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昨年の春以来、モナコ・レジェンド・グループのオークションに参加して一番よかったのは、コミュニティと希少な時計への愛を共有することだった。天気もいいし、ほとんどの時間は室内で時計を見て過ごしているので、私が見た素晴らしい時計に焦点を当ててはどうだろうか。
モンテカルロのルメリディアン・ビーチプラザにある、オークション会場のバルコニーからの眺め。
モンテカルロの会場は、私が参加した過去のオークションと大きく変わらなかった。オークション会場のルメリディアン・ビーチプラザホテルでは2日間のプレビューが行われ、時計を実際に触ってみる時間がたっぷりと与えられた。オークションの参加者は全員、オークションの休憩時間に無料の軽食とランチビュッフェを食べることができた。友人、顧客、ディーラー、ゲストはプレビューのあとに友人たちと夕食をともにしたり、今年はオークションの終了を祝うためにあるディナーに出席した。モナコ・レジェンド・グループはほかの大手オークションハウスとは異なる週末に開催するため、参加者全員がここでのオークション週末に集中しやすくなる。その代わりに新規の買い手も古い友人も皆、VIP待遇を受けているように感じている。たとえそれが全員に対して同じであっても。
最大の時計コレクターのひとりが手にしているのは、ハンジャルサインの入ったパテック Ref.3700 ノーチラスだ。彼はプレビューで私の前でそれを手に取り、“これは私の時計だ”と言って、その時計を購入する強い興味を示した。
今回は、少し違ったアプローチを試みることにした。オークションシーンの主役のほとんどは以前と変わらないが、サプライズゲストが何本かあったため、ポートレートを撮るのではなく、時計に焦点をより強く当てた。毎日、完全な写真レポートを作るのに十分な数の時計を撮影しただろうか、と考えた。そしてこの物語をまとめ始めたとき、会場で200本以上の珍しくて楽しくておもしろい時計を公開してもまだ余裕があることに気づいた。また、クロノグラフ、カルティエ、ワールドタイマーなど、時計のセクションに“テーマ”を設定してみた。ある時計グループが好みでなかったら、次のグループに簡単にジャンプできる。ただしこの長いPhoto Reportには、多くの隠れた逸品があるので、楽しんでいただければと思う。
アダム・ビクター(Adam Victor)氏は木曜日のプレビューでたくさんのものを見ていた。
ロベルト・カーソ(Roberto Caso)氏が身につけているものは、(時にはマイナーな)ヴィンテージを愛好する彼にしては意外なものだった。それはカルティエでもピアジェでもパテックでもない。しかし、初期のリシャール・ミルはなかなか見ごたえがある。
伝統の一環として、チームはなぜかホテルの2階にクルマを置くことにした。なぜか?
オースチン・ヒーレー 3000、偉大なる“ビッグヒーレー”のひとつ。
木曜日、オークションのプレビューでコレクターやディーラーと話すダビデ・パルメジャーニ(Davide Parmegiani)氏。
ダビデ・パルメジャーニ市にとってごく普通の“木曜日用”の時計、1961年のバーゼルフェアのためにつくられたユニークパテックである。
マックス・ベルナルディーニ(Max Bernardini)氏が着用しているのは、素晴らしいカルティエのサイン入りパテック。
スティール製のヴァシュロン 222を研究するジェフ・ハリス(Jeff Harris)氏。
パテック Ref.2497のイエロー、ホワイト(3本のみ)、ローズゴールドのセットはいかが? これは友人のデイブのもので、彼は友人にプラチナ製の2点のうちの1点を持って来てもらおうと試みたが、代わりに3点で十分だった。
20万ユーロ(日本円で約3350万円)で落札されたロレックスGMTマスター Ref.6542。
ジュリオ・フラティーニ(Giulio Fratini)氏が、彼の家族のロレックス Ref.4113を身につけている様子である。これは、既存の9本の時計で現れる、よく知られた違いを比較するいい機会であった。
モナコにはいつもポール・ニューマン デイトナがいるが、毎回バラエティに富んでいるのが楽しい。
これが多様性である。まだヴィンテージだが、まったく異なるものである。
ロレックス Ref.8171 “パデローン”は決して古びない。
このパテック Ref.5935Aは、5164Aがなくなったいま、パテックの新たな羨望のトラベルウォッチとなるかもしれない。
左にいるアレッシオ・ゼンガ(Alessio Zenga)氏、ロベルト・カーソ氏、そして右前にいるファブリツィオ・カーソ(Fabrizio Caso)氏が、販売予定の時計について話し合っている。
アレッシオ・ゼンガ氏が素晴らしいトリオを持ってきた。2本のパテックと、おそらく私が見たなかで最も優れたオーデマ ピゲ クロノグラフだ。ソマッツィのサインが入ったパテック 2570は見事であり、2597の3針トラベルタイムも信じられないほど素晴らしかった。
ホールマークをチェック。
個人所有の1526(左)と、最終的に61万ユーロ(日本円で約1億210万円)で落札されたものを比較するコレクター。
このオーデマ ピゲ QPを着用している手首に、見覚えのある人はいるだろうか?
息子さんの腕にこの時計はいかが?
これが手がかりになるかもしれない。
ジャン-クロード・ビバー(Jean-Claude Biver)氏と息子のピエール(Pierre)氏、そして妻のサンドラ(Sandra)氏。
ムアンマル・カッザーフィー(Muammar Gaddafi)のためにつくられたパテック フィリップ。
オークションに出品された、素晴らしいYG製ロレックス 6062。
アウロ・モンタナーリ氏(ペンネームのジョン・ゴールドバーガーとしても知られている)と、ジャン-クロード・ビバー氏はすぐに話を合わせた。
アンドレア・パルミジャーニ(Andrea Parmigiani)氏とピエール・ビバー氏も同様だった。
さて、時計の話に戻ろう。サシャ・ダビドフ(Sacha Davidoff)氏は非常に特徴的なスピードマスターを着用していた。
エベルのエル・プリメロ。
一体型ブレスレット
ここで質問。パテック 5712はRGのほうがいいだろうか?
それともSSの5712?
一体型ブレスレットのテーマに沿って、こちらはブルガリ オクト フィニッシモ 妹島和世 限定モデル。
そしてもうひとつ、ブルガリのオクト フィニッシモ。
もう一方のピアジェ ポロ。
そしてロレックスのキングマイダス。
出回っているのを見るのを1年間待ちわびた珍しい時計である、オーデマ ピゲの16202BC、“トスカーナ”ジャンボ ロイヤル オークのWGモデル。
ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダーを装着したアンドレア・パルミジャーニ氏。
ユニバーサル・ジュネーブ ポールルーター・デリュクス・キング・サウード。
私が参加したオークションのなかでは、ダントツに満員だった。
クロード・コーエン(Claude Cohen)氏が司会者を務めた。私は実際にいくつかのロットに入札したが、結局手ぶらで帰宅した。
会場にいる利点は、クラフト+テイラードのキャメロン・バーとタイラー・ヴァネス(Tyler Vanes)氏のような友人と会い、興味があるロットについて話し合うことである。キャメロン氏は私が入札予定だったこのロットについて私に確認したが、彼らがそれにもっと高く入札する予定だと聞いて、私は撤退し、彼らにこのロットを持ち帰らせた。
キャメロン氏はごく初期のフランク・ミュラーを着用していた。
タイラー氏はロレックスのGMTマスターを着用。
クロノグラフ
ダブルのゴールドデイトナは、私がオークションで見たクロノグラフセレクションを始めるのにふさわしい。
ポール・ニューマン デイトナは過去に比べると少なかったが、その代わりバラエティに富んでいた。
ロレックス アンチマグネティック。
ブレゲ数字をあしらったモバード タスティトンディスタイルが欲しかったのだが、それらは非常に見つけにくく、かつとても高価である。
会場にはロレックス ゼログラフがあり、同時にセンターグラフがオークションにかけられていた。
これまで実物を見たことがなく、技術的にはロレックスのなかにしか存在しないと思われていた時計だが、この場合は文字盤と時計が再会したものである。これはロレックス デイトナの“テストダイヤル”であり、実際に製造される文字盤をケーシングする前に、時計のテストの一環として(COSCプロセスの一環として)シンガー社がロレックスのために製造したものである。
ロレックス Ref.6234。
ロレックス タイガーデイトナ。
とてもきれいなロレックス Ref.4768。
もうひとつの、非常にクリーンなブレゲ クロノグラフ。
コーエン氏は、入札中に吠えていた犬について冗談を言うなど、オークションの運営を大いに楽しんだ。また179万6000ユーロ(日本円で約3億円)で落札されたセグレイブ パテックのスプリットセコンドのような重要な時計を売っているときには、笑顔になるのも難しくない。
イタリアン・ウォッチ・スポッターのクルーが、この素晴らしいカルティエ サントス デュモン ラッカーダイヤルを着用して登場した。
シェイプウォッチ
ファブリツィオ・カーソ氏が着用しているのは、ダイヤモンドインデックスの素晴らしいパテック Ref.3619の2タイムゾーンモデル。
週末の後半、ファブリツィオ氏はこのギヨシェ文字盤のカルティエ ベニュワール アロンジェを着用していた。
スケルトナイズされたタンク アシメトリック。
2005年製、プラチナ製、アラビア数字文字盤のカルティエ CPCP サントレ。
ベルンハルト・ブラング(Bernhard Bulang)氏がブレスレット付きのヴィンテージヴァシュロン プレステージを着用している。
デイデイト
デイデイトは、売り手の観点からもコレクターの観点からも、ヴィンテージウォッチのシーンに欠かせないものであり続けている。これはセルピコ・イ・ライノの初期のものである。
ドイツカレンダーのラピス文字盤。
プラチナのRef.1804、“ターコイズステラ”(アムステルダム・ヴィンテージ)。
WGのロレックス レインボー デイデイトを着用しているクリスチャン・トネット(Christian Tonetto)氏。
ラピス文字盤のWG製Ref.18039を着用したタリク・マリク(Tariq Malik)氏。
プラチナ製のアラビア文字盤 Ref.1804。
そして最後に、ジェフ・ハリス(Jeff Harris)氏の手首に巻かれたグリーンブラッドストーンのデイデイト。
パテック ワールドタイム
このテーマに沿って、パテックの1415 HUを含む3本の華やかなワールドタイムウォッチを紹介したい。
ほぼ間違いなく見たことのない時計であるのが、トーマス(Instagramでは@Minutes de Voyagesとして知られている)氏の腕にある“プロトタイプ”ダイヤルのパテック フィリップ Ref.5110Gだ。思い起こせば、サザビーズは昨年、パテックの時計職人から来たこれらのプロトタイプダイヤルのひとつを売却し、それは非常にモノトーンなホワイトダイヤルであった。トーマス氏はホワイトダイヤルが販売される前に、同じ時計職人からこの文字盤を譲り受けた。
ダビデ・パルメジャーニ氏は毎日異なる時計を身につけていたが、ある日にはこのパテック Ref.1415 HU ユーラシアクロワゾネダイヤルをつけてきた。
アダム・ビクター氏もクロワゾネが大好きだ。
エナメルではないが、こちらも楽しくてカラフルなエスカ サンモルティス。
多くのオメガファンが、前回のPhoto Reportでもっと多くのオメガを見たがっていたことは知っているが、残念ながら、この週末を通して私が見たオメガは、このツートンカラーのスピードマスターだけだった。
オークションの最中なので、時計はまだ会場の奥に置いてあり、じっくりと見て買いたいものを選ぶことができる。
いつものように時計技師が常駐しており、詳しく見る必要のある時計は開けてくれる。
ホワイトパテック
すでに紹介したが、素晴らしいホワイトパテックセクションを始めるのに、この3例しかないオリジナルブレスレット付きの2497Gは最適だと思った。
ダビデ・パルメジャーニ氏が手にしていた、プラチナ製 Ref.2442 “マリリン・モンロー”、3本のうちの1本。
一方で、SS製のパテック懐中時計もあった。
ホワイトメタルではわかりにくいが、これは3970Pだ。
再び、クリスチャン・トネット氏の5041G。
サファイアセットのベゼル、サファイアインデックス、プラチナケースを備えたパテック ノーチラス 5711/111P-001。
1928年にユーゴスラビア国王アレクサンドル1世のために特別注文されたパテックの懐中時計は、モナコのオークションにて9万1000ユーロ(日本円で約1525万円)で落札され、現在は新しい所有者の手元にある。
クレイジーなレアハンドクラフトのなかには、そう、希少なものもある。
これはここ数十年で最も重要なコレクターのひとりの手首であり、彼の名前を紹介することはできないが、彼の時計は見たことがあるだろう。彼がファーストシリーズのパテック 3940を持っていることがわかる。
似たような時計で、もう少し“ソース”がある。WGのパテック 3974G ミニッツリピーターだ。
1938年製のパテック Ref.530 SSモデル。ダビデ・パルメジャーニ氏の手首に巻かれている。
小さなもの、形のあるもの、そして創造的なもの
フィリップスのジャクリン・リー(Jaclyn Li)氏も出席。サファイアインデックスとヴァルザー・ヴァルド(Walser Wald)のサインが入った、プラチナとゴールド製パテックを身につけていた。
スルジャン・ステヴィッチ(Srdjan Stevic)氏と、彼のカルティエ ヘルム&ヴィンテージネックレス。
WGのカルティエ ベニュワール。
フランチェスカ・モンタナーリ(Francesca Montanari)氏が身につけているのは、とブエッシュ・ジロッドの時計と、ギュブランブレスレットのシークレットウォッチ。
現在のカルティエ ペブル。
珍しいベゼルを備えたオイスターパーペチュアルと、カルティエが製造した1913年製サントス デュモンに、ドライサーのサインが入ったモデル。
リフレではなく、ブシュロン。
私がオークションで見た中で、おそらく最も魅惑的でクリエイティブな時計は、RGにマザー オブ パールダイヤル、グリーンカボション、RGの文字盤をあしらったこの特別注文のカルティエ クラッシュだ。光のなかで踊り、瞬く間に多くの注目を集めた。
クロシュ ドゥ カルティエ。
小さなチューダーとカルティエの101があれば、3つのタイムゾーンを把握することができる。
ヴィンテージのカルティエ ノルマル エクストラプレート(極薄)。
タンク シノワーズ アロンジェ。
アムステルダム・ヴィンテージウォッチのジャスパー(Jasper)氏に渡った、唯一無二のWG製カルティエ シャイヒ。
ベスト・オブ・ザ・ベスト(残り)
オークションが終わりに近づいてきたので(Photo Reportも終わりに近づいている)、私が見た最高の時計のなかからお気に入りのいくつかとして、私の心を揺さぶったもの、あるいは笑顔にさせたものを紹介したいと思う。
GMT愛好家として、このロレックスのRef.6542 YGモデルは、私の心を躍らせた。
一方、ジョン・プレイヤー・スペシャルは、私がデイトナのなかで最も好きなバリエーションだ。レモン好きは私に喧嘩を売ればいい。
RGのRef.8171は、すでにレアな時計に素敵なひねりを加えている。この時計のオーナーは、オークションでYGの8171を手に入れた。なぜひとつの金属にこだわっているのだろう。
Res Servandaeとして、匿名でInstagramにコレクションを公開している同じ家族が、このパテックのピンク・オン・ピンク Ref.1526も持ってきた。
アンドレア・パルメジャーニ氏は週末中ずっと、5本ある“オヴィッツ・エディション”のうち1本のRef.3970ER-028を着用していた。
RG製ランゲ1 ムーンフェイズは、非常に珍しいウェレンドルフ社製ブレスレットに装着されていた。
赤サブはいつも目立つ。
パテック Ref.1518は期待を裏切らないが、サイクロプスレンズ付きはさらに希少である。
Res Servandaeからもう一度、この週末で最も珍しいダブルリスティングを紹介。
ティファニーの刻印とHOXのムーブメントを搭載したこの時計は、私が思っていたものとはちょっと違っていたが逆にカッコよかった。
スクリューバックを備えたこのパテック Ref.2438は、50本あるYG製のうちの1本であり、さらにティファニーのサインが入った唯一のものである。
それはツートンダイヤルを持つRef.1463であった。
その言葉どおり、このハンジャル刻印のノーチラス Ref.3700は、木曜日にそれを主張した同じ男の手首にあった。
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