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オリエントスター ダイバー1964 2ndエディション 歴史の再発見に裏打ちされた魅惑のリバイバル 第2章

昨年のオリエントスター・ファーストダイバーの復刻に続き、同じ年に生まれた第2のダイバーズウォッチが現代によみがった。新たなるリバイバルは200m防水のタフさにエレガントさを併せ持ち、オンでもオフでもつけられるオールマイティな1本だ。

オリンピア カレンダー ダイバー(1964年)。昨年登場したダイバー1964 1stエディションのもととなる正真正銘、オリエントスターのダイバーズウォッチの原点だ。

 さまざまな経過時間が計れる目盛り付きのSS無垢回転ベゼルを備え、ダイヤルには力強いアロー型の時針が目を引く。オリエントとして初めてダイバーの名を冠した手巻き腕時計、オリンピア カレンダー ダイバーは1964年に誕生した。その特徴的な外観を受け継ぎ、昨年登場した限定モデル、ダイバー 1964は世界的な大ヒットとなった。そして熱心なオリエントファンであれば、同じく1964年にダイバーズウォッチの姿をしたもうひとつの“カレンダー”が誕生していたことをご存じであろう。

 回転ベゼルに黒いアルマイトリングをセットし、ドットインデックスをメインとしたダイヤルを持つカレンダー オート オリエントだ。こちらは手巻きムーブメントではなく、21石の自動巻きを搭載した。ダイヤル6時位置にはそれを示す“21”の数字と“DIVER”の文字を上下に配置していることから、ファンが“21ダイバー”の愛称で呼ぶ、中古時計市場にもなかなか出回らない幻のモデルだ。それが今年「ダイバー1964 2ndエディション」の名で復活を果たしたのである。

左はオリジナルのカレンダー オート オリエント(1964年)、右は新たに発表されたダイバー1964 2ndエディション。その再現度は極めて高い。

 これに伴い、昨年登場したダイバー 1964の名は「ダイバー1964 1stエディション」と改められた。1964年に始まるオリエントによるダイバーズウォッチの第2の原点を復刻したモデルは、1stエディションとは異なりレギュラーモデルとされた。これはファンにとって朗報である。1960年代の典型的なダイバーズウォッチのデザインを踏襲する2ndエディションが醸し出す適度なレトロ感は、時計界のトレンドを牽引するひとつの要素。各ディテールはブラッシュアップされ、性能は大幅にアップデート。単なる懐古趣味に終わらない、現代にふさわしいダイバーズウォッチとして市場に投入された。


第2の原点を復刻した、ダイバー1964 2ndエディション

オリエントスター ダイバー1964 2ndエディション

Ref.RK-AU0601B 15万4000円(税込)

ダイバーズウォッチ然としたレトロな外観に、ダイヤルとベゼルのブラックミラー仕上げが気品と個性を添える。鏡面とサテンに仕上げ分けた5連ブレスレットもエレガントである。

SSケース。ケース径41mm×ケース厚14.5mm(全長49.6mm)。200m防水。自動巻き Cal.F6N47:22石、2万1600振動/時、約50時間パワーリザーブ。

 ブラックアルマイトの目盛り付きベゼルリング、12時位置に三角、6・9時位置はバー、残りをドットとしたシンプルで判読しやすいインデックス、そしてロリポップの時針と秒針。これらの2ndエディションを特徴づけるディテールは、いずれもカレンダー オート オリエントからの引用である。さらにミラーブラック仕上げのダイヤルもオリジナルから受け継いでいる。マット仕上げがお約束のダイバーズウォッチにあって、艶のあるブラックダイヤルは当時も今も新鮮であり、かつエレガントな印象も高まってスーツやジャケットにも合わせやすい。またオリジナルにはなかったマット仕上げのグリーングラデーションダイヤルもラインナップ。トレンド感はより高く、ビジネスシーンも週末のカジュアルも、一層スタイリッシュに装える。

 外観こそオリジナルの姿を色濃く写す2ndエディションだが、ダイバーズウォッチとしての性能は格段に向上している。非防水の腕時計が多かった1964年当時、カレンダー オート オリエントは、スクリューバックの採用で40m防水を得ていた。今回はリューズもねじ込み式とし、最新のパッキンを用い、さらに加工精度が大幅に向上したこともあって、防水性能は200mにまで高まった。ベゼルも逆回転防止式へと改良され、国際工業規格のダイバーズウォッチ基準であるISO 6425に準拠。ダイバー1964 2ndエディションは本格ダイバーズウォッチと胸を張って名乗れるお墨付きを持つ。

カレンダー オート オリエント(1964年)

ダイバー1964 2ndエディション

 逆回転防止ベゼルのリングはオリジナルと同じポリッシュ仕上げのブラックアルマイト製。0ポジションを示す三角マーカーにはドットを追加し、潜水スケールは15分まで延長。全周に分目盛りを刻むなど、より視認性を高めている。

 インデックスと針はオリジナルをほぼ踏襲しながら、分針をややスリムにするなどブラッシュアップ。またパワーリザーブインジケーターの追加により12時位置のインデックスは一部をカットし、デイト窓の外側にはバーインデックスが追加された。

 ケース径はオリジナルからおよそ1mmの拡大に留められた。ファセットカットを施したラグは、細く長く改められてシャープな印象を高め、終端の傾斜をなだらかにしたことでブレスレットとの一体感もより強く図られている。

 オリジナルのブレスレットの中リンクにあったピラミッド状の突起が連なる装飾を付属のシリコン製ストラップで再現。肌に触れる裏面はワッフル状に設えられているため、通気性と排水性に優れ、心地よい装着感をもたらす。

 そして2ndエディションのダイヤルには、前述したとおりオリジナルにはなかったパワーリザーブインジケーターが追加されている。これはオリエントスターにおける象徴的な機構であり、確実な駆動が目で確認できるためダイバーにとっても実に有益な機能でもある。ねじ込み式のケースバックは、1st、2ndエディションともにミラー仕上げ。ただし、ケースバック中央のレーザーマークのデザインは1stエディションとは異なっている。またブレスレットのバックルは1stエディションと同様にエクステンション機能を装備しており、ダイバーズウォッチとしての完成度は極めて高い。


タフな外装に、弛まぬチャレンジ精神を宿す

 ダイバー1964 2ndエディションの開発は、ただの懐古趣味ではない。過酷な環境に耐えうる強さや強靭さを併せ持つISO 6425準拠のダイバーズウォッチであることがまず大前提にあり、その外観を歴史から見つけ出したのである。オリジナルのカレンダー オート オリエントはデイト表示の付いた自動巻き時計であった。国産ではまだ数が少なかった自動巻き機構はその後、オリエントスターのチャレンジ精神を支える機構のひとつとして今日まで受け継がれている。2ndエディションのタフな外装には、オリエントスターの歴代開発陣のタフなチャレンジ精神が宿る。

オリエントスター ダイバー1964 2ndエディション

Ref.RK-AU0602E 15万4000円(税込)

基本デザインはブラックと同じだが、印象はかなり異なる。グリーングラデーションは、ナチュラル志向が高まるファッションのトレンドにも合う。その色味はいくつも試され、理想を追求した。SSケース。ケース径41mm×ケース厚14.5mm(全長49.6mm)。200m防水。自動巻き Cal.F6N47:22石、2万1600振動/時、約50時間パワーリザーブ。オリエントスター公式オンラインストアwith ORIENT STARにて販売

 ダイバー1964 2ndエディションに潜むチャレンジ精神は、岩手県にある鍾乳洞「龍泉洞」の地底湖を命懸けで調査・保護する潜水調査ダイバーの精神性と共鳴した。日本三大鍾乳洞のひとつに数えられる龍泉洞の総延長は5000m以上にも及び、内部には8つの地底湖が発見されている。2ndエディションにラインナップされるグリーングラデーションダイヤルの色味は、清らかな湧水を湛え、世界有数の透明度を誇る地底湖の光輝く水中をイメージした。その調査隊の総指揮を2009年から執るダイバーの久保彰良氏は「龍泉洞の地底湖は言葉を失うほど素晴らしく、類例がないほど美しい」と、ずっと魅せられ続けてきたという。その美しさを、2ndエディションのダイヤルは写している。さらにミラー仕上げのブラックは地底湖のしっとりとした闇にも似る。

 「ダイバーズウォッチは、ダイバーにとって水中で生存可能な時間、言い換えると、携行した呼吸ガス量の限界を正確に把握できる正確さと同時に高い耐水性が求められます。先日初めて身につけた2ndエディションは、シックな表情でありながら、頼もしいバディになるだろうと期待させる存在でした」

 閉鎖的な地底湖の潜水調査では、海とはまた異なる危険を伴う。久保氏は自分のなかに恐怖心があることを素直に認め、その恐怖心を抱える自分を徹底して客観視して、想定される限り安全で合理的な計画、必要十分でよく整備された装備、そして、これまでの経験と鍛錬に自信を見出すことで、これまでの調査を成功に導いてきた。そんな久保氏は精神的なタフさとは「忍耐と一貫性に裏打ちされた優しさ、あるいは包容力だと考えます」と語る。2ndエディションは1964年から一貫して研鑽してきた精巧な自動巻きムーブメントを、当時のレトロで優し気な外観に包み込み、200m防水を実現。精神的なタフさをひっそりと、だが確実にその身に宿す。

 さまざまな状況で世界が変わろうとしている今、人にはタフな精神が求められる。そして同時に、心のゆとりも一層重要視されるようになってきた。そんな時代にタフでレトロなダイバー1964 2ndエディションは、まさにマッチする。新たな時代の時を刻むのは、自社製の自動巻きムーブメント。定期的なメンテナンスをすれば、長く使える機械式時計はSDGsを推進する時代性にも合う。ブラックミラー仕上げの輝きやグリーングラデーションの美しさは、明るい時代の到来を予感させる。ダイバー1964 2ndエディションは今を生き、未来を開く人たちの腕にこそふさわしい。

Photos:Tetsuya Niikura(SIGNO) Styled:Eiji Ishikawa(TRS) Words:Norio Takagi Special Thanks:Akiyoshi Kubo, Ryusendo Cave Office