷光が見えたときと雷鳴が聞こえたときとの時間差を計ることにより、落雷位置までの距離を把握できる。また、閃光と爆音との時間差を計ることで、大砲の砲弾(または砲火)までの距離も測れる。

 中央のスケールはスネイル状(渦巻き型)のタキメーターになっている。タキメーターは、クロノグラフでは極めて標準的なスケールであり、移動する乗り物の平均速度を測れるようになっている。とはいえ、タキメーターを使えば、生産ラインにおいて1時間あたりの製品生産数を測定するといった他の計算も可能だ。従来型のタキメータースケールの不利な点は、60秒以下のことに限定されるということだ。スネイルの外側から内側まで読み取っていくこのスネイルタイプでは、その時間が最大3分間にまで延長されている(ダイヤル上に小さな矢が付いていて、読み取り開始地点を確認できるようになっている)。

  ムーブメントは、モンブランCal.MB M16.31。基本的に懐中時計のキャリバーを腕時計用に応用したものだ。直径16リーニュ(約38.4mm)、厚さ8.13mmで、大まかにではあるが、腕時計のムーブメントとしては伝統的に上限と考えられてきた13リーニュ(30mm)の直径を優に超えている。しかし、こうして大型化した直径がもたらしたものは、ミネルバ高級時計研究所を有名にした伝統的ムーブメントの仕上げ技術を示す、巨大なカンバスを手に入れたことにある。このムーブメントは、最高級のフィリップスのオーバーコイル・バランス・スプリングを含む完全な自社製の特質を有している。そのオーバーコイルは手作業で一度に一個ずつ形成され、同様に手作業によってテンプに留められている。

ファースト・インプレッション

  この腕時計に対する私の最初の印象は、これまで見てきた高級時計メーカー製のモデルの中で、最も美しいもののひとつであるということだ。念のため言っておくが、これは非常に独特な種類の腕時計なのだ。まず、これは懐中時計のムーブメントを有する腕時計だ。懐中時計のムーブメントを持つ腕時計はこれまでいくつかあったとはいえ(その中に私は、ETAがこれまでに作った最後の懐中時計仕様のムーブメントであるETA 6497を採用して製作された全ての腕時計を含める)、この時計は、あなたが懐中時計のキャリバーをベースにした歴史的な腕時計を浮かべない限りは、やや普通ではないモデルなのだ。

  ケース径が44mmあり、その強靭さの上にヴィンテージものの懐中時計ムーブメントの高度に装飾されたものを搭載した腕時計を熱狂的に歓迎するのはもちろんのこと、進んで容認するような人は、おそらくあまりいないだろう。より踏み込んで言えば、この腕時計は、最高級ムーブメントの技術的なボキャブラリーを理解し、その存在維持のために投資を惜しまないような非常に少数の目利きに対し、特別にアピールすることを意図して作られているのだ。

 合理的で客観的な基準からみても、この腕時計はその希望価格において、同業他社のものと比較して異常に高い価値と、腕時計製作史への実際的なつながりを提供している。
 確かにこれは奇妙な話だ。チタンと文字盤の焼成エナメルとの組み合わせ、そして高度に装飾され、本質的に複雑で風変りなムーブメントは、技術的な分野における伝統的なウォッチメイキングについてのビジョンを証明するものだ。20世紀の初頭、あなたは高級腕時計メーカーのムーブメントや腕時計が、時間を計るのに必要な器具として世界の隅々にまで浸透したのを目撃したであろうし、一方でそうしたムーブメントや腕時計は、その時代における最高水準の計時の芸術を象徴していたのだ。

 もし、あなたがこの種の腕時計を好むなら、高度に仕上げられたラトラパンテクロノグラフ懐中時計ムーブメント、ダブルタキメーター、タキメータースケール、驚くほど見事なグラン・フー エナメル文字盤、山を登るかのような気にさせるケース素材を採用したものは、あまり多くは出回っていない。
 このケース素材は、技術面では、ガーミン、スント、 G-SHOCKなどのカテゴリではなく、その昔、地球上の遠く離れた場所を調査する際に携行すべき時計であったことを思い起こさせる。そして私は、あらゆる努力(3万9500ユーロ以上のフライトと分相応のホテル)を惜しまず、この時計を地球上のどこにでも連れていって性能を試すだろう。六分儀、海図用紙、ブッシュ・プレーン(未開地用汎用機)を使えば、私たちは実際に物語を紡ぐことになるだろう。

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基本情報

ブランド:モンブラン(Montblanc)
モデル名:1858 スプリットセコンド クロノグラフ リミテッド エディション 100( 1858 Split Second Chronograph Limited Edition 100 )
 

直径:44mm
厚さ:14.55mm
ケース素材:グレード5 チタン
文字盤色:ディープブルー、グラン・フー エナメル。蛍光色数字とカテドラル針
防水性能:30m
ストラップ/ブレスレット:イタリア・フィレンチェのブルー・スフマートストラップ。チタン製ピンバックル付き。


ムーブメント情報

キャリバー:モンブラン自社製Cal. MB M16.31
機能:時、分、秒。タキメーターおよびテレメーター付きラトラパンテクロノグラフ
直径:38.4mm
厚さ:8.13mm
パワーリザーブ:50時間
巻き上げ方式:手巻き
振動数:2.5Hz(1万8000振動/時)
石数:25
追加の詳細:全てのプレートおよびブリッジ、ロジウムメッキ洋銀(ジャーマン・シルバー)。テンプ、14.5mm。慣性モーメント=59 mgcm²。手作業によるフィリップス・ターミナルカーブ。ダイヤモンド研磨および金メッキのトレインホイール。傾斜アーム。伝統的に仕上げられた、2個のコラムホイールおよびラテラルクラッチ付きラトラパンテ・クロノグラフ。


価格・発売時期

価格: 3万9500ユーロ(時価)
発売時期:2020年4月(日本未入荷)
限定: 100本

詳細についてモンブラン公式サイトへ。