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Magazine Feature お気に入りのGMTウォッチでタイムトラベルを楽しもう

旅に出るために作られた時計が人気を集めている。今回は、そのなかでも手に入れることができる特におすすめの6本を紹介しよう。


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雑誌特集注記:この記事は、2018年秋にHODINKEE Magazine Vol.3に掲載されたものだ。ジェームズ・ステイシー(James Stacey)が徹底的に考え、美しく撮影した、旅に最適な時計についてのストーリーを再訪したくなったのは、今、旅が多くの人の心を捉えているからだ。寒さを逃れるために地球の裏側から飛行機に飛び乗る人も、週末に山へドライブする人も、じっと冒険心を燃やす人も、以下の腕時計をチェックしてみて欲しい。

家から遠く離れた滑走路を飛び交う飛行機の車輪に揺られながら、僕は目的地を思い出せないまま、暗い大西洋の上のどこかで一夜を明かした。パイロットの声がPA(機内アナウンス)から流れ、僕をミュンヘンに迎える。現地時間は午前10時40分、9時間遅れで到着した。タキシングするジェット機の薄明かりのなか、僕は手首から時計を外すことなくリューズを回し、時針をすばやく9クリック進ませる。そしてキッツビューエルに向かう。アルプスは誰のことも待ってはくれないのだ。

 旅は究極の自由だ。地球を自由に歩き回り、多くの人々や場所、風景を体験できることは機動力によって特徴づけられ、好奇心と放浪心によってもたらされる贅沢である。遠く離れた場所を思い浮かべながら休暇を取り、航空券を予約し、ガイドブックを読み、『No Reservations』(※旅番組)の古いエピソードを見ながら眠りにつく。

A Tudor Black Bay GMT on the author's wrist.

 僕は旅が大好きだが、その魅力のひとつは世界各地に持ち運ぶモノに込められた想いにある。限界までミニマルに、目的意識を持ってパッキングする必要性が特別な透明性をもたらしてくれる。荷物の追加料金を避けるためだけでなく、旅先で最大限快適に過ごし、新しい土地を最大限に楽しむための準備として、持ち物は目的地の周波数に合わせて調整することが必要だ。

 スマートフォンや国際データプランのおかげで、旅行や海外での体験は以前よりも不透明でなくなったが、究極の旅行ツール、そして僕のトラベルキットの柱は、いつだって優れたトラベルウォッチなのだ。バッグをなくしたり、日焼け止めを忘れたり、スマートフォンが壊れていることもあるが、その場にぴったりの時計があれば、冒険の時間を守ることができ、知らなかった世界を見ているあいだに自分がどこから来たのかわからなくなることもない。

 旅がより貴重に、そして世界の果てがより身近になった今、GMTウォッチが注目されているのは当然のことだろう。クラシックなパイロットウォッチをモダンにアレンジしたものから、ラグジュアリーなデュアルタイムデザイン、そして古き良き時代の探検する象徴まで、こうした時計はデータ接続を必要とせずに作動する。旅慣れた旅行者のように、完璧なトラベルウォッチは新しい空間のリズムに合わせ、旅を楽しむための邪魔になるものは何もなく、次から次へと難なく飛び移ることができる。

A Grand Seiko Hi-Beat GMT on a chair.

 新作はもちろん、クラシックなアイコンウォッチの人気も急上昇中だ。GMTや旅に特化した時計は、どのメーカーのラインアップでも注目の機能となっている。クロノグラフやダイバーズウォッチが長年人気を博している一方で、InstagramやFacebook、YouTubeによって、異国の地やすばらしい旅行体験が僕たちの視線の先にあることの効果も絶大だ。パリへ向かうファーストクラスや、サファリ仕様のディフェンダーの補助席など、いつか自分の目で見てみたい場所の写真をダブルタップしたときに、トラベルウォッチは旅を求める冒険心に直接語りかける。

A Vacheron Constantin Overseas Dual Time on the author's wrist.

 最近ロサンゼルスを訪れた際、現在市場に出ている最高のトラベルウォッチのいくつかと1週間を過ごした。クラシックなアイコンから新顔まで、それぞれが独自の方法で旅の哲学を反映している。

 チューダーのブラックベイ GMTは、41mmのステンレススティール製で、バーガンディとブルーのマットなベゼルが特徴的なモデルだ。正確なローカルジャンピングアワーGMTムーブメントを搭載したこの時計は、クラシックなロレックス GMTマスターⅡの機能セットを模倣しながら、よりカジュアルでゆったりとした魅力でそれを実現している。この機能により、新しいタイムゾーンに到着したときでも、時計の計時や24時間計の針に影響を与えることなく、新しい時刻にすばやくジャンプすることができる。GMT世界への新参者でも、20年後に旅がケースとベゼルに焼き付けられ、刻み込まれ、どれだけクールに見えるか想像がつく。

 チューダーのスポーティなデザインとは対照的に、ヴァシュロン・コンスタンタンの愛らしいオーヴァーシーズ・デュアルタイムは、従来の24時間表示を省き、秒針とシンプルなAM/PM表示というシンプルなデザインに仕上げている。過酷なカリフォルニアをカフェレーサーで走るというよりも、マンハッタンビーチでヨットを停泊させるのに向いているかもしれない。41mmのオーヴァーシーズ・デュアルタイムのケースはSS製で、クイックチェンジラバーストラップとの相性は抜群だ。70年代的な魅力がラグジュアリーな旅の演出を引き立てる。

A Patel Philippe Calatrava Travel Time on the author's wrist.

 グランドセイコーのSBGJ213は、日本の文化に象徴される透明感と正確さを持ち、手仕上げの美しい40mmチタンケースに包まれた驚異的な技術力を備えている。3万6000振動/時のハイビートムーブメントを搭載し、優れた精度を実現。ダイヤルのシャープな仕上げや美しいイエローの24時間針など、SBGJ213は日本が誇る完璧な技術で、東京からベニス運河のきらめく水面まで、世界のどこでも輝きを放つ。

 グランドセイコーのストイックでストレートな性格とは対照的に、モンブランの1858 ジオスフェールは旅のアイコンへのオマージュであり、探検、地図、そして時間の固定性に対する地球を表現する芸術へのオマージュだ。セラミック製のコンパスベゼルを備えた42mmのこのモデルは、世界中のタイムゾーンの配置を示すふたつの回転する半球が特徴。センターリファレンスとAM/PM表示のインダイヤルを備えた1858 ジオスフェールは、従来のGMTに比べると実用性は劣るかもしれないが、空想的でユニークなデザインのなかに探検のロマンを見出すことに成功している。

A Patek Philippe Calatrava Travel Time on the author's wrist.
A Montblanc Geosphere GMT on a table
A Grand Seiko Hi-Beat GMT on the author's wrist.

 パテック フィリップのカラトラバ・パイロット・トラベルタイム 5524Gを少し小さくした37.5mmの7234Rは、レディースモデルとして販売されているが、僕の目には同じハンサムなデザインと旅行に適したレイアウトが小さなケースで提供されており、温かみのあるローズゴールドがそれをうまく引き立てているように見える。パイロットにインスパイアされたトラベルタイムは、同社の通常のスポーツウォッチとは一線を画すモデルだが、同社はトラベルウォッチに強いルーツを持っており、ワールドタイムの初期のモデルのひとつも手掛けている。さらに、7234Rは腕に着けたときのフィーリングがすばらしく、トリックロック式のリューズは新しいタイムゾーンを触感で楽しむことができる。ミリタリーの美学を受け継ぐ、旅慣れたデニムのワークシャツに身を包むと、このRGのパイロットウォッチは過剰で贅沢なものを求めるロサンゼルスのカジュアルな雰囲気によく合っていた。

 最後にロレックス GMTマスターⅡのオイスタースティール、ジュビリーブレスレットの新作を紹介しよう。この時計は戦後のトラベルウォッチを象徴するモデルで、市場で最もホットなスポーツウォッチのひとつだ。60年以上の進化に耐えるデザインで、GMTマスターⅡは旅のハイ・ローのリアリティを表現している。40mmのSSケースの上に赤と青の温かみのあるセラミックベゼルを配し、ラグジュアリーで美しい仕上がりとなっている。GMTマスターⅡは耐久性に優れ、紛れもなく冒険のためのものだ。ペプシベゼルとジュビリーブレスレットを備えたSSモデルが追加されたことが、GMTウォッチの人気上昇に拍車をかけたのは間違いないだろう。

A Rolex GMT Master II on the author's wrist.

 腕につけると、このルーツに忠実なGMTマスターⅡは特別で冒険的に溢れた印象を与え、ベゼルの色はこのデザインのレガシーとそれを身につけた人々の美学を物語っているように感じられる。何世代にもわたる進化にもかかわらず、この新しいSS製GMTマスターⅡは、ジェットセット時代のアバンギャルドな精神を表現している。次のフライトのためにドレスアップしたり、シリアルの箱の裏に書かれたチャック・イェーガーの活躍を読んで手紙を書きたくなるような、そんな時計だ。ジュビリーの新しいGMTマスターⅡは、GMTウォッチというだけでなく、今日の市場における最高のスポーツウォッチであることは間違いないだろう。

 優れたトラベルウォッチとは、機能、デザイン、魅力、そして耐久性に優れた構造が見事に調和しているものだ。東京からロスカボスへ、ヨハネスブルグからロサンゼルスへ、決して場違いでなく、邪魔にならない、そして旅先で培われた風格が魅力を増して行く。太陽の光で色あせ、傷がつき、常に手首に装着されている。優れたトラベルウォッチは不変の実用性を備えた道具であると同時に、個人の自由を尊重するオブジェとして想像力をかきたてるものなのだ。

Photography by Walker Tovin and James Stacey. 

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グランドセイコーモンブランパテック フィリップロレックスチューダーヴァシュロン・コンスタンタンの詳細については、それぞれの公式サイトをご覧ください。HODINKEEショップは、グランドセイコーモンブランヴァシュロン・コンスタンタンの正規販売店です。また、パテック フィリップロレックスチューダーなどの中古・ヴィンテージウォッチのセレクションもぜひチェックしてみてください。