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Introducing 星団すばるの“掩蔽”現象をグレーグラデーションで表したオリエントスター M45 F7 メカニカルムーンフェイズ

すばると月の重なりによる“影”を表現したモデルだが、その細部においては光が強く意識されている。


クイック解説

オリエントスターはM45 F7 メカニカルムーンフェイズにおいて、印象的なグレーグラデーションをダイヤルにあしらったRK-AY0122N(オリエント公式オンラインストア限定)、RK-AY0123N(プレステージショップ限定、コードバンの替えバンド付き)を2024年6月27日(木)に投入することを発表した。M45は2023年にオリエントスターで新設された“Mコレクションズ”のなかのいちコレクションで、ブランドが長年継承してきた伸びやかなラグやリーフ針を備えたクラシックな顔立ちを特徴としている。なお、M45はおうし座の散開星団すばる(プレアデス)の別名でもあり、2023年4月には神秘的な星団すばるの姿をブルーグラデーションダイヤルで表現したモデルで話題を呼んだ。同作は12時位置のパワーリザーブ、6時位置のデイト表示付きムーンフェイズなど従来のM45 F7 メカニカルムーンフェイズの特徴は押さえながら、手の込んだグラデーションダイヤルを生かすように、9時位置のオープンハートやミニッツトラックまで排除された非常にフラットな顔立ちに仕上げられていた。そしてそのデザインは、今回のグレーグラデーションダイヤルの新作にも踏襲されている。

 新作RK-AY0122NとRK-AY0123Nはともに、2023年のブルーグラデーションモデルと同じく星団すばるをテーマとしている。だが、今回モチーフとしたのは月とすばるが重なる掩蔽(えんぺい)という現象だという。掩蔽は月やすばるに限らず天体が別の天体を覆う現象を指す(特に月によるものを星食という)もので、南の空にひときわ明るく青く輝く星団すばるが月によって少しずつ隠れて暗くなっていく様子はさぞ見応えがあるだろう。ブルーグラデーションモデルがダイヤル全体で“光”を強調していたのに対して、今作は対象的に“影”を表現しているのだ。それを示すかのように、3時位置のブランドロゴ、ムーンフェイズの月はモノトーンであしらわれている。プリントで施されたインデックスもブラックで統一されていて、写真のうえではダイヤルに馴染んでいるように見える。

 なお、星団すばるのきらめきを表現するべく、今回のグレーグラデーションモデルにもブルーモデルのときと同様に高度な技術が用いられた。まずは、無数に散らばる星々を型打ち模様によってダイヤル表面に刻印。そのうえで、独自に調合された塗料を、専用の機器で色の濃さを調整しながらグラデーションになるように塗布している。さらに、その塗装面に分厚く透明な層を作り出すラッピング塗装を施すことで、吸い込まれるような宇宙の広がりと星の輝きをダイヤル上に表現している。

 ケースは既存のムーンフェイズモデルと変わらず直径41mm、厚さ13.8mmで、全体にブラックメッキが施されている。ムーブメントは50時間以上のパワーリザーブを備えた自社製のCal.F7M65で、スケルトンバックからその姿を確認することが可能だ。RK-AY0122N、RK-AY0123Nともに時計本体そのものは同じだが、プレステージショップ限定となるRK-AY0123Nにはコードバン製の替えバンドが付属。価格は前者が33万円(税込)の60本限定で、後者が34万1000円(税込)の140本限定となっている。わずか1万円ほどの差額で使い勝手のいい20mm幅のコードバン製替えバンドが付いてくるというのは、個人的にかなりお得だと思ってしまうがいかがだろう?


ファースト・インプレッション

実際に光の下で手に取ってみると分かるが、写真で見る以上に判読性はしっかり確保されている。針、インデックス、ダイヤルをワントーンで揃えた時計では、時刻を読み取るのにしばしば苦労することがある。だが、新作M45 F7 メカニカルムーンフェイズでは、セイコーエプソンならではの高いプリント技術と細部の仕上げによってこの問題をクリアしているのだ。

 ブラックのローマンインデックスは、複数回に分けて行われる重ね印刷によって施されている。文字の細い箇所はプリントで潰れないように隙間を空けるなどの細かい調整が重ねられ、グレーのダイヤルから浮かび上がるような陰影を持つ立体的なインデックスが生み出された。ダイヤルのふちにあしらわれた、輝く星を思わせるシルバーのドットも視認性の向上にひと役買っている。そして、そのインデックスを指し示す針にもひと手間加えられている。グレーのメッキが施されたリーフ針は左右で鏡面と筋目に磨き分けられ、光を受けることでその存在をひときわ強く主張する。今回の新作では星団すばるの“影”が表現されたようだと上で述べたが、細部のあしらいによって逆に光を感じられるデザインに仕上がっているようにも思えた。こと判読性においては、2023年のブルーグラデーションモデルよりも優れているように見える。

 もちろん、この時計における主役は、複雑な製造工程によって仕上げられたグレーグラデーションダイヤルである。ブラックメッキのケースも夜空を思わせ、ダイヤル上に緻密な型打ちで表された星々は手首のうえで美しく輝く。だが、そんなコンセプチュアルなデザインのなかに時計としての機能美も同居させるバランス感、技術力は素直に素晴らしいと思う。同タイミングでリリースされたM34 F8 デイトに見られるように、セイコーエプソンとしてのダイヤル表現の幅は拡大の一途を辿っている。もしかしたらまた来年になるかもしれないが、今度は星団すばるをテーマにどのような顔に仕上げてくるのだろう。個人的には秋の田沢湖をテーマとしたM45 F7のような色合いで、夕景に浮かび上がってくる星団すばるなんていうのもロマンチックでいいと思うのだが……、その答え合わせができる日を楽しみにしておこうと思う。


基本情報

ブランド: オリエントスター(Orient Star)
モデル名: M45 F7 メカニカルムーンフェイズ(F45 F7 Mechanical Moon Phase)
型番: RK-AY0122N、RK-AY0123N(コードバン製替えベルト付き)

直径: 41mm
ラグからラグまで: 49mm
厚さ: 13.8mm
ケース素材: ステンレススティール(SUS316L)、黒色メッキ
文字盤色: グレーグラデーション
インデックス: プリント、ローマンインデックス
夜光: なし
防水性能: 5気圧
ストラップ/ブレスレット: プッシュ三つ折式クラスプ付きワニ革ストラップ、RK-AY0123Nはコードバン製替えバンドも付属


ムーブメント情報

キャリバー: F7M65
機能: 時・分・秒表示、12時位置にパワーリザーブインジケーター、デイト表示とムーンフェイズ
パワーリザーブ: 50時間以上
巻き上げ方式: 自動巻き(手巻き付き)
振動数: 2万1600振動/時
石数: 22
追加情報: 秒針停止機能付き


価格 & 発売時期

価格: 税込33万円(RK-AY0122N)、税込34万1000円(RK-AY0123N)
発売時期: 2024年6月27日(木)
限定: RK-AY0122Nはオリエント公式オンラインストア限定60本、RK-AY0123Nはプレステージショップ限定140本

詳細は、オリエントスター公式Webサイトをクリック。