Watches&Wonders 2024に特別な準備は必要ない。会場に赴き、参加することに意義がある。そこは時計の“聖地”で、時計にまつわるものやことに情熱を燃やす人々に囲まれている。HODINKEEの同僚や新しくできた時計界隈の友人とともに行動することで絶えずインスピレーションを受け、今後の展開に胸が高鳴る。
会期の1週間をとおして、私たちは周囲の人ごみや、その手首に何があるのかに常に目を光らせていた。そこで私たちは、興味深い時計を、ときに思いがけない方法で身につけている人々を目にした。それらはヘッドラインやまっとうな業界ニュースと同じくらい、時計収集の現状を物語るものだ。この奔放で素晴らしい趣味のなかで人々がどのように振る舞い、交流しているかは、それぞれのブランドがどのような動向を見せているのかと同じくらい重要なことだ。もしかしたら、今後ブランドがどの方向に進んでいくかのヒントにさえなるかもしれない。
そして、この時期では恒例となっているように、私たちはWatches&Wonders 2024(そしてその他)の様子や人々のスタイル、光景を写真に収めながら会場を回った。私とマーク・カウズラリッチの写真で、私たちが1年で最も好きな1週間を追体験していただければ幸いだ。
ジュネーブに降り立ったベンとマークが最初にしたことは、レジェップ・レジェピ(Rexhep Rexhepi)氏その人を訪ねることだった。その1週間前まで、表の看板には“Akrivia”と書かれていた。
レジェップ・レジェピ氏本人だ。
10本限定の新作、クロノメーター コンテンポラン II。ローズゴールドのケースにルビーのインデックス。
その後、ベンとマークは世界で一番美味しいかもしれないお菓子が出る、レジェップとウルベルク主催のコレクターズブランチに出かけた。
マークはお気に入りの時計のひとつ、クールなブレスレットを装着したウルベルクUR-100Vを目にすることができた。
ブロンズ製のUR-100V T-Rex。
ウルベルク UR-103.03。クレイジーなティラピアストラップ付き。
パーティで見られたのはレジェップとウルベルクばかりではなかった。こちらはミニッツリピーターとカセドラル・ゴングを備えた素晴らしいパテック フィリップ 5178G 。
トゥールビヨンのトリオはいかがだろう? パテック フィリップ 5101、アクリヴィア トゥールビヨン・クロノグラフ・モノプッシャー、A.ランゲ&ゾーネ “プール・ル・メリット”。
アクリヴィア トゥールビヨン・クロノグラフ・モノプッシャーをもう1本。
ローラン・フェリエのなかでも異彩を放つ、唯一のタンタル製。
ダイヤモンドインデックスを備えた10本限定のレジェップ・レジェピ クロノメーター コンテンポランIIのうちの1本(そして、その場に2本あったうちの1本でもある)。
その後、マークとベンはランゲに向かった。ベンはA.ランゲ&ゾーネのCEOであるヴィルヘルム・シュミット(Wilhelm Schmid)氏との動画撮影の前に“メイク直し”をし、マークはその2日後に発売されるランゲのリリースを撮影させてもらった。
ランゲのダトグラフにおける歴代の主要モデル(ただ、文字盤と金属の組み合わせには多くの欠落がある)。これについては、近いうちに詳しく紹介する予定だ。
HODINKEEの卒業生であるステファン・プルヴィレント(Stephen Pulvirent)との再会。
例年どおり、パテックのブースはこの展示会場でひときわ輝いていた。
パテック フィリップはすべてのキャリバーを展示していた。
こちらは、409個のバゲットカットダイヤモンド(31.35カラット)を備えたRef.6300 グランドマスター・チャイム。マークが数えてくれた。
ダイヤがうるさすぎるというのであれば、もっとシンプルなRef.6002R スカイムーン・トゥールビヨンを。
カジュアルといえば、マテリアル・グッドのヨニ・ベン・イェフダ(Yoni Ben-Yehuda)氏だ。
そして、タイと腕時計の組み合わせも非常に適切だ。
ベンとヨニ氏は、単にマークが1枚目の写真を撮り損ねたからといってセルフィーを撮っているわけではない。
『GQ』のカム・ウルフ(Cam Wolf)氏がオリジナルのスヌーピーウォッチを着用していた。
ブルースーツとパテック フィリップ 5905Rは、グリュイエールチーズとエメンタールチーズのように相性がいい。
スカイラー・ニールセン=ソレンセン(Skyler Nielsen-Sorensen)が彼の祖父のハミルトン リッチモンドを見せてくれた。
1937年製!
世界でもっとも軽い時計のひとつ、ベーレンスのウルトラライト20G。
あのローラン・フェリエ(Laurent Ferrier)氏である。
ローラン・フェリエがOnly Watch 2023のために製作したスポーツ・オート(現在は2024年に開催延期)。
コレクターのアウロ・モンタナーリ(Auro Montanari 、またの名をジョン・ゴールドバーガー)とブルガリオルロジュリーのプロダクト・クリエーション・エグゼクティブ・ディレクターであるファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ(Fabrizio Buonamassa Stigliani)氏。
スターリングシルバーのラルフ ローレン アメリカン・ウェスタン ウォッチを着用するモンタナーリ氏。
ボナマッサ・スティリアーニ氏はブルガリの新作、オクト フィニッシモ スケッチを身にまとっていた。
モンタナーリ氏はこの1929年のプラチナ製カルティエ モノプッシャー・クロノグラフも所有していた。これについては近日中に紹介する。
HODINKEEチームは、IWCシャフハウゼンのCEOであるクリストフ・グランジェ・ヘア(Chris Grainger-Herr)氏と会い、新作を見学した。そこにはゴールドバーガー氏も同行していた。
ランゲは毎年、新作を巨大なクロックとして展示しているのだが、今回このダトグラフ・パーペチュアル・トゥールビヨン・ルーメンで初めてクロノグラフが動くさまを見られた。毎正時になると照明が暗くなり、時計が観客のためにライトアップされる。
コレクターであり、HODINKEEの長い友人でもあるエリック・クー(Eric Ku)氏。
クー氏の1960年代にカルティエ ロンドンから発表されたホワイトゴールド製のタンク サントレ。アイコニックなロンドンスタイルの文字盤が特徴的だ。
ロイ氏とサシャ氏のダビドフブラザーズは相変わらずパワフルだったが、今回はいつも以上に息が合っていた。
彼らは、ルミナスブルー文字盤とプラチナケースを備えたカルティエ タンク サントレのスペシャルオーダー品の4本のうち2本を所有していた。1929年にカルティエ パリからリリースされたプラチナ製タンク サントレ(ヨーロピアン・ウォッチ・カンパニー製ムーブメント搭載)をベースとしているが、1990年代にコレクターのジョルジオ・セラニョーリ(Giorgio Seragnoli)氏によって文字盤が交換されている。
ヴァシュロン・コンスタンタンには、世界でもっとも複雑な時計である新作、ザ・バークレー・グランドコンプリケーションをひと目見ようと大勢の人が集まった。
HODINKEE Japanの和田将治。
彼がつけていた日本の独立系ブランド、大塚ローテックの7.5号とNaoya Hida & Co.のType 4A-1。
Tジェームス・コング(James Kong、@Waitlisted)氏の手首に巻かれていたフレミングの新作、タンタル製のシリーズ1。
展示会でローブ姿の男を見かけたら、あなたも間違いなく立ち止まって何をつけているのか尋ねると思う。
もちろん、丁重にね。
マークが見かけたのは、まさかのG-SHOCK、エド・シーランモデルだった。
マークはフランソワ・ポール・ジュルヌ(François-Paul Journe)氏と彼の新作を見るために、モントル ジュルヌに立ち寄った(素晴らしいジャケットはあくまでついでだ)。
フランソワ・ポール・ジュルヌ氏私物のエレガント。
マークはまた、カリ・ヴティライネン(Kari Voutilainen)氏に会うためにACHIの独立時計師のための場外イベントにも立ち寄った。
カリ氏はマークに20周年記念のトゥールビヨンモデルを見せた。この時計については、次回の記事で詳しく紹介する予定だ。
1815に搭載されるフライバック・クロノグラフムーブメントを組み立てる、A.ランゲ&ゾーネの複雑時計部門責任者、パトリック・リッチェル(Patrick Ritschel)氏。複雑な作業であることは言うまでもないが、リッチェル氏は観客を前にしながらこの作業を行ったのである。
おそらく市場でもっとも美しいクロノグラフのひとつであろう、同型のクロノグラフウォッチを着用するリッチェル氏。
知る人ぞ知る“マイケル・ジョーダン”モデル。A.ランゲ&ゾーネのブースに展示された、第1世代の文字盤とウェレンドルフの純正プラチナブレスレットを備えた初代ダトグラフ。
グラスヒュッテブランドから、ラブ&ピース カラーの新作を紹介しよう。
そしてノモス新色のKatzengold。
カルティエの周辺は(圧倒的に面積が広かったので)いつ行っても大混雑だった。
Breloque.tvの面々に偶然会った。この1週間、ずっと大量のゴールド(ウォッチ)を身につけたまま歩き回っていたので、さぞかし疲れていたのだろうと思う。
もちろん冗談だ! 彼は本当に会場で眠っていたわけじゃない。
アブドゥル・ハミード・セディキ(Abdul Hamied Seddiqi)氏、セディキ・ホールディング会長。
RLXチタン製のロレックス ヨットマスターとF.P.ジュルヌのエレガント。
ヴァン クリーフ&アーペルのブースは、例によって今回のショーでもっとも興味深かった。
その見どころは、ブースのなかだけにとどまらない。
ヴァン クリーフ&アーペルのフェアリーがパレクスポの会場に紛れ込んでいた。
マークとトニーがパルミジャーニ・フルリエのブースに到着。マークは片隅にさりげなく置かれていたテンプス・フギのオートマタを見て驚いていた。
モナコ・レジェンド・グループのオークションハウスから、アンドレア・パルメジャーニ(Andrea Parmegiani)とダヴィデ・パルメジャーニ(Davide Parmegiani)を紹介しよう。
アンドレア氏がつけていたヴィンテージ ビュッケ ジロのマキシオーバル。
ダヴィデ氏のロレックス GMTマスター II Ref.1675。
モニカ・パルメジャーニ(Monica Parmegiani)氏とカルロッタ・パルメジャーニ(Carlotta Parmegiani)氏。
お揃いのヴィンテージ ブルガリ セルペンティ トゥボガス。
クールなヴィンテージ ロンジン。
イタリアはミラノで長い歴史を持つ家族経営の小売店、ヴェルガ1947のフェデリコ・ヴェルガ(Federico Verga)氏。
ヴェルガ氏のパテック フィリップ アニュアルカレンダー クロノグラフ Ref.5960/1A-001。
クリスチャン・ハーゲン(Kristian Haagen)氏。
そして彼の手首の上には美しくパティーナした……、そう、ロレックスだ。
パヴェダイヤモンド文字盤のロレックス ヨットマスター。
ユリス・ナルダンでは、ギヨシェ彫りの実演が行われた。この技法は、同ブランドの超未来的な新作、フリークS ノマドに採用されたものだ。
私はこの男性のジャケットを見て、彼がこのようなおもしろいファブリックに何を合わせるのか、すぐに確かめたくなった。
そう、グランドセイコーのSBGJ237だ!
セルペンティ × セルペンティ!
私がこの時計を初めて見たのは、2023年のル・マンでのことだった。RM 72-01を目にすることができる唯一の場所は、論理的に考えてやはりWatches&Wondersだろう。
W&W24の各ブースはそれ自体が見ものだった。信じられないかもしれないが、ブースに実物大のレーシングヨットを展示し、しかも宙吊りにしていたのはチューダーだけではなかった。そして3階(!)まで行くと、ボートを間近に見ることができ、どのように動いているのかを見ることができた。
目立つ格好をしている人もいれば、グッとカジュアルな出でたちの人々もいた。
これが本当のカジュアルだ! パテック フィリップ アクアノート クロノグラフ 5968G。
最近、私はストーンダイヤルに魅せられている。このマラカイトで飾られたピアジェのアンディ・ウォーホルが目に留まり、私は足を止めた。
こちらはゴールドウォッチの対極に位置するロレックス デイトナ Ref.116505。
パレクスポをぶらぶら歩いていたら、ブリン・ウォルナー(Brynn Wallner)氏と一緒にいるマライカ・クロフォードを偶然見つけた。ポーズをありがとう、マライカ! まだまだ続くぞ‼︎
私にとってのW&W24のハイライトは、グローネフェルトのブースに立ち寄り、バート・グローネフェルト(Bart Grönefeld)氏、そしてティム・グローネフェルト(Tim Grönefeld)氏と時間を過ごせたことだ。ここでバート氏はHODINKEEチームにグローノグラーフを見せてくれた。彼はクロノグラフ機能と、スムーズで減衰の少ないリセット機構を実演してくれ、見ているだけで驚かされた。
もう1隻の場違いなヨットは、パネライのブースにあった。
MB&F オロロジカル・マシン No.4 サンダーボルト。袖口にすっぽり。
もちろん、最新のムーンウォッチ、ミッション・トゥ・ムーンフェイズも目にした。
この男性は、アル・パチーノ(Al Pacino)がお気に入りの映画『ヒート(原題:Heat)』で同じような時計を着用していたことから、ブルガリのクロノグラフを愛用していると興奮気味に話してくれた。
グローネフェルト兄弟のもうひとり、ティム氏。
ティム氏は1969 デルタワークスを着用していた。
タグ・ホイヤーのモナコ。
ブルーのスーツにブルーの文字盤のマッチ。見逃すわけにはいかない!
タグ・ホイヤー アクアレーサー。
鮮やかなピンクのオーバーコートが決め手。
カルティエ ベニュワール XLのためにとどまり、撮影した。
フランク ミュラー ヴァンガード レーシング。スーツとの意外な組み合わせだったが、それだけに楽しいサプライズだった!
人々の頭上を鏡張りにしてどうすべきかを委ねると、彼らはどのようにそれを見るのだろう。この人物は、正攻法を取った。
まず、セーターが目に飛び込んできた。
しかしその後、このクリストフ・クラーレ アヴェンティクムの中心に映る自分の姿に気づいた。マルクス・アウレリウスの小さな胸像も飾られている。
上でも言ったように、まだまだ記事は終わらない。
私たちは、カルティエのサントスカレを愛用していることで意気投合した。
5本の指は何を伝えようとしているのか? どうやら、時間らしい。非常に珍しいF.P.ジュルヌのFFC。
ラバーストラップのヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズを、エレガントで流れるようなアンサンブルに合わせて。
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