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Breaking News ラ・ショー・ド・フォンに竜巻が発生した可能性。地域に甚大な被害をもたらす

同地域ではひとりの死亡が報告され、セリタの工場も被害を受けた。

2023年7月24日月曜日、大規模な嵐がヌーシャテル山脈を襲い、ラ・ショー・ド・フォンに甚大な被害が発生した。現地時間の午前11時30分にこの地域を襲った嵐は、時速135マイル(約60m/秒)を超える強風のなかでクレーンが落下し、建設作業員が死亡するという結果をもたらした。

 警察関係者によると、現地の気象局から「竜巻が発生した可能性が高い」との通報を受け、警察および80人以上の消防隊員が出動。嵐により家屋は甚大な被害を受け、現在までに少なくとも40人が負傷したと報告されている。その被害は、セリタのムーブメント工場とそのチームにも深刻な影響を与えた。

 「近隣の会社の屋根全体が剥落し、私たちの会社3棟を直撃しました」と、セリタのイノベーション・マーケティング責任者であるセバスティアン・チャルモンテ博士(Dr. Sébastien Chaulmontet)は語った。「不運なことに、そのときに建物内にいたひとりが重傷を負いました。彼を含めた皆は今病院にいますが、快方に向かっています」

La Chaux-de-Fonds damage

2023年7月24日、スイス西部のラ・ショー・ド・フォンに近いル・クレ=デュ=ロックルが暴風雨に見舞われた。写真は、被害を受けたセリタの建物と、その隣で破壊された自動車。地元メディアによるとクレーンが倒れ、ひとりが死亡した。Photo by Fabrice Coffrini/AFP via Getty Images

 セリタの施設の写真を見ると外壁の大きな損傷や窓ガラスの破損が確認でき、大規模な修繕作業が必要であることがわかる。

 「今、懸命に復旧作業をしています。おそらく8月14日の連休明けには営業を再開できると思います」とチャルモンテ博士は語る。「もちろん、再建自体(特に建物の外壁)にはもっと時間がかかるでしょうが、できるだけ早く再開できるよう全力を尽くしています。ご存じのように、セリタは業界の多くにとって極めて重要な存在です。私たちは、非常に困難な状況にあっても、私たちに寄せられた 信頼に応え、クライアントに貢献するために可能な限りの取り組みを行っています」

 地元の報道や映像によると、嵐は突如としてやってきて、その勢いの凄まじさで住民たちを驚かせたようだ。遠くから撮影した映像は、嵐の規模と進行の速さを示している。一方、嵐のなかで撮影された映像には、恐るべき被害状況が映し出されていた。クルマは横倒しになり破壊され、大きな架線が道路や家屋の上に倒された。住宅の屋根は剥がれ落ち、森林地帯は大きな被害を受けた。

Damage to a house in La Chaux-de-Fonds

2023年7月24日にスイス西部のラ・ショー・ド・フォン近郊のル・クレ=デュ=ロックルが暴風雨に見舞われた際の航空写真。屋根が吹き飛ばされた家屋の様子。Photo by Fabrice Coffrini/AFP via Getty Images

  その一方で、セリタからわずか500mしか離れていないラ・ジュー・ペレのような近隣のメーカーは比較的無傷であった。アーノルド&サンとアンジェラスのCEOを務めるベルトラン・サヴァリー(Bertrand Savary)氏によると、ラ・ジュー・ペレ(両ブランドの親会社)の取締役会が即日招集され、被害状況を確認したという。幸いなことにスイスの多くの会社と同様、同社も夏期休暇中で工場には誰もいなかった。サヴァリー氏によれば竜巻の範囲は250フィート(約76m)以上あり、この地域が過去100年近く経験したことのないものだったという。

 サヴァリー氏はHODINKEEのインタビューに、「私たちのチームは全員無事です。最高財務責任者(CFO)が工場を訪れましたが、わずかな水害と屋根の損傷が確認されただけで大きな被害はありませんでした。当社はセリタから500mしか離れていなかったにも関わらず、非常に幸運でした。また業界として休暇中だったのも運がよかったですね。そうでなければ、ラ・ショー・ド・フォンには1万人以上の人々が集まっていたかもしれません。事態はもっと深刻だったでしょう」と語った。

 このような嵐はスイスでは珍しいため、建物や工場の修理がどれほど迅速にできるかわからないと、同氏はHODINKEEで述べている。

 またサヴァリー氏によると、この地域は毎年嵐に見舞われているものの、通常はクルマや家財に損害を与えるほどの雹(ひょう)が降る程度だという。彼の記憶の限りでは、この規模の嵐は1926年が最後であった。彼が得た情報によれば、ラ・ショー・ド・フォンの約7000軒の住宅のうち5000軒以上が何らかの被害を受けているという。

 地元BFMTVのインタビューに答えた住民のアラン・マーミー(Alan Marmy)は、この嵐を“大混乱”と称した。「スマートフォンからも街中の警報機からも、何の警報音も鳴らなかったんだ」と、彼は同局に語った。

 BFMTVの取材に応じた同市のジャン=ダニエル・ジャンヌレ(Jean-Daniel Jeanneret)市議会議長の回答は、この自然現象は例外的なものであり、「異例の出来事であったために防護措置を講じることは不可能だった」というものだった。

 ムーブメントのサプライチェーンに与える影響について業界筋に聞くところでは、年間100万個以上のムーブメントにセリタ製のものが使用されているという。チャルモンテ博士は今回の被害により困難な状況に追い込まれていることを認めている。

Sellita's CEO's office

暴風雨に見舞われた次の月曜日のセリタCEO兼オーナー、ミゲル・ガルシア氏のオフィス。Photo courtesy of Sellita.

 「近年、業界は熱狂的な過熱ぶりを見せており、この1年は緊迫した状況が続いています」と彼は言う。「それでも配送に影響が出ないことを祈るとともに、そうであることを信じています。幸いなことに物流部門や部品部門に被害は出ていません。これは重要です。組み立てラインはダメージを受けていますが、8月14日までに復旧する予定です」

 災害からまもなく被害を報告するホットラインが開設され、警察は住民に対してラ・ショー・ド・フォンへの立ち入りを避けるよう呼びかけている。地元当局によると、インフラを修復し、この地域に安心してアクセスできるようになるまでには時間がかかる可能性があり、ラ・ショー・ド・フォンの駅ではしばらく鉄道の運行が断たれ続ける可能性があるという。

 カルティエの代表者によると、スタッフに怪我はなく、建物への被害も軽微であったとのこと。この地域にあるほかの時計メーカー数社に電話をかけても当時は休日のためかつながらなかった。タグ・ホイヤーも現時点では被害の可能性についてコメントを発表していない。今後も情報が入り次第、このニュースについてお伝えする予定だ。

編集部注:カルティエからのコメントにより、この記事は更新されました。