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Hands-On ピアジェ アルティプラノ アルティメート・コンセプト 記録に残る腕時計

大丈夫、非常に薄い時計だ。

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※本記事は2018年1月に執筆された本国版の翻訳です。

ピアジェ アルティプラノ アルティメート・コンセプトは、その名の通り挑戦者を誘うものだが、彼らにとっては厳しい戦いになるかもしれない。少し前に世界最薄の機械式手巻き時計である本モデルをご紹介したが、今回のSIHHではついにこの時計を手にとる機会を得ることができた。ピアジェは(当然のことながら)試着用の手袋を着用していたため、リストショットを行うことはできなかったが、実際に見ただけでも驚きの連続だった。厚さ2mmの時計は毎日のように出回っているわけではなく、実際のところ、今まで一度も出回ったことはなかった。

The Piaget Ultimate Concept Watch, 2mm of undiluted horological ingenuity.

わずか2mmの精巧な時計製造技術の結晶である、ピアジェ アルティプラノ アルティメート・コンセプト。

 どんな見本市でも誰もが意見をもつような時計が常に何本かあるのだが、この時計はまさしくそれだ。私は、嫌悪感(この時計は行き止まりであり、いずれにしても実用的ではないという理由で)から純粋な賞賛に至るまで、様々聞いてきた。非現実的であるという批判は、あるレベルでは確かに公平だ。これは決して、一般的に流通している時計や時計製造の種類にはならないだろう。しかし、そのような批判は、やや的外れではないかと思う。500年以上の歴史の中で、時計製造は決して何か一つのことに「ついて」ではなかった。それは、不条理なほど実用的ではない機械式を目(と耳)で楽しむものから、精密なクロノメーターウォッチまで、その二つの間にある全てのものを生み出してきた。最近発表されたURWERK AMC(アトミック・マスター・クロック)プロジェクトのように、コンセプチュアル・アートの一形態としての時計製造であり、さらには、非常に多くの独創的なエンジニアリングも行われている。

ピアジェによる特許である、ウォームギアシステムを採用した巻き上げ・セッティング用のキーレスワーク。

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 ご紹介したように、アルティメート・コンセプトは、工学的な観点から見ても、極薄時計製造の特殊なアプローチを表している。そこに独立したムーブメントはない。その代わりに、従来の時計の文字盤となる平面とケースバックは、プレートとブリッジの機能を担い、輪列、伝達機構、巻き上げとセッティングのためのキーレスワークを全て所定の位置に保っている。

Mainspring barrel, Piaget Concept Ultra Thin

主ゼンマイのバレルには、従来の香箱やブリッジがない。

 私がこの時計を見たときに感じたのは、これほどにも視覚的な奥行き感があるのかのかということ。厚みがわずか2mmであるため、もっと二次元的に見えると思っていたのだ。しかし、全ての部品が見える状態になっているため、ある意味では従来の時計よりも奥行き感がある。また、ピアジェのアルティプラノ 900Pと比較して、レイアウトの違いにより、よりバランスのとれた外観になっている。凍てつくようなモダンさとは裏腹に、ある意味では伝統的な外観の時計でもある。

winding crown, Piaget Ultimate Concept

珍しい形をした巻き上げ用のリューズは、ミニッツスプリングクリップで固定されている。

Piaget Ultimate Concept Dial
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 コンセプトウォッチであるため、もちろん日常的な使用には対応していないし、もちろん日常に身に着ける時計として、どうなのだろうと思わずにはいられない。薄さの限界を超えた時計は、一般的に壊れやすいものであり、極薄の時計やムーブメントは、所有者にとっても時計師にとっても難しいものであることはよく知られている。
 例えば1970年代の極薄キャリバー「ジャン・ラサール」は、基本的に修理が不可能だった(記事「超薄型とは何か、なぜそれが重要なのか、そしてどのブランドがそれを最も得意としているのか(中編)」参照)。これらのキャリバーを使用した時計の修理は、一般的にムーブメントを交換するだけで済むし、コンコルドの信じられないほど薄いクォーツ時計「デリリウム」は、ストラップを強く締めすぎると曲がって止まってしまうほどだった。ピアジェがこれらの時計を限定販売するとしたら、たとえ限定シリーズであっても、所有者側にはある程度の慎重さが求められることは間違いないだろう。しかし、私はぜひとも試してみたいと思っている。

詳細は、ピアジェ公式サイトへ。